表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

5話 アグネスの誓い(後編)

「 野菜工場の少女アグネス 」


挿絵(By みてみん)




5話・・・アグネスの誓い(後編)・・・




「アグネス姫様! 大変で御座います!


私と一緒にお城へお戻り下さい!!」



野菜を無事に取り戻したことを知った王様は、

急いでアグネスを迎えに行かせたのでした。




「そんなに急いで、


いったいどうしたのですか?」




「王妃様が大変なんです!


詳しいことは、


戻りながら御説明いたします、


さぁ 姫様! 早くお乗り下さい!」



魔女から野菜を取り戻したアグネスは、

野菜工場で待っているカール叔父さんの元へ、

一刻も早く野菜を届けるように、

ネオールとテンにたのむと、

急いで王妃様の待つお城に戻りました。


道中で王妃様の話を聞いたアグネスは

お城に着くと急いで大蛇から受け継いだ力を使い、

王妃様の傷を治しました。


そして王様と王妃様に龍と大蛇から受け継いだ、

指輪とペンダントの不思議な力のことを話しました。


妖精の国から来た王妃様は、

アグネスの話に、

忘れかけていた秘密の伝承の書に刻まれていた、

一行の言葉を思い出しました。

その伝承の書には、

(やがて四精霊の力を持つ者が現れ、

妖精の泉を浴びて人となり地球を救うであろう)

と刻まれていたのです。


もしかするとアグネスとネオールが

地球を救う選ばれし者かも知れません、

そうであれば四精霊の話を、

アグネスに話さなければならないと、

王妃様は思いました。


挿絵(By みてみん)



「これから言う母の話を聞いて下さい」


そう言うと王妃様は不思議な力にまつわる、

妖精の国に伝わる四精霊の話をアグネスにしました。




「私の生まれた妖精の国の伝承の書に、


四精霊となれし者の記述があります。


大地の神は生命を作る前に火を使い山を築き


水を降らせ湖や海を作り、大地に植物を作りました。


そして風を使い植物の種を、地球の隅々まで運んだのです。


大地の神は、その、水、火、風、地を守るために、


龍、光鳥、天馬、大蛇、を作り、その者達に地球を守らせました。


そして大地は人間を作る時、その守護者達を人の姿に変え人間を導く者としたのです。


しかしやがて人間達の手によって、葬られてしまったと伝えられています、


その者達の魂は、


水、火、風、地の精霊の姿となり、今も生き続けているのです。


しかし精霊となりし者は2度と精霊の姿では、


その地を離れ、生きて戻ることが出来ない定めなのです、


やがて精霊達は精霊と物質世界をつなぐ物質に姿を変え、


洪水を起こし、山を噴火させ、嵐を起こし、


大地を切り裂いては、今も人間達を懲らしめ戒めているのです」




「お母様!? もしかして、


湖の龍が水の精霊・・・、


そして大蛇が地の精霊だったのですか?」




「そうですよ、アグネス!


あなたは今、水と地の精霊の力を手にしたのです。


もしも予言の通りなら・・・、


そしてあなたが選ばれし者なら、


あなたはこの先、火と風の精霊の力を受継がなければなりません。


そして地球を救うのです!


そのためには妖精の都に行って、


妖精の都のはるか西にあると言われる、


光鳥と天馬の住む精霊の手がかりを探すのです。


もう時間がありません、


人間達の自然破壊や貧困に苦しむ人々の数は、私達の想像以上に進んでいるのです。


支度が出来次第、妖精の都に出向かなくてはなりません。


龍と大蛇の力を得ることが出来きたあなた達なら、


必ずやり遂げられると、お母さんもお父様も信じています」




話終えた王妃様は、アグネスを見つめニッコリ微笑みました。


王様の人間を守る心と王妃様の自然を守る心の、両方の妖精の血う受け継いだアグネスは、

四精霊の力を借り、地球に住む人々と自然を救いたいと心に強く誓うのでした。



それから1ヶ月が過ぎ、妖精の都に旅立つ日が近づいて来ました。

王様は国の政治をつかさどる全ての者たちをお城に集めました。



「我が娘のアグネスとネオールが力を合わせ、


北の魔女から悪魔を追い払い、


この国の危機と未来を救ったことは、皆も承知であろう!


