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第二試合 決着

 ジンタを中心に円を描き流れるような所作で動くリカに、ジンタは防戦を強いられた。


 印象というのは大きなもので、今までどちらかと言えば力任せで直線的に動いていた印象の大きいリカが、ここまで動きを変化させてくると分かっていてもつい過去の動きが頭を過ぎり対応が遅れてしまう。

 それが防戦一方になっている原因の一つでもあった。


 もっとも、それだけはないのは、いまだいくらか慣れきっていない部分も多大にあるが、要所要所の洗練された動きがジンタを焦らせるからだ。


 ――何なんだ、リカさんのこの動きは……。


 確かに、ダンスのそれに近いような円運動についてリカに話したことはある。しかしそれは、今目の前でリカが繰り広げている軽快な足のステップなんかじゃなく、ジンタが教えたのはむしろ上半身での円運動。


 ――リカさんは、一体どこでこんなダンスのような動きを覚えたんだ?


 防戦する一方でジンタの混乱が続く。


「どうやら相当お悩みのようですわね」


 当然のように見透かした言葉をかけてくるリカ。


「これは『ワルツ』ですわ」


「『ワルツ』……?」


 聞き覚えがある。そして言われてみれば、ともその動きを見て思う。


「次に見せますのは『タンゴ』ですわ」


 優勢な側が見せる不敵な笑み。


「食らいなさいな」

「‼‼」


 動きががらりと変わる。


 さっきまでのどこかゆったりとしていた円運動が、ジンタの知っているリカの動きに近くなる。


 ――この動きはならっ!


 ジンタの中のリカの印象と、今までの動きの差違が大きく縮まる。


 数撃を躱しながらタイミング測る。


 ――ここっ!


