恋しな。外伝1
みなさんありがとう。
みなさんのおかげであたし、とっても元気よ!
是非読んでください。
ウチ、アミって名前。
友達からはアッちゃんとかアミーごとか呼ばれてるんよ。
関西住みの高校2年!
今まさに全力でJK気取ってます!
ライン、ツイッター、何でもござれ。
実は、ひっそりとアニメも見とる。
男子って案外その辺が話しやすかったりするんやろ?
恋人は絶賛募集中や。
何人かに声はかけられるんやけど、同じ関西人のノリばかりでちょっと飽きてな?
色んな出会い系に突撃したりしてるんよ。
っても、怖がりやからそんな変なんはせえへんけどな!
まぁ、なんにせ恋多き乙女なんや。
今しかないしな。
めっちゃ頑張ってんねや!
へへへー。
……。
と、打ち込んでっと。
こう言うとけば聞こえはええやろけど、実際はなかなか。
嘘は言うて無いで?
関西のノリかー。
まさにウチやんなそれ。
これのせいで何回かポカしとるし、あんま寄って来んしな。
独り言を呟きながら友達へのラインを返す。
ん?何やこれ?
〈なんか、変なんおる!〉
〈誰?〉
〈あんたのが知ってる思うけどな〉
ふうん。
ウチはその友人に勧められたスマホゲームを立ち上げる。
ゲームの割にチャットし易いのがええ。
キャラ可愛いしな。
コレ、ごっつバッテリー食いよるから電源刺してからやないとオチオチ遊んでられんのがネックやな。
あと、スマホめっちゃ熱なるしな。
さて、どんなヤツだ。
イチびってるだけのヤツなら絡んでとっちめちゃる。
ウチはかなりこのゲーム好きで、仲間も居てるし、実は彼氏(ゲーム内)もおったりするんやで?へへ。
そんなんどうでもええねんて!
どれどれ?
うん?あーこいつか。
こいつなー。
確かに変なヤツなんや。
別に荒らしじゃないんよなーこいつ。
あー、荒らし言うんはこのゲーム同じサーバー内やったら全員が見れるチャットがあってな、そこで下ネタゆーたり、誹謗中傷?やったりを連続で打ち込んだりすることやね。
それされるとパーティの募集やらが見辛くなるからな、最低やねん。
んで、こいつの場合はあーそうやな。
〈こいつ知ってるわ!〉
〈さっきそいつ街でニーヤンと話しとってんて〉
〈はあっ!!?〉
はあっ!!?
ニーヤンは愛称でウチのゲーム内の彼氏。
ふざけんなや!
あいつなんやねん。
まずはニーヤンに直接や。
〈おい!〉
〈お!アミッチ!やあ(^o^)〉
〈何がやあやねん。ちょっと聞きたいんやけど!〉
〈お、おう?怒ってる?怖い(´・_・`)〉
〈怒ってない怒ってない、ちょっとな聞きたいねん。〉
〈なにー?〉
〈ニーヤン、あいつと話したんか?〉
〈あいつ?〉
〈ほら、前に言ってた変なヤツ〉
〈あー、街ん中で踊ってたから声かけたん〉
〈へー、んで!〉
〈やっぱ怒ってない?〉
〈怒ってないし!〉
〈( ̄▽ ̄)ヤキモチ?〉
はあ!?
なんやねんこいつ!
あ、あかんあかん。
ウチ怒りっぽいのも嫌われる原因やったりするんやった。
よ、よし、落ち着けウチ。
〈ヤキモチやったらどうなん?〉
〈か、デレ期?きたわーー(^o^)〉
ちょ、ちょろいんか?
まあええ、へへ、こんなもんやろ。
〈デレ期ってなんや。んでそいつとなに話したん?〉
〈話つっても、なんで踊ってるの?ってそしたら楽しいからーって〉
〈へ?それだけ?〉
〈たぶん、あと、そいつが七夕飾りやーとか言ってたね。だから、今頃かよーって〉
んーー?
