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弱点、そして……

 ジンタが知っているというのは、当然ゲームのときの『階層伝説リリフォリア』でだ。


 しかし、なぜそれに気付かなかったのか、――いや正確には戸惑っていたのかは、まずゴーレムの大きさのせいだった。


 ジンタが知っているそいつは、ジンタの半分ほどの大きさだった。今のジンタの三倍以上のバカでかい大きさではなかった。

 そしてゲームのときのそいつは、最短で三発当てるだけで倒せるほど楽な相手だったからだ。


「ほんとうですか?」

「ジンさん!」

「その弱点教えて下さいっ!」


 しがみつく三人のエルフの少年少女の頭を軽く撫で、


「あの大きさ、それに俺の知ってるのと同じ弱点があるのかどうかは、正直分からないけど……」


 ジンタはミリアの前でしゃがみ込む。


「ミリアお願いがある。君のチカラを借りたい」


 ジンタが真っ直ぐミリアを見つめ頼むと、ミリアは力強く「うんっ!」と頷いた。


 ジンタはどんな攻撃にも怯まず暴れるゴーレムの一点に指を向ける。


「ミリアのヒールを、あいつのあの歪な鉄に覆われた左胸にかけてぶっ壊して欲しい」

「あの胸当てみたいのを?」

「ああ、あれをだ」

「うん、やってみる」

「目一杯のチカラでやってみてくれよ?」

「うん!」


 ミリアが魔法の使う媒介である指輪をした右手をゴーレムへと向ける。

 暴れるゴーレムの左胸の胸当てのような箇所を見定め、大きく息を吸い込んで、目一杯に叫ぶ、



「ヒ――――ルッッ!」



 ミリアの右手、その指にはまっている指輪が眩しいほどの輝きを発する。それと同時に、ゴーレムの左胸の鉄の胸当てに輝く光の粒子が降り注ぎ、集まり、大きな光の塊となりミリアの指輪と同じほどの光量で光りだす。

 鉄の胸当ては光に包まれ、光が一気に凝縮した後、大きく内側から爆ぜた。


「見えたッ!」


 ジンタはバッグに掛けていた、倒した骸骨から拝借した直剣を持ち、ゴーレムへと走り出す。


「うおおおおおおぉぉぉぉ――――ッ!」


 大きな破裂音と初めて動きを止めたゴーレムに、戦っていた獣人化したイヨリ達も動きを止めている。そこをジンタだけが猛然と叫びゴーレムへ向かい走って行く。


 ――目指すはあの青い石!


 爆発により大きく仰け反り、倒れる直前の片膝を付いてるゴーレム、その爆発した左胸の奥を睨みジンタは剣を目一杯に突き出す。



 ガッキ――――ンッ!



 金属の砕ける音と共に――――、

 ジンタの持つ直剣が途中から見事にポッキリと折れた。


「あ、ありゃ?」


 ジンタの中では渾身の突進でゴーレムの左胸の奥、そこの青い石を貫き砕くはずだったが、まさか自分の剣が青い石に負け、折れるなどと微塵も考えていなかった。


「え……えぇぇ~~~~~~……」


 大きくバランスを崩し、片膝をつくゴーレムの真下で見事なヘッドスライディングの格好のまま、ジンタは止まった。



「「「「「…………………………」」」」」



 部屋の中、一瞬の静寂の後、


「グオオオオォォォォォォォ―――――――ッ!」


 今までまったく怯んだ形跡のなかったゴーレムが痛みにもがくように暴れ出す。


「え、ちょっ! 待ってぇ~~っ!」


 半泣きで、暴れるゴーレムの真下で頭を抱えるジンタ。

 縮こまるジンタに、暴れるゴーレムの足が振り下ろされる直前、疾走する白い影がジンタを抱え、見事ペシャンコになりそうだったジンタを救いだした。


「ったくよ~。おれたちにあんな弱点言わずに、おいしいところ独り占めしようとしてっからそういう目に会うんだぜ」


 ゴーレムから離れた場所で立ち止り、白い影――ミトがざま~みろとばかりに笑みを向け、抱えたジンタを地面にそのまま落とした。


「いたっ。うぅ……もう少し優しく下ろしてくれミト……」

「ふんっ! 言わなかった罰だ!」

「……ごめん」


 ガックリとうな垂れるジンタ。



「なるほど、あそこが弱点ですのね」


 リカが呟き、目をイヨリへと向ける。


「イヨリさん気付いてまして?」

「あそこまであからさまなのに気付かないわけないですよ。リカさん!」

「何がだ? リゼットわからない?」

「ええ、ええ、それこそがいつものリゼットさんですよ」


 首を傾げるリゼットに雪目はそう相づちをしつつ、両手を苦しみ暴れるゴーレムの足元へ向ける。


「凍りなさいっ!」


 雪目の両手から氷の結晶が吹雪のように飛び出し、ゴーレムの足元で荒れ狂う。

 みるみるうちに地面が凍りアイスバーンと化し、闇雲に暴れるゴーレムが滑り横へと倒れる。


「ここですわよっ!」

「分かってますっ!」


 リカとイヨリが、倒れ一瞬動きを止めたゴーレムの青い石目掛け飛び込む。


「くたばりなさいッ!」

「はあああああぁぁぁぁぁッ!」


 リカのグリズリーの爪が青の石を切り裂き、イヨリの岩の拳がさらにそれを粉々に砕く。



「グ、グオオオオオオオォォォォォォ――――――――――ッ!」



 断末魔、まさにその一言に尽きるほどの大絶叫を響かせ、ゴーレムは動きを止めた。


「おわり……、ました……?」

「……ええ、終わりましたわね……」


 動かなくなったゴーレムの上で、イヨリとリカが立ち上がる。

 それが合図だった。


「やった――――っ! さっすがイヨリっ!」

「リカもよくがんばったよっ!」

「ミト~~、よくジンタさんを助けてくれました」

「ふ、ふんっ! たまたま届く位置にいたのがおれだけだったからだよ、エルファス」

「雪目、勝ったのか?」

「ええ、ええ、勝ちましたよリゼットさん」


 喜びをそれぞれにみんなが分かち合う。


「勝ったのか?」


 ジンタが立ち上がり呟くと、ミトがニッと笑い、ジンタの頬を目一杯つねった。


「い、いてててっ!」

「どうだ? 寝てねえし、死んでねえだろ?」

「ああ、確かにそうだな……」


 ジンタは涙目で頬をさすり、ミトに答えた。


 全員が一箇所に集まったとき、倒れたゴーレムの体が光を発しだした。

 その光は光量をグングンと上げ、あまりの眩しさにジンタ達は目を閉じた。



 そして…………。



 光が収束しジンタ達が目を開けると、そこはさっきまでの明るく大きな部屋でなく、なんて事のない壁の壊れかけた質素で狭い部屋の中だった。


「ここって……、最初にみんながバラバラになる前にいた場所……だよね?」


 ミリアの確認するような言葉が、部屋の中に響いた。

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