 ぐいっと伸ばされた右腕、その突きのようなリカの爪をぎりぎりで躱し、ジンタはフォースソードを振る。


「甘いですわ」


 にやりと笑うリカ。


 同時に、ジンタの剣が大きく上へと弾かれた。


「なっ!」


「もらいましたわっ!」


 なんで弾かれたのか分からず混乱しているジンタへ向け、勝ちを確信したリカが左腕の爪を振り下ろす。


「させないお――っ!」


 ジンタの後方から叫ぶ声。

 と、同時にジンタのよく知っている小さい盾がジンタの前に現れ、リカの爪を大きく横に弾いた。


「「なっ!」」


 これにはジンタだけなく、リカまで驚いた。


「ジンさ大丈夫か?」

「あ、あーちゃん!」


 くるりと体に蔦が巻き付き、ジンタをリカから引っ張り離す。


「あーちゃんなんでこっちに? ラーナの方は――――」


 言いかけ、目を向けた先のイヨリに気付いた。


「……一体あれは?」


「りぜだお」


 あーちゃんが指差す方向、高さにして八メートル、距離にして三十メートル先でふわふわと浮いているリゼットの姿があった。


「リゼットが?」


「りぜが「ギャッ!」って言ったら、いよりがうごけなくなったんだ」


 体全体を使ってあーちゃんが教えてくれる。


「動けなくなった?」


 もう一度イヨリに目を向けると、あーちゃんの言う動かないのではなく、動けないのだと気付いた。


「拘束系のスキルか?」


 どっちにしても、これであーちゃんがこっちに来た理由が分かった。


 リカへと目を向ければ、向こうもラーナが合流していた。


「あーちゃん殿があまりにちょこまかと動くので合流されてしまいました、すいませんリカ殿」


「いえ、それはしょうがありませんわ。あーちゃんさんが相手だときっと私も相手にしづらいでしょうから」


 ――ああ、なるほど。確かに一生懸命走るあーちゃんに本気で攻撃するのは、中々無理だよな……。


 2人の会話に、ついついジンタも納得し同情してしまった。


 だが、それはそれ、これはこれで、合流出来たことを有効に使わせてもらうことにした。


「あーちゃん」


「なんだお?」


「リゼットの高さまで攻撃出来るか?」


「む~~、ここからはむりだお」


「真下なら?」


「いけると思うお」


 自信があるのだろう、ふんっと鼻を鳴らす。


「よし、じゃあそれで行こう」


 ジンタは、構えていたフォースソードを右手だけで持ち、あーちゃんの目の前に見せつけるように構える。


「あーちゃん、シールドソードを」


「二個とも?」


 目を輝かせてあーちゃん。


「ああ、二本ともだ」


 にぱぁっと笑い、あーちゃんが自身の獣人化である髪の蔦、その空いている二本の蔦で、ジンタのフォースソードの外側に付いている二つの丸い形をしたシールドソードを取り外す。


