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浮遊石 二

「そんなんじゃダメだよ! わたし達の方からドラゴンを退治しに行かないと、次はもっと大変になるんだから!」


「だからさっきから言ってますが、こっちにしても被害は甚大なんです。おいそれとこちらから攻めるなんて出来ないんですよ!」


 ロンシャンに引っ張られ着いた先では、ミリアとカインが顔を近づけ睨み合っていた。



「えっと……、これは?」


 ロンシャンから大変とだけ聞いていたジンタだったが、まさか弱ってるどころかこんな元気な姿で言い合うミリアの姿を見るとは思ってもなかった。


 だから余計に混乱し、つい手まで上げて、質問するように聞いてしまった。


「この子ってば目を覚ますなりいきなりドラゴンを追撃しないと、って言いだして」


 まさか、カインと睨み合い言葉をぶつけ合うほどミリアが興奮して突っ掛かるとはさすがにイヨリも思っていなかったらしく、どうしていいのか困り果てていた。


「それでここまで興奮してるのか?」


「それがミリアちゃん、討伐を急がないと次はもっと被害が大きくなるって、言っていて」


「被害が大きくなる?」


 飛んで逃げていくドラゴンの状態を見る限り、ダメージは相当なものだとジンタも思う。

 そんなすぐに攻めてくるとは到底思えない。


 ジンタがそう思ったように、周りの大半もそう思っているのだろう。

 だからみんな、ミリアを押さえる方に回っているのだろう。


 実際、カインとミリアの間に麗火が手を広げて立ち、突っ掛かろうとするミリアをイヨリとエルファスとミトとリゼットで囲んで押さえている。


「ふむ、えっと、ミリア?」


 キッと睨み、ミリアがジンタに語気荒く言う。


「ジンさん、早くあのドラゴンは倒さないとまずいんだよ! あいつ飛んで逃げる時にカナンの街を見つけちゃったんだよ!」


「カナンを見つけた?」


 確かに、ドラゴンは空を飛んでいた、四・五〇メートルほどの高さで、さらにドラゴン自身の大きさを考えれば七〇~八〇メートルの高さと言ったところか。


「だから、ドラゴンは次に攻めてくる時、砦を飛び越えてカナンに攻めて来ちゃうんだよ!」


 いつになく必死で、嘘なぞ微塵も感じさせないミリアの表情。

 きっとイヨリや他の仲間達もそれが分かっているのだろう、だから押さえるだけで止め切れないのだろう。


「ですが、尻尾まで切られ、これほどの出血までしたあのドラゴンだって、しばらく、もしかすれば数百年ぐらいは攻めてこないかも知れない、それに少しは落ち着いて周り見て下さい! これだけの人達が戦い、傷付いて、死者だってたくさん出ているんです。すぐに行動に移すことは今は出来ません!」


 言い返すカインの言葉は、それこそジンタが思っていることそのものの正論。

 ジンタから見ても、落ちている尻尾はほぼ根元からだろう、もうドラゴンに尻尾はないと言えるほど、深くバッサリと切られている。


 そしてここにいる全員が、尻尾を切られた際に流したドラゴンの血で真っ赤に染まっている。

 それだけの出血をドラゴンはしているのだ。


 そんな相手がすぐに攻めてくるとは考えづらい。


「分かったよ、すぐにじゃなくてもいいんだよ! でも、討伐に行くことだけは決めておかないとっ! 数日後に出発するぐらいの気持ちを持っておかないとダメなんだからっ!」


 言い返すミリアは必死だ。

 きっと本心でそう思っている。


 だからみんなも困っている。

 ジンタも、どうしたものかと、困っていた。


 ビリリッ!


