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邂逅編 1-5

ここまでの話を整理しよう。今、俺が手伝っている堀内理紗は昼休みの時間にスマホを使っており、その後に四限目の化学の授業のために化学室に行き五限目の英語の授業からは教室に戻り、授業後のHRにスマホがないことに気づいたのだ。そして、未だ落とし物としてそのスマホが職員室に届けられておらず、教室や化学室を探したのだがスマホが見つからず途方に暮れていたのだ。

「誰かにとられっちゃったのかな・・・。」

堀内はうつむきながらそうつぶやいた。

「多分そんなことはないと思うけど・・・」

俺自身もその可能性を考えなかったわけではないが、普通、パスワードもロックも知らない他人のスマホをわざわざ盗ったりするのだろうか・・・。嫌がらせのためならあり得るのか。もちろん可能性としてはゼロではないが、堀内クラスの陽キャに嫌がらせをするようなやつがいるのだろうか。もし仮に彼女に嫌がらせをしたとして、万が一バレたら、クラスのほぼ全員から叩かれて社会的に死亡するのは目に見えている。わざわざそんなリスクを背負ってまでやるようなやつはまずいないだろう。

ここまでいろいろ聞いてみた所感としては、もう手詰まりの段階だ。どうやら俺の知恵もたかが知れているようだ。今、俺にできることと言ったら、堀内が挙げた場所の探し漏れを信じ、ありそうな場所を足で探すしかないのだろう。

時刻は五時十分を過ぎていた

 「ごめん堀内さん、考えてもわからんかった。俺はこれから化学室を探すから、教室を探してくれ。」

 そういうと彼女は

 「うん、わかった。ありがと。」

 そう申し訳なさげに返事をした。

化学室か…思ったより広いんだよな、あそこ。どの辺探すかある程度目星をつけるか・・。

「堀内さんって、化学室ではどの辺の席にいた?」

「窓際の列から一つ隣の列の後ろから三番目に今日は座ってた。」

左後ろらへんかなと彼女は付け足した。

ふむふむ、あの辺の席か。なるほど。初めて知ったぜ。俺自身、堀内のことをほとんど何も知らないのだからこそこの情報はとてもありがたい。そもそもとして始業式から二週間もたっているのに、俺が堀内と話すのは片手で数えるくらいしかなかったのだ。知らないのは当然だ。

俺は早速探しに行くために、机の上に手を置いて立ち上がろうとした。

ん?いや、待て。ふと疑問が脳裏をかすめる。なんで俺は堀内たちが昼休みにスマホのカメラで遊んでいたことを知らないんだ。写真を撮りながら騒ぐようなグループがあったら、普通目立つし俺ですら気づくはずだ・・・。じゃあ何で知らなかったのか。

理由はすぐに思い浮かんだ。


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