「これであーちゃんは武器が四つだ、ラーナは二つだから手数で負けることはないだろ?」


「これなら負けないお!」


「じゃあラーナを牽制しつつ狙い――――」


「りぜだお!」


「ああ」


 にっと笑いジンタは相づつ。


 フォースソードは四つの剣が組み合わさって出来ている剣。

 そのうち、外側にあるシールドソードの二つをあーちゃんに貸した。


 結果、ジンタには二つの選択肢が出来たことになる。


 一つは現在のままの大剣モード。


 これは重量も幅もそれなりある大剣中の大剣。


 もっともシールドソードがない分盾としての機能は下がるが、それでも規格外に幅広な剣だ。


 そしてもう一つ。


 その大剣を縦に二本に切り離し、片刃で長さは変わらない二本の長剣であるバスタードソードにすること。


 そして今回、ジンタはリカ相手にそのバスタードソードの二刀流を選択した。


「手数を増やす、ということですか?」


「ええ、どうも今のリカさん相手に一本では心許なかったもので、そうしました」


「よい判断ですわ」


 ほほほ、とリカが高らかに笑う。


「いきますっ!」


 合図はした。しかし相手が構えるより早く、ジンタはリカに向かって攻撃を仕掛けた。


 例え礼儀に反していたとしても、勝つために。




           ※※※※※※※※




 八本の蔦の内、二本を小さい五角形のシールド。そしてさらに二本で丸いまるで盾のような形をした剣であるシールドソードを持ち、あーちゃんはラーナと対峙していた。


「四本の武器、ですか……」


「そうだお~~。4つだお~~」


 まだ六才の割に、なんとも好戦的に目を輝かせて語るあーちゃん。


「これは、さすがに参りますね」


 ラーナが溜息を一つ吐く。


「らーな、いくおっ!」


 待つ気一切なしであーちゃんが攻撃を仕掛ける。


「むおおおおおおおおっっ!」


 二つずつの武器と盾を持った蔦がラーナに襲いかかる。


 二本の細いが長いレイピアでラーナはあーちゃんの攻撃を防ぐ。


 ラーナの捌く技術は熟練。

 まだ若輩のあーちゃんの大雑把で叩き付けるような攻撃をことごとく、いなし、逸らし、弾く。

 四対二の手数差をも無にするほどに。


 しかし、もう一つ違いはあった。

 射程が一メートルほど。


 ラーナがどんなに手を伸ばしても、その射程は二メートルほど、対しあーちゃんは蔦で三メートル以上を伸ばせる。


 どんなにラーナにうまく弾かれても、その間に次の攻撃をし、そして立て直す。


 それをくり返す。


「むおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!」


 顔を真っ赤にして、まるで激しく太鼓を叩くかの勢いで四つの鈍器のような武器をラーナに叩き付けていく。


 パキンッ


 乾いた音が響く。


 ラーナの持つレイピアの一本が折れた。


「くっ!」


 熟練とはいえ、今持つレイピアを使い出したのはここ一ヶ月ほど前。

 さすがのラーナもまだまだ手に馴染みきっていない、そして何よりこれだけ連続して叩き付けてくる鈍器のような攻撃にレイピアは弱かった。


「むおおおおおおおお――――っっ!!! ぶほっぶほっぶほっ!」


 これで終わりだと、より勢い込んだ攻撃を放つため、さらに顔を真っ赤にさせたあーちゃんだったがそれまでの長い時間の気合いの入れ過ぎで激しくむせ込んだ。


「チャンスですっ!」


 千載一遇のこのタイミングをラーナは逃さなかった。


 耐久力のほとんどないレイピアではなく、体を思いっきり捻ってからの尾っぽの攻撃を咳き込み膝を付くあーちゃんに放ってきた。


 あーちゃんの視界に、勢いよく振り回された装甲付きの太い尾っぽが見えた。


「むっほっ!」


 むせ込みながらも、あーちゃんの顔が笑む。


 っっっっっど!


 尾っぽにぶっ飛ばされた。

 勢いよく、空に向かって。


 すごい早さで遠ざかる大地と、小さくなっていく吹き飛ばしたラーナが見える。


 そのラーナは「あ、あれ?」とばかりにぽかーんと口を開け、あーちゃんを見上げている。


 それもそのはずだった。


 ラーナはあーちゃんを真横に吹っ飛ばすつもりだったのだ。それがなぜかあーちゃんは空高くに飛んでいってるのだから。


 レイピアと同じ頃に尾っぽの装甲も取り付けたのだろうが、もし直に尾っぽで吹っ飛ばしていたなら、どうしてあーちゃんが空に飛び上がったのかも触れた微妙な感触で分かったかも知れない。


 それはあーちゃんの戦闘と言うよりは遊びのセンスだったのだろう。


 始めから狙ってた訳ではない。


 ただ、勢いよく近づいてくる尾っぽが見えたとき、あーちゃんは即座にこれならいけると確信したのだ。


 そう思った時には、もう八本の内武器を持たない四本の蔦が動いていた。


 まず一本は、あーちゃんの体を軽く地面から持ち上げた。


 そして残りの三本は、ラーナの尾っぽに対し六十度になる角度でスプリングのようにグルグルと巻き上がり、迫る尾っぽのチカラと自身の蔦のスプリングのチカラを使って空へとすっ飛ばしたのだ。