 そこに布を引き千切る音が響いた。

 これだけ緊迫しているタイミングでだ。

 当然全員の目がそちらに向く。


 保健医だった。


「やれやれ、しょうがないからポケットを引き千切ってしまったよ」


 パタパタとA五サイズほどの紙のような、板のような、やや鈍色っぽいものを団扇代わりにパタパタと扇いでいる。


「おいおい、このタイミングで――――」


「空気を読んではいるさ。だからこうして一張羅の白衣、――いや、今は血に染まっているから赤衣か、そのポケットをこう強引に引き千切ったんじゃないか」


 反対の手で持ってペラペラ振っているのは、剥ぎ取ったポケットだろう、真っ赤だ。


「で、なぜそれが空気を読んでいることになるんだ?」


 その行動、それがどうして空気を読んでいるのか理解出来ずに、首を振った。


「あのな君。私のポケットに入っていたのはなんだ? 君にはさっき散々教えただろう?」


「何って、あの石だろ?」


「そうだが、そもそもあの箱はどんな時に開くものだったんだ?」


「それは非常時に……」


 そこまで行けば、ジンタとてなんとなく分かってくる。


「そしてそれは、今しがた開いた。恐らくドラゴンの血を全身に浴びた時、にだ」


 扇ぐのに使っていた、A五サイズの鈍色の紙だか板をピタリと止める。


「まさか、それが箱だったやつなのか?」


「ああ、あの小さい箱が、こんな形になってしまっては、普通より大きい私の白衣のポケットでも、出せなくってな。だから破いた。」


「で、それは一体?」


 遠く離れているわけではないが、それが何かまではジンタには分からなかった。


「私も少し驚いたんだが、これはな、どうもドラゴンの鱗だ。しかもかなり柔らかく細かい部分、恐らく首とか顔周りじゃないか?」


 ジンタに見せる、と言うよりは、その場にいる全員に見せるように鱗を前に出す保健医。


「そして、これはやっぱり非常時。つまり今回のドラゴンのために用意されていたモノらしい」


 保健医はさらに反対のポケットから『浮遊石』を取り出して見せる。


「と、言うことは……」


「ああ、書いてあったよ。この箱であった鱗だろうものに直接削ってな」


「なんて?」


「『ドラゴンは飛ぶ。選ばれた少数の精鋭を率いて、石を持ちドラゴンの巣で戦え』と」


「……マジかよ」


 飛ぶことを今さら言われてもと、ジンタはパチンと右手で目を覆った。


「まあ、それは手遅れかもしれないが、やはりこの箱の持ち主はドラゴンの存在を知っていて、しかも私達より詳しかった、ということだ」


「そう……なるのかな?」

「うむ、そうなるな」


 疲れたようにジンタが溜息を吐いて俯く。

 保健医は、面白そうにまたパタパタと扇ぎ出す。


「あの、お二人は一体何の話を?」


 ジンタと保健医、二人の一連のやり取りが終わったと感じたのだろう、この場にいるみんなを代表して、カインが手を上げる。


「ああ、えっと、うん……」


 頭を上げたジンタは、ボリボリと頭を掻いて、保健医を見る。

 しょうがない話すのを許してあげるぞ。的な表情と、偉そうな頷きで保健医はジンタに応じた。


「あ~~、みんな知らないとは思うけど、みんなの通っていた中学校に『開かずの箱』だっけか?」


「いや『非常時に開かれる箱』だ」


「そうそう、なんかそんな名の付いた箱があったんだけど。それが開いちゃったらしいんだよ。しかも、よく見ればその箱を形作っていたのが、ドラゴンの鱗らしくてな」


「そんなモノが存在していたなんて……」


「カイン、びっくりする気持ちと、もっと早く教えて欲しかったと言う気持ちも分かる。しかし、先生方もこの箱が何なのか知らなかったんだ。だから箱が今回のことに関係あるのかどうかも半信半疑だった」