んー。
ま、ええか。
なんか他愛無い感じやな。
あいつそうなんよね。
ちょっと男の興味引くような事言うくせに、チャット仲間作ったりパーティしないとか。
やっぱ変なヤツ。
『七夕やー!皆!お願いごと何にするのー?あたしはここ4年間ほどオニギリたらふく食べたい。あとワイン!』
こいつや、またオニギリかいな。
ワインもほんまに好きなんか?
そういえば関西弁つこてたな。
んー、ノリが悪いから信じられんけど。
せや、本人あんなんやから案外普通に答えるんちゃうか?
〈ワイン好きなの?〉っと。
〈好きー!〉
はっや!構ってちゃんやんけ、こいつ。
とと。
〈さっき踊ってた?〉
〈あ、見てたのねー。今も踊ってるよー。〉
〈踊るの好きなの?〉
〈好きー!〉
んー、……。
返信あらへんな、こいつから話しかけるんは無いんか?
まあ、それなら。
〈ねー、その時さニーヤンと何か話してたやんか?〉
あ、やば関西弁!
〈うん?ちょっと待っててー〉
あ、見とるんか。
律儀なやっちゃな。
〈うん、同じようになんで踊ってるの?って〉
〈そいつさ、垂らしだから気をつけて!何か言われたらNG推奨〉
〈そーなんだ!ありがとー!だが断る!お気持ちは貰います、ありがとね。でもNGはしない派なの!〉
……。まあ、好きにしたらええけど。
なんやねん、こいつ。
〈あ、それじゃ気をつけて〉
〈あ、垂らされてもあたしなら大丈夫よ!きっと相手の方が引くわ!( ̄▽ ̄)〉
…ん?…な、何言ってるんやこいつ。プフ…。
自虐ネタかよ、アホちゃうんかこいつ。
へへへ。
〈ワロタ〉
〈ふふ( ̄▽ ̄)〉
ま、ないな。こいつ変やわホンマ。
荒らしやないし、付き纏ったりもせえへんらしいしな。
構ってちゃんなのは間違いないな。
まあ、ええか。
ふーなんか心配して損したわ。
〈おいアミッチ!〉
お?なんや?あの女なんか言いよったんか?
〈アレ、やってみる?俺そっち行くし♪〉
〈いきなり何や?アレ?〉
〈アミッチ全体あまり見ないもんねー〉
〈ほう?〉
全体っと。
『のやー!七夕曇りー!がっかり、でも、晴れ間探してたらばったり誰かと会ったり?そしてそのまま、きゃー!!』
『↑酔っ払いのため注意』
……。
こいつ頭ぶっとんでるやろ!これ!
〈頭おかしいよこの人〉
〈まあ、害にならないから良いんじゃない?〉
〈んで?アレとは?〉
〈会わない?リアルで〉
はあああぁぁぁぁああっ!!!?
〈ワロタ〉
〈いや、割と真剣にこの前はテストだって〉
〈あのな?あんた関東やって言ってたやん〉
〈だから!七夕!予定空いてるし、そっち行くし(^_^)v〉
〈くんなし!〉
〈いくし!〉
〈マジで来んの?〉
〈行くよ?〉
〈新幹線?〉
〈14000円ばいばーい\(^o^)/〉
はあっ!!
なんなん!!
取り敢えず、味方誰かいるな。
せや、あいつに。インしてるな。
〈なあ、ヤバイって〉
〈なんかニーヤン大阪来よる!〉
〈え!なんで?〉
〈会いたいって〉
〈マジ?いつ来んの?〉
〈明日、七夕〉
〈マジー!!!どうすんの?〉
〈いや、ミカ空いてる?七夕〉
〈お、良いね!あっしがお目付役やね〉
〈いける?〉
〈行くー!〉
〈助かるー!〉
お、おし!
