二泊三日 川遊び 二日目
川遊びお泊まり会 二日目。
朝からイヨリとリカのテンションが異常にハイだった。
昨晩の話であるハニーハニービーハチミツゲットに向けての話に夢中になり、一睡もしていないせいか目が血走っている。
「――で、そのハニーハニービーってヤツの高級ハチミツを奪うために、今日は上流の辺りを索敵しようってわけか?」
出来たてのホットケーキを、たっっぷりのハチミツとバターをつけ、美味しそうに頬張りながらミトが答える。
「ええ、そうしようと思ってますが、どうでしょう?」
大きな鉄板の上で、次々にホットケーキを作りながらイヨリが提案する。
「ん~~、でもそれだと遊べないんだよねぇ?」
口の周りにバターとハチミツを付け、ミリアが満足そうに少しぷっくらしたお腹を摩って問い返す。
「そうは言っても、ミリアやエルファスさん、そしてロンシャンくんは雪目さんと一緒に川で遊んでても良いですが」
「ミトとリゼットの二人は索敵ですか?」
エルファスが、答えは分かってはいるがそれでも少し期待するように上目遣いで聞いてくる。
「二人にはそれぞれ索敵に適したスキルがありますから、協力してもらいますわ」
清々しい朝とはいえ、暑くなり始めた夏の朝なのにホットティーを口にしているリカが答える。
「リカが言うのも分かるけど、何も無理してそのハチミツを取らなくてもいいんじゃない?」
ロンシャンが旅行の主目的である遊びを優先させるように言うが、
「ですが、そのハニーハニービーのハチミツは、一舐め金貨一枚分の価値があるそうですよ」
ホットケーキの冷め加減を確認している猫舌の雪目が呟くと、全員の目の色があきらかに変わった。
それまでどこか、え~~かったるいし遊ぼうよ~~的な雰囲気だった五人の空気が張り詰める。
コホンと空咳をしてミト。
「あ~~~~ちょっと確認だが、その高級ハチミツって言うのは、一舐め金貨一枚分の価値がほんとにあるのか?」
「ええ、ありますわ!」
「あります!」
一番説得力のありそうな人物であるリカとイヨリがキッパリと、そしてハッキリと言い切った。
「リゼット! がんばるよっ!」
頭の中より先にアホ毛がピクピクと反応を示し、リゼットが立ち上がり同意する。
「そんなすげー価値のハチミツなら、やっぱやるしかねえよなぁ~」
ミトも不敵な笑みを浮かべ、目を鋭くさせる。
そしてエルフの三人のマスター達は、それぞれに目配せし頷き合うと、
「ミト、雪目、私は止めないわ。そのハチミツを取ってきて」
「リカにリゼット。二人とも僕のことは大丈夫だから、しっかりがんばってきて!」
「イヨリとジンさん。わたしはそのハチミツを売って、お菓子屋さんの一番高いお菓子を二人が買ってくれるのを待ってるよっ!」
最高に快く、召喚されし者である六人を送り出した。
「では、作戦についてですが……」
食卓で円陣を組み、以後の相談を始める全員を一人円から外れ気味に見ていたジンタは、晴れ渡る眩しい空を見上げた。
――今日も暑くなりそうだ。
そう心で呟き、また円陣を組むみんなに目を向け、
――もう止めるのは無理だな、これは……。
心の中で溜め息一つし、やる気全開なみんなの話に耳を傾けた。