「そう、ですか……」


 さすがにちょっとショックを隠せないカインが、納得したのかしていないのか分からない感じで小さく頷く。


「それで、その箱の中には四つの石が入っていた」


「石、ですか?」


 呆ける形のカインに代わり、ロンシャンが引き継ぐ。


「ああ、なんとその石は『浮遊石』って呼ばれる石らしくって、魔力を流すことで浮ける」


「空をですか⁉」


「そうだ、空を浮ける」


「おいおい、そんな石本当にあるのかよ」


 ミトが、みんなを代表する様に、おちゃらけバカにするような素振りを見せる。


「はぁ~、ミトそこまで信じてないってのか? まあ最初は俺もそんな態度だったけどなぁ」


 ジンタは、俺だけは知っているとばかりの笑みで返す。


「センセー、お願いします」


 あからさまに言葉使いまで怪しい人のように、ジンタは保健医に手を向ける。


「私がやるのか? まあ構わないが……」


 手に持つ『浮遊石』を、四つの内三つをポケットにしまい、保健医は一つを軽く握る。


「よっ!」


 軽い感じの掛け声と同時に、保健医の体がふわっと宙に浮く。


「かっっっ! ま、マジかよ……」


 どこぞの雑魚キャラよろしくに、ミトがその場で大仰に驚いて尻餅をつく。


「わわわ……ほ、本当に浮いてる」

「『浮遊石』確か何かの物語の中で、書かれてはいましたが、実在してるとは……」


 尻餅ついているミトの後ろに隠れるエルファスに、思い出し感心するロンシャン。


 他は、全員カインでさえもぽかんとした顔で、地面から数十センチ浮いている保健医を眺めている。


「見せるのはこれぐらいで良いかな?」


 ご満悦な顔で保健医は眼鏡を押し上げ、地面に下りる。


「さて、試しにやってみるかい?」


 手に持った石と、ポケットから出した三つの石を保健医が前に差し出すと、


「はいはいはい! 私やります!」

「ぼ、僕もやりたいです!」

「わたしもやるよぉ~~~」

「み、皆さんがやるならわたくしもっ!」


 目を輝かせたミリア達四人の他、


「おれもおれもっ!」

「おれっちもやってみてぇ!」

「私も空飛んでみたいです」

「そうですわね、少しリゼットの気持ちを知るのも悪くはないですわね」

「わ、私も、と、飛ぶのは恐い気もしますけど、浮くだけならやってみたいです……」

「わ、わっちも、浮いてみたいだ」

「新しい発見があるかも知れませんからね、ここは私も飛んでみたいと思います」

「あーちゃんも! あーちゃんも飛ぶぉ~~っ」

「リゼットもっ! リゼットも飛びたいぞ!」


 何か若干、約一名、飛べる輩も混じっているが、イヨリ達も全員手を上げる。


 そしてそれで全員かと思ったら、


「ぼ、僕も飛べるなら飛んでみたい」


 リーダーとしての厳格さよりも、好奇心に負けたカインまでも手を上げた。


 その盛況ぶりに、超のつくほどご満悦そうな態度をとる、保健医がにたぁ~~っと残忍に笑み、告げる。


「いや~~それはしかし残念だなぁ~」


 もったいつけるように、そして見下すようにアゴを上げて、ゆっくりと眼鏡を押し上げてから保健医は続ける。


「これはさっきも一応言ったんだがね、魔力を扱える者しかこの『浮遊石』は扱えないんだよ」


 そこでまた止める。

 意味を飲み込めず全員がどういうこと? と首を捻る。


 普段、あまり魔力がどうとかそう言うのを気にしてないが、この世界で魔力を扱い、魔法を使えるのはエルフであるマスターのみ。