「うっほほほ~~~~い」


 体全体に風を感じながらも、グングンと進む感覚につい楽しそうな声が漏れる。


 最近はめっきりやってもらってないが、あの楽しいイヨリのパワーでの高い高いと同じような楽しさ。

 初めてやってもらったとき、ミリアは羨ましげな顔をしていたが、近くで見ていたジンタが真っ青な顔をしていた記憶がある。


 その時と同じ、グングンと風を切りそして高く高く上がっていく自分が空を飛んでいるようでわくわくしてしまう。


 目を輝かせて楽しんでいるあーちゃんの視界に、背中の羽を緩やかに羽ばたかせてホバーリングしているリゼットが見える。


「いっくお~~~~」


 目を輝かせ楽しそうな顔にさらに好戦的な笑みを浮かべて、あーちゃんは八本の蔦を抵抗をなくすように背中に隠す様にしてリゼットに向かい飛んでいった。


『リゼット気を付けてっ!』


 遠くから、ロンシャンの危険を知らせる声が響いた。


「むおっ!」


 もう少し近づけると思っていたあーちゃんも驚く。


「なんだ?」


 それまでイヨリに掛けているスキルに集中していたのだろうリゼットだったが、声と自身のあほ毛の激しい反応に弾丸のように近づくあーちゃんに気付かれた。


「ぎゃっぎゃっぎゃっ!」


 慌てるリゼットに、


「むおおおおおおおお――――っ!」


 突っ込んで行くあーちゃん。


 二人の距離が、十メートルを切った位置で、


『リゼットっ! あーちゃんに『ノイズ』」


「ぎゃっ⁈⁈⁈」


 慌てるリゼットが、ロンシャンの声に反応して大きく息を吸い込む。


「『ギャリギャリギャリッ!!!』」


「むお? おおおっ!」


 あーちゃんの耳に届いたリゼットの声が、耳の奥に入っていくごとにとんでもない不快音と化し、体を蝕んでいく。


 リゼットの『ノイズ』の効果なのだろう。

 あーちゃんに締め付けるような偏頭痛の痛みと、激しい高熱の時のように関節が痛み体を動かすのも億劫になる。


 しかし、それでも一つだけ、あーちゃんは行動した。


 背に折り畳んだ八本の蔦を目一杯に広げたのだ。

 まるで蜘蛛の巣のように。


 恐がりながら目を瞑り『ノイズ』を放っていたリゼットに、あーちゃんが広げた蔦の一本が見事に絡む。


 蔦はリゼットに引っかかり、ぐるぐるとリゼットを中心にまるで縛るように絡まった。


「ぎゃっぎゃっぎゃっ!」


 まるで生きているように絡まる蔦に驚いたリゼットが悲鳴のような叫びを上げる。

 結果、それがリゼットが使っていた『ノイズ』の解除をも実行していた。


「むおっ!」


 偏頭痛と体の痛みがなくなったあーちゃんは、即座にリゼットに向け他の蔦も絡ませる。


「あーちゃんはなすよっ!」

「やだお~~~っ!」


 もう離さないとばかりに、あーちゃんはリゼットと自分を蔦でグルグル巻きにする。


「ぎゃっぎゃっ、あーちゃんそんなにぐるぐるしたら、リゼットとべないよっ!」


「むおっ⁉⁉⁉」


 リゼットの泣きそうな叫びと同時に、二人は真っ逆さまに落ちていった。


 森の中へと。




           ※※※※※※※※




 視界の先で、あーちゃんとリゼットが落ちていくのが見える。


 ――あーちゃんよくやった。


 思わず笑みが溢れる。


「楽しそうですわね」


 対面するリカが、ジンタの笑みを見たのだろう言ってきた。


「いやいや、緩急の円運動が中心の『ワルツ』、キビキビとした動きに変則性を持たせた『タンゴ』、そして艶めかしくも激しい動きをしつつ、今まで全くと言っていいほど使ってなかった足技を取り入れ、しかもそのドレスの長い方の裾に取り付けられている刃まで使った攻撃をする『ルンバ』の三種類。まったく俺でも知らないことをどうしてリカさんがそこまで知り得たのか知りたいぐらいだよ」


 肩で激しく息をしながら、ジンタは気を抜かずに返した。


 ここまでジンタは、はっきり言って押されっぱなしだった。

 三つの変則性のある動きをうまく使われ、それに振り回されていた。


 ジンタとリカとでは、そもそものパワー差もある。

 攻撃を受け止めるだけで体力を削られる。

 にも関わらず、防戦一方なのだ。


「そうですわね。あなたから教えられたことだけでは、きっとここまで形にすることは出来ませんでしたわ」


「だろうね」


 まったくその通り。

 なんせジンタはリカの動きについていけてない。

 つまり、リカのその動き方が分からないだから。


「まったく、リゼットのあのスキルといい、ラーナの武器といい、リカさんのその動きといい、俺の想像以上のものばかりだよ」


「それを聞くと、やはり嬉しいですわね。ですが、これだけではありませんわ」


 リカの目が細まり、鋭く光る。


「まだ……、なんかあるんだ」


「ええ、今の私、最大の技ですわ」


「最大、ですか……」


 正直、今でもギリギリだったのだ。今まで以上となるとジンタに受けきれる自信はまったくない。


 ゴクリと喉を鳴らすと、リカがゆっくりと両腕を頭の上へと持ち上げた。


「行きま――――」

 ッッッッッズン!!!!


