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邂逅編 1-7

堀内が教室を出てから、俺一人になったせいか教室は閑散としている。

俺は背もたれにもたれかかり自分の答えについて改めて振り返る。

 それは単純な話、堀内がスマホを食堂に忘れて、食堂の職員がそのスマホを発見し預かっていたというだけである。考えてみれば、食堂の職員というのは学校の外部のパートの人だったりすることが多い。だから職員室の落とし物を届けることを知らなくても不思議ではない。もしかすると、営業時間中は食堂から離れられなかったり、そもそも、外部の人のため校舎内に立ち入れなかったのかもしれない。いずれにしても、食堂営業時間中である今は、食堂の職員が預かっている可能性が高い。

「思ったより単純だったんだな・・・」

俺はぽつりとつぶやいた。

 堀内が教室を出てから十分程過ぎた。だが、まだ彼女は戻ってこない。

 ふと一つの可能性がよぎった。もし、俺のこの回答が間違っていた場合である。

「ははっ、まさかな・・・」

俺は自嘲気味に笑った。

もし間違っていたらどうする。あれだけイキっておいて食堂になかったらどうする。めちゃくちゃ格好わるくないか・・・。いや、それだけじゃない。結果として堀内さんに迷惑をかけて傷つけてしまうかもしれない。

そのような感じで考え出したらキリがない。考えれば考えるほど不安が続々と込みあがってくる。ふえぇ、怖いよぅ。

思わず脳内に幼女を顕現させてしまうくらいに今の俺のメンタルは不安定な状態だった。やべえ、貧乏ゆすりが止まんねぇ。

沈んだ気持ちで、ただ茫然と時計を眺めていると、遠くからこっちに走ってくる足音が聞こえてきた。

パシャリと扉が開く。そこには、堀井さんがはあはあと息を荒げながら立っていた。彼女はこちらに駆け寄って、ブレザーのポケットの中から何かを取り出した。

「榎本くん! あった! 私のスマホ!」

その手には彼女のものであろう花柄のカバーのスマホが握られてあった。


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