邂逅編 1-6
俺は立ち上がることをやめ堀内の方を向き、質問した。
「そういえば、堀内さんたちって昼休みどこにいる?」
「え? 普通に食堂だけど?」
堀内は淡々とそう答えるた。
ビンゴ。俺の予想は当たっていた。というのも、俺は普段、昼休みの時間は購買で買ったパンを教室で食べて過ごしているのである。そのために食堂にいる堀内が何をしているか全く知らなかったのだ。
俺はついニヤリとしてしまった。
「そうだよな!やっぱ食堂だよな!」
テンションが上がってきたせいなのか、俺が食い気味にそう言うと。堀内は対照的に引き気味に
「ど、どうしたの榎本くん、考えすぎて頭が爆発しちゃった?」
と心配気味に俺に声をかけた。なかなかに失礼な奴である。まあ、俺がニチャニチャしてキモかったのかもしれないけど。
弁明のためにも俺は自分の中で今さっき完成した答えを口にする。
「いや、堀内さんは食堂にスマホを忘れたんだ。だから、営業時間中の今、食堂を探せば見つかるはず。」
「いやいや、もちろん食堂は探したに決まってるじゃん!でもなかったの!」
そう彼女は首を振りながら反論する。俺はそれには気を留めず、さらに答えを続ける。
「食堂のおばちゃんたちにも聞いてみた? もしおばちゃんたちが食堂で落とし物を見つけたら一旦預かってと思う。」
俺が言い終わると。堀内は三秒ほど口をパクパクした。
「ああ! たしかに! それは聞いてなかった!」
そう言うと、彼女の目をキラキラと輝やかせ、立ち上がった。ガタッという椅子の動いた音があたりに響いた。
「行ってくる!」
すぐさま、堀内は駆け足で教室からで出ようとする。俺は彼女の背中かに向けて
「食堂!五時半に締まるから急げ! それと一応、もう一度職員室にも言った方がいい、届いてるかもだから!」
と声を掛けると、彼女はこちらを振り向き手で丸を作りこちらに見せてきた。さすが陽キャ、仕草があざとい。
時計を見ると時刻はは五時二十分を示していた。