よって余はネオールの功績に報いるよう、


国の平和をつかさどる、オルトの称号を与えようと思う、


皆の者!? どうじゃな?・・」




「王様! それはなりませぬ!


国の祭りごとや人事は全て、


我々が、取り扱う決まりで御座います」




「だからこうして頼んでおるのじゃ?・・・」




「いくら手柄を立てたと申されても、


オルトの称号は代々国に仕える者のみが、


受け継がれる称号と決まっております、


しかもまだ、若輩者で御座います」




「何を申す!


この国を救った恩人を、決まり事で消し去れなどとは、


この国の何処の書物にも、書いてなどないぞ!


それとも若者には、任されぬと言うのか!?」




「王様! 決してそのような事は御座いません、


・・・


王様!! なにとぞお考え直しください!」




「何を考えろと申すのじゃ!!


・・・ならばその上の!


王宮一族にあたいし、夢と未来をつかさどる、


テレサの称号を、王の王族に属する権限として、


即刻、ネオールに与えるとする。


よいか、早速! 国中の者たちに申し伝えるのじゃ!!」




「王様!・・・ それはなりませぬ!!


ネオールは武術が得意とは言え、


民の息子の妖精で御座います。


そのような前例はありません、


まして称号を与えるなど、許されることではありません、


王様!?どうぞお考え直しください!!」




「お前達は何故に、前例にこだわるのじゃ!、


時代は流れておるのだぞ!!、


秩序は確かに大切だが、差別による秩序など、


この夢の国ではあってはならんのだ!


前例が無いと言うことだけで、


この国を変えずしてどうするのじゃ!!


・・・皆の者、ならば良く聞くがよい


皆も知っての通り、


明日、我が娘アグネスとネオールは、


王妃の意思を受け継いで、


自然と生物を守る妖精の国に、旅立つこととなった。


もし2人が試練を乗り越え、戻る日が来たその時こそは、


ネオールのさらなる偉業を認め、そして我に従うか!?・・・」




「王様! もしもそれほどの者であるならば、


我ら一同も、王様のご意向に従います」



王様は皆の返事に、ホッと胸を撫で下ろしました。

やがて夢の国と妖精の国が、

テレサの称号を与えたネオールの働きにより、

一つになる日がこようとは、今はまだ王様さえもわかりませんでした。


翌日、王様と王妃様に見送られ

アグネスとネオールは西の都、妖精の国に向かい出発しました。




「ネオール? 


私!絶対に精霊の力を手に入れてみせるわ!!、


そして精霊達の意思を継いで、


人間達に自然の大切さと、


平和や優しさの大切さを伝えるわ!、


だからネオールも、


私の力になって下さいね」




「はい!・・・


辛く険しい試練が待っていると思いますが、


アグネス姫なら、きっと全てを成し遂げられると思います。


・・・それに!


アグネス姫が大好きな、僕がついていますからね!


たぶん間違いないでしょう!?」




「もう! ネオールったら!!」




「あははは・・・」



恥ずかしくなったネオールは、

顔を見られないように、サッさと歩き始めます。

アグネスも離れないように、

慌てて後ろからついて行きました。


朝の陽射しが露草に光り、

広い草原がまるで虹色のカーテンのように、

光、輝いています。


2人はまた新たな試練を乗り越えるために

見知らぬ都、妖精の国へと、

虹色のカーテンの中を、西へ向かって歩いて行きました。


挿絵(By みてみん)


出逢い編・・完


次回・・・旅立ち編

6話 「隠された伝承の書」

お楽しみに。



agnes


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