 ジンタは特殊すぎるほど特殊なだけで、通常『召喚されし者』で魔力を扱える者はいない、というのがこの世界の常識となっている。


 まだ、その言葉の意味を完全に理解出来ずにいる全員。その中の『召喚されし者』達の方を見て、保健医は止めの言葉を発する。


「魔力を扱える者、つまりこの石は魔法を使えるエルフにしか扱えないということなんだよ」


 勝ったぜ! と書いてあるかのようなドヤ顔をして保健医。


「えっと……それって……おれは……?」


「うむ、この石を持っても浮くことは出来ない」


「おれっちでもか?」


「無理だな」


 弾むように浮かれていた気持ちが一気に急降下したのが分かるほど、『召喚されし者』達全員の顔から笑みどころか表情と瞳の輝きが消えた。


「む……、さすがにからかい過ぎたか?」


 さすがにこんな保健医でも空気を読めた。


「一応事実かも知れないけどな……やっぱ空を飛びたいというか浮きたいって気持ちは飛べない者にとっては、やっぱりなぁ……」


「む、むぅ~~、それは少し調子に乗りすぎたな、すまないな諸君」


 素直に謝った。

 それほどの落胆振りをみんなは見せていた。


「リゼットも、その石で浮きたかったよ……」


 一人だけ、自力で飛べるのに悲しそうに泣く、お馬鹿な子がいたが……。



『召喚されし者』達が死んだようにがっかりする中、盛り上がるのはマスター達だった。


「じゃあ、魔法が使えるわたし達は、それを使えるんだよね」

「そう言うことですよね? では一つ貸して下さい」

「あ、ロンシャン君ずるい、私も一つ」

「エルファスさんもずるいですわ、私も!」

「ぼ、僕も一つっ!」


 四つある『浮遊石』は、ロンシャン、エルファス、ベンジャミン、カインの四人が持った。


「いいか、ゆっくりと魔力を石に送り込むんだ」


 保健医の指示の元、四人が手に持つ石に魔力を注ぐ。


 ふわっと、まず四人の髪と服がまるで重力から解き放たれたようになびく。

 そして、ゆっくりとまるで誰かに持ち上げられるように、それぞれの体が浮いていく。


「お、おおおぉぉ」

「うはぁ~~」

「わわわわっ」

「ひゃあぁぁ」


 宙に浮いた四人は、それぞれ声を出す。


 ロンシャンとカインは、普段の大人びた雰囲気ではなく、年相応の好奇心旺盛さを顔に浮かべ、楽しそうに。


 エルファスは、おっかなびっくりで必死にミトを掴もうとバタバタしている。


 ベンジャミンは、最近見なくなっていた顔の左右にある縦巻きロールを掴み、必死に引っ張っている。


「これは、本当にすごいですね」

「ああ、これはいいなぁ……」


 興味や好奇心が旺盛なロンシャンとカインが、まずは慣れてきたのか口を開く。


「これって魔力の放出を上げれば、もっと高く上がれますね」

「そうだね、でも石の大きさも関係してるんじゃないかな?」

「そうかもですね」



 二人は検証するように、魔力の送る量を増やしたり減らしたりしてるのだろう、三〇センチから七〇センチほどの間を行ったり来たりさせている。


「ベンジャミン、どんな感じだ?」


 松の問いに、ベンジャミンは答える。


「なんかフワフワしていて変な感じですわ」


 ベンジャミンは、必死に左右のロールを引っ張りバランスをとりながら答えた。


「ふむ、ベンジャミンは、あの縦巻きロールでバランスをとっているようだな」

「なんか、そうっぽいな……」


 右に傾きかけると左の縦巻きロールを引っ張り、左に行きかければ右の縦巻きロールを引っ張ってるベンジャミンに、保健医とジンタはあれはベンジャミンの体幹バランスの要なんだと合意した。


