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邂逅編 1-4

こうして俺は堀内の了承をなんとか得たわけではあるが、だがしかし俺に与えられた制限時間は三十分しかないのである。

堀内は、俺の一つの前の椅子に跨り、こちらを見ている。

早速ではあるがなくしもの探しに取り掛かろう。気合、入れて、いきます。

俺は堀内の方を向いてこれまでの捜索状況を尋ねた。

「じゃあ、スマホを失くした時の説明を頼む。」

俺が言うと堀内は

「えっと、帰りのHRの時間にスマホがないのに気づいてさっきまで探してた。それで、少なくても昼休みの時間は優美たちとスノー・・・えっと、カメラアプリで遊んでたから絶対持ってた。」

思いだしているのだろうか、頬に手をやり、「むむむっ」としながら、今までの経緯を話してくれた。

スノーとは撮った写真に耳や文字を上書きできる要はプリクラっぽいカメラアプリである。彼女に「コイツはまあ、このアプリ知らないだろうから説明してやるか。」と思われているのだろうか。失礼な話である。まあ実際、俺自身もつい一週間くらいに知ったんだけどね。

本題に戻ろう。俺は疑問に思ったことを聞いてみることにした。

「ちなみにどんなスマホ?」

「えーと、花柄のケースの白いスマホ!」

なるほど、いかにも女子が持ちそうな典型的なスマホのようだ。俺は質問を続けた。

「お昼にはあったってことは午後の時間帯に失くしたのか。じゃあ、化学室とかは探したのか?」

ある程度、授業の時間割から候補を挙げた。

わが松塚高校は午前に三コマ、昼休みを挟んで午後に二コマの授業があり、本日火曜日の四コマ目、五コマ目は化学と英語である。そして化学の授業は化学室の移動教室だったため。誰しもが最初に思いつくだろう。

 「もちろん探したよ。机の下とかもちゃんと。でも、なかったよ。」

 「そっか。ちなみに堀内さんは授業中にスマホ触る系の女子?」

 「いや、触らないよ⁉ あたし、そこまで不真面目な生徒じゃないから⁉」

 堀内が顔を膨らませている。プンプンといった擬音が似合いそうである。

まあ、そうだよなあ・・。

うちの学校は多くの高校の例に漏れず授業中のスマホの使用を原則禁止しており、万が一触っているのがバレたら、即没収からの反省文と聞いたことがある。そのおかげもあり、普通の生徒ならばまず授業中にスマホは出さない。

「じゃあ、職員室に確認はとったか?」

落とし物のスマホや財布のような貴重品は職員室に届けられ、先生たちが保管しているのが一般的だろう。

「あたりまえじゃん、というか、他にも廊下とか教室とか心当たりのあるところは全部見たし!」

俺の質問に堀内は当然とばかりに返事をする。だが俺も質問を続ける。

授業関連じゃないのか・・。じゃあ、休み時間関連だろうか。

「だったら、トイレに置き忘れた線とかはないのか?」

「あっ、なるほど! たしかに・・・いや違うかな、今日は午後の時間帯はトイレ使ってないから・・。」

堀内は最初こそはっとした顔をしていたが、徐々に恥ずかしそうに眼をそらしながら俺の説を否定した。やめてくださいよ!そんな恥ずかしそうにするの!こっちも恥ずかしくなってきたじゃないですか⁉

「となるとなぁ・・うーん。」

俺は恥ずかしさを誤魔化すために左右の手の指を組みかえながらこれまでのことを振り返った。


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