これで、大丈夫やろ。
ニーヤンに場所聞かな。
〈駅で待つ?〉
〈んーなんか景色良い所知らない?〉
今やったら、あ、天の川祭りあるやん!
これどうやろ。
〈天の川伝説!これとか良いかも〉
〈ほう、どこ?〉
〈大阪の天満橋って言うとこ〉
〈何時からしてるの?〉
〈ちょっとは自分て調べーや!えっと、7〜9時ってなってるわ〉
〈うわー、ギリギリかも、そっち、新大阪に8時10分に着くから〉
〈うわー、マジでギリギリやんか〉
〈んで、聞き忘れてるけど、本気で行くよ?〉
〈チケット買っといて何ゆーてんねん!〉
〈マジ楽しみ♪〉
〈へへ、ほんな待ってるでー〉
…。
うん……。
どないしょーっ!!!!
マジで来よるやん!
あいつー!
ヤバイヤバイ!
ちょっと待って、服とか!
浴衣やろやっぱ!
んで、エクステこれやったかな。
写真っと…
……
ウチは嬉しなってメッチャ準備したんや。
以前に互いに写真送ったりしとるから、あんま緊張はせんやろうけど。
7月7日、午後7時30分
メッチャドキドキしてきた。
ニーヤンからも連絡来てて、新幹線に無事のって、名古屋だとのこと。
ヤッバーっ!ヤバイヤバイ!
ドキドキ止まらん!
来てくれるって言われた時からもうあかんわ。
もう、ドキドキや!
天満橋に到着!
はーやっとる、やっとる!
一面に浴衣、浴衣、浴衣!
家族連れが圧倒的やな!
あ、おるおるカップル!
あたしも同じや、ちと、ローカルやないけどな。
へへ。
普通になんか楽しいな。
あ、あれミカちゃうか!
「ミカー!」
「アミッチー!」
イェーイ!
ウチらホンマに仲ええからな!
ん?
「こんにちわー」
「あ、え?」
「へっへーあたしの彼」
なん…だと…。
「ウチの知らん間にー!!」
「ごめんて!言ってもついこないだやで?」
「ふうん」
なんか、一気に冷めたかも……。
でも、ミカからしたらあたしの事…。
ここは応援やな!
せや!親友は大事や!
「名前なんてゆうん」
「俺、カツキです」
「どこ住みなん?」
「高槻」
「ほー、近いやん。ミカ、可愛いやろ?」
「メッチャ!」
「なに言わすんよもー!!」
ミカ喜びすぎやろ。
まあ、ウチとしても気分ええけどね。
ウチのは、え!?もう8時30分やん!
大丈夫なんか?
ギリギリゆーてたけど……。
あ、ライン!
〈もう着く!何処に居てるの?〉
お、おおお!
来た来た!
〈天満橋出て直ぐに川あって、橋が有るからそこ〉
〈橋ね。オッケー〉
よし!気合い入れな!
「ニーヤン来るて?」
「もう着くて」
「マジかーニヤニヤ」
「なんやねんそれ!」
「応援呼んだ割にノリノリやなーって」
「それもそうか」
「そうや!」
『あはははは』
ウチはひとしきり笑った。
ミカは彼と腕組んでるし、ラブラブ過ぎやろ。
3人で満員の橋の上。
ウチらは彼を待ちながら川の上流れてる光の瞬きを見つめとった。
……
せやけど、時間はどんどん過ぎてまう。
……。
8時55分
まだかいな!
もう、終わるやんか!
橋の上の満員の人もだんだん少なくなっとる。
この後はイルミネーションも消してしまうんやで?
綺麗な景色って言うてたやんかー!!
ラインにはもうちょい!もうちょい!
って。…。あ。
ウチは突然がっくりと膝を着いた。
「あ、アミッチ……。」
騙された!!?
ウチ……。
騙されたんか!?