「エルファス、お前せっかく浮いてるんだから、とりあえずおれから手を放してみろよ」

「ええ~~」


 ミトのポニーテールを掴んでいるエルファスが泣きそうな声をだす。


「とりあえず、あんまり高くは飛ばないみたいだし、行ってこい」


 ミトがエルファスの手を掴み、強引に離させる。


「いや、ちょ、ミト、私まだ気持ちの準備が」

「いや、とりあえずお前は、少し強引にやらないと自分でやらないだろ」


 離させる、掴む、離させる、掴む、と二人の手が交互に動いていく。


「ほんといい加減に」

「いや、いやあぁぁぁ~~~~」


 最後に離させようと掴んだミトの手をエルファスが掴み返す。


「お?」

「あれ?」


 互いの手首を掴んだ状態でエルファスだけじゃなく、ミトも浮いた。


「お、おぉぉぉ! おれも浮いてるぜ……」

「え、えぇ⁉⁉」


 慌てるエルファスに嬉しそうなミト。


「ほぅ~、互いにちゃんと接触していれば本人以外も浮かせることが出来るのか……」


 保健医は初めて知ったのだろう。新しい発見に興味津々で見ている。


「でも、その分浮ける高さが低くなりますね」


 理屈を理解し、石を使いこなしはじめたロンシャンが指摘する。


「ふむ、確かに浮いてる高さが低いな、エルファス、もう少し魔力を注いでくれないか?」


 ここは学者だけあり、保健医は真顔で指示を出す。


「えぇ~~」

「エルファス、こう、もっとぶわってやっちまえっ!」


 自分も浮いたことに興奮し楽しんでるミトも煽った。


「ど、どうなっても知らないからねっ!」


 頬を張り、むくれっ面でエルファスが言い、目一杯に息みだす。


「むむむっ――――」

 顔を真っ赤にするエルファス。


「おおおっ! がんばれエルファスっ!」


 大喜びのミトが声援を送るが、


「もうだめぇ~~~~」


 全身の力が抜けきったように、地面に落ちてへたり込むエルファス。


「六〇センチっと言ったところですかね?」


 そこまで確認してカインが言う。


「そうだな。まあ、何となく分かっていたが、そんなもんだろうな」


 保健医もやはりかと頷いた。


「質量的に増えるからですかね?」


「そうだろうな。魔力が大きければもっと高く上がるのかも知れないが、あの大きさの『浮遊石』だ。二人分なのを考慮すれば、あんなものだろうな」


 ロンシャンも試しとばかりに目一杯に魔力を注いだのだろう、一メートル以上の高さまで浮いたが、それ以降はあまり伸びない。


 カインやベンジャミンもやってみるが、同じぐらいか、いいところ一〇センチ程度の誤差範囲だ。


 全員が浮いているのを見ていたミリアは、次は自分の番だと鼻息を荒くして、疲れて座っているエルファスに近づいた。


「ねえねえエルちゃん、次はわたしがやるよ、石貸して」


 ミリアが手を伸ばす。


 それを見てはっとなった。

 ジンタは石に触れようとするミリアの手を、慌てて掴む。


「なに、ジンさん?」


「い、いや、なんかもの凄く嫌な予感がするんだが……」


「え? どんな?」


「なんというか……。とりあえずミリアはここでその石を持つのはマズいように思う」


 ジンタとミリアのやり取りを聞いて、ロンシャンと保健医とカイン、そしてベンジャミンも何かを察したのか、ジンタのフォローに入る。


「うん、ミリアちゃん。僕もなんかミリアちゃんはここでその石に触れるのはまずいと思う」


「ロンシャンの言う通りだな。僕もしっかりとした天井のあるところでないと危ないような気がする。


「一応の可能性だ。ミリアリタ、君はみんなの言う通りここではそれに触れるのは待った方がいい」


「ええ、ミリア。わたくしも皆さんに同意ですわ」


 全員が石へと手を伸ばしているミリアの手を掴んで止めた。


「もう、どうしてなのか分からないけど、みんなだけずるいよ。でもみんながそこまで言うなら早く砦に戻ろう。わたしもその『浮遊石』を持ってふわふわ浮きたいんだから」


 どうしてなのかは納得はしていない。しかし、みんなが言うのならと、ふくれっ面気味でミリアは歩き出す、砦へと向かって。


 何となく嫌な予感がした四人はほっと胸を撫で下ろし、その場に居た全員と一緒に早足で歩いて行くミリアの背中を追い掛けた。

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