避けられぬイベント
「ユリスティア・クロレンティーヌ!!今ここで、お前に婚約破棄を告げさせてもらう!!!!」
…あぁ、私はこれを避けるために為に頑張ってきたというのに
努力は無駄に終わったみたいだ。
16年間という短いようで
とても長い時間。
結局、定められたこの流れは
覆すことなど出来ないのだ。
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私がこの世界に転生したと気づいたのは5歳の頃だった。
代々王家に使える騎士の家系、クロレンティーヌ公爵令嬢として生まれた長女、ユリスティア。
このクロレンティーヌ家に生まれたからには、女であろうと王家に使える立派な騎士として育てられるらしい。
お淑やかさよりも剣術を。
優雅さよりも素早さを。
小さい頃から体力作りの一環として
自由に庭を遊びまわれていたが
当のユリスティアは剣よりもお人形を。
素早さよりも木陰でのんびりと。
騎士になる気など微塵も感じさせないほどの
THE☆侯爵令嬢だった。
ある日、
そんなユリスティアにしびれを切らしたクロレンティーヌ家は半ば無理やり木登りをさせた。
全身を使う木登りは、本人の身体能力を見極めやすい。
クロレンティーヌ家はそこでユリスティアを見極めようとしたのだろう。
騎士としての素質があるのか、ないのか。
ユリスティアは目に涙を溜めながら木登りをし、
案の定、足を滑らせてそのまま真っ逆さまに落ちて気を失ってしまった。
木の下には人もいてそのまま怪我もなく助けられたらしいが、
皆がどのような表情をしていたのかは私には知る余地もない。
木から落ちる瞬間に見た走馬灯に、ユリスティアの意識は持っていかれてしまった。
そこの景色に手を伸ばすような、
夢から目が覚める瞬間の、現実に引き寄せられる感覚のような。
「あっ・・・」と自分の意識を自覚した時には、そのまま膨大な量の情報が押し寄せ、
幼いユリスティアの脳内は見事にのまれ
パンクしてしまい、
そのまま数日間、目を覚まさなくなった。
初めての小説投稿になります。
色々未熟なことろがあると思いますが、よろしくお願いします。