 確信した笑みを浮かべたリカの脇腹に、丸く太い鈍色の棒が突き刺さった。


「「へ?」」

「はああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」


 何が起きたのか分からないジンタとリカが目を丸くする。

 同時にリカに突き刺さった鈍色の棒がグルリッと捻られた。


 瞬間、リカの体が両腕を上げたまま横にくの字になり、そのまま湖畔に向け吹っ飛んでいった。


「うおっ!」


 あまりの出来事にジンタは固まったまま叫んだ。


 視界に発頸を放ったイヨリの姿が映る。

 はっとなり、すぐに目で追ったリカは湖畔の表面を四度飛び石のように跳ねて、ぼちゃんと湖に落ちた。


「お、おお……」


 ぼう然と眺めているジンタの横にイヨリが来る。


「大丈夫でしたか、ジンタさん」


「あ、ああ、俺は大丈夫だけど。えっとリカさんが……」


「リカさんならあれ位大丈夫です」


「え? ああ、そうだけど。なんかこれから最後の必殺技というか、なんかだそうと――」

「これは家族戦ですよ。横やりが入ることを想定していない方が悪いんです」


 にっこりとイヨリ。


 ――あ、なんだろう。イヨリがすごいすっきりした顔してる……。


 日頃、食事のことや掃除のことなどで、何も手伝わないのにまるで姑のようにことあるごとに言ってくるリカに対して、色々鬱憤うっぷんが溜まっていたのだろう。


「さあ、終わりましたし戻りましょう」


 満面の笑みの後、イヨリは湖に背を向け歩き出した。


「う、うん、……そうだね」


 リカの沈んだ場所へと、先生方が泳いで向かっているのを見て、ジンタもとりあえず「なんかごめん」と頭を下げてイヨリの後を追った。


 ジンタとイヨリは、リゼットと落ちたあーちゃんを迎えに行こうとしたが、あーちゃんの方が手を振り走って戻ってきた。


「あーちゃん大丈夫だった?」


「あーちゃんもりぜも大丈夫だお~~~~」


 あーちゃんの顔にはいくつかすり傷はあったが、それ以外は大丈夫そうに見える。


 イヨリがあーちゃんを抱き上げ、三人でミリアの元へと向かう。


「…………………………あれ? そういえばラーナは?」


 ふと、ジンタはもう一人の存在を思い出した。


「ラーナさんなら、あーちゃんがリゼットさんと一緒に落下している時には、もう私が殴り飛ばしてましたけど」


「へ?」


「えっとですね。そもそもリゼットさんのあの束縛なのか重力なのか分からないスキルって、どうもリゼットさんが見ていてしかも集中していないといけないらしくて。あーちゃんがリゼットさんのところに飛んでいったあの時、リゼットさんがあーちゃんに意識を向けて解除されたんです。だからその後のリゼットさんがあーちゃんにもう一つのスキルを使った時には私はもう動けるようになっていたので、あーちゃんとリゼットさんの戦いを見ていたラーナさんを問答無用で殴り飛ばして、そして確認もせずにすぐジンタさんのところに行ってリカさんも殴ったんです」


「へ、へ~~……」


 この家族戦において、ここまでクレバーに本質を理解して実行するとは……。

 我が家族、そして我が最愛の人ながらジンタも少し恐くなり背筋が寒くなった。


 ルンルン気分で歩くイヨリと抱っこされるあーちゃん、そしてちょっと後ろを怖々として付いていくジンタがミリアの元に戻ると、レフリーが試合終了を告げた。


 大歓声の中、


「むあ? 終わった? じゃあ早く帰ろうよ、わたしも早くお菓子食べたいし」


 うとうとの後、大欠伸おおあくびしているミリアにゲンコツして、イヨリは抱いているあーちゃんとミリアの手を引っ張り会場を出た。


 その光景を後ろから見ていたジンタは、


 ――イヨリ……、なんかますますおかんっぽくなってない?


 と、思ってしまった。

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