………。
「ぁ、アミ……」
ミカ…。
ミカがウチの肩を抱く。
カツキさんもなんか気にしてくれてる。
けどな!
「ミカ、ごめん。ありがと、でも、一人にしてっ!!」
ウチは走り出す。
ミカを突き飛ばして。
そんな目で見んな!
これじゃ笑いもんやないか!
ミカ、彼氏連れやねんぞ?
ウチなんやねん!!
ホンマ!
アホやろウチ……。
たかが、ゲームやで?
会おうとか、なかったんや。
うわあああぁぁぁぁあ!!!
ウチは泣いた。
駅の近く。
人集りが出来とる。
知るか!
笑いたきゃ、笑え!
あああぁぁぁぁああっ!!
橋の上、1人、泣く。
でも、ウチ。これでちょっと安心したかも。
もう、あのゲームやめよ。
どうせゲームやしな。
ウチはアプリの金髪の顔を見つめる。
きっと中で笑てるんやろ?
はは、ハハハハ……。
………。
プルルルル!
ミカか?
出ぇへん。
プルルルル!プルルルル!
うっさいなー誰やねん。
はん?知らん番号やな。
……晴間探してたらさー……
まさか!
…誰かに会ったりとかして!きゃーっ!!…
あたしは電話を取る。
「……誰「アミー!!!?」」
わ!
ウチは煩いから耳からスマホを離す。
周りの人集りは泣いとったウチをじーっと見とる。
「…ニーヤン?」
『アミー!来たぞー!!!』
へ?声が、えっ!?
橋の向こう、反対側に手を振りながら走ってるヤツがおる。
あ、止まった!
疲れとんのかい!
肩で息してるかと思たら、膝に手を置いたりして。
あいつ……。
ウチはゆっくりと立ち上がる。
『アミーーーっ!!!間に合わなかったー!!!ごめーーー!!!』
あんにゃろー…。
『名前大声で呼ぶなやーーー!!!』
ウチがあいつの所へゆっくりと近づく。
ザワザワした喧騒は聞こえない。
ウチには聞こえないっ!!!
あいつが走ってくる。
写真で見た通りや。
かっこいい訳やないけど、まあ、見てくれはそんな悪ないあいつ。
「はぁ、はぁ、アミっ!っぐ、ち、ちょっと待って」
メッチャ疲れとるやん。
どんだけ走ったんや?
ま、まさかこいつ!!
向こうの天満から走って来よったんか!!
アホやろ!
アホやろこいつ!
彼は息を整えながらカバンからなんか取り出した。
「コレ、お前欲しい言ってたっしょ?」
「へ?」
あ、ブレスレット。
しかも、、、!!!
「ホラ、これ」
「あっ、あっ!!」
ペアのやつ、欲しいって言うたん、覚えてたんやな……。
ウチ、もう堪えられん!!!
…バっ!!!
「どわーっ!?ちょっちょっと!」
ウチは抱きついた。
彼氏!好きすぎやろ!
もう、ええ!
この人がええ!
離さんからな!!
「あんた、本名なんてゆうん?」
「聞く順番おかしくない?」
「なんつゆうん!」
「へへ、リアルも変わらんな。俺、アツトシな」
「なんや、アーちゃん。ウチと一緒やないか」
「なら、アーちゃんズな!」
「アホちゃうか!」
ウチと彼氏はこうやって出会った。
辺りには明かりの無うなった川と、駅前の喧騒と、何故か拍手の嵐。
後からミカに聞いたら…。
「あんたら、ちょっとやり過ぎ!七夕で川挟んで出会うて」
ウチ、やってもうたみたいやな。
へへ、やってやったわ!!
ウチのゲーム内アバター。
その上のコメントに書いとく。
〈相方、兼、リア彼、ニーヤン〉
ありがと、七夕。
あと、関係ないやろけど、あいつ。
へへ、今度いじってやろ。
ありがとー。
チクチクは程々で宜しくね。