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3話 「 大蛇の住む谷 」

挿絵(By みてみん)



「 野菜工場の少女アグネス 」



挿絵(By みてみん)




3話・・・大蛇の住む谷・・・



アグネスとネオールは龍から授かった愛の水を手に、

東の山深くに居ると言われる大蛇の谷に、

愛の土を求めて向かったのでした。

ネオールはお爺さんに聞いた大蛇の話をアグネスに語りました。




「大蛇には人類はるか以前昔からの言い伝えがあります


地球が出来た時そこには焼け付くほどの大地しかありませんでした、


大地の土地から出た熱は蒸気となり、


雨を降らせ海を作り、


そして植物を生みました。


大地はやがて土からさまざまな生物を作り、


大地は大切な大地を大蛇に守らせていました。


そして地球上のすべての生命を守ることの出来る、


知恵や言葉を持つ強い人間を、


土と動物の骨と肉から作りました。


けれど人々はその力で、


争いや奪いあう日々を繰り返すようになりました。


見かねた大蛇は大地を揺らして、


争いや奪いあう人々を、海の中に沈めてしまったのです。


そして残った人々の心を導こうとしました。


けれど人々の邪悪な心はやがて大蛇をも、


2度と出られぬ東の谷の洞窟に封印してしまいました。


それから2万年・・・、


今も大蛇は封印された谷にいると、


お爺さんが言っていました


・・・」


「あっ!・・・


あの谷・・・!!」



行く手に黒い霧に包まれたの谷が見えました。

近づくにつれその奥に大きな洞窟が不気味に口をあけています。

そっとアグネス達は洞窟の入口に舞降りました。

洞窟の中は奥深く続き暗くて何も見えません。

ネオールはテンに中を照らすように言うと、

勇気を振り絞り、

ひとり先に奥へと進みました。




「アグネス姫! 


来てください!」



テンを連れ、

アグネスは急いでネオールのもとに向かいました。

そこには大きな石の扉があり、

その扉には何か書いてありました。

テンが扉を明るく照らすとアグネスが言いました。




「この文字は・!?・・


間違いないわ!!


古代メソポタミヤ時代の文字です。


最初の文字


これは呪文のしるしの呪いが刻まれてるわ!。


次は大地の大をあらわしているみたい。


その次の文字は・・・


思いだせないわ?


前が大だから・・・


その次はたぶん蛇だと思うのだけど・・・?」



アグネスは不安になりました、

それは蛇ではない気がしたからです。

知らないネオールとテンはこれで扉が開くと思い、

喜び無邪気にはしゃいでいます。




「ネオール! 


喜ぶのはまだ早過ぎますよ!


読んだだけでは中には入れないでしょう!?」




「えっ!?・・・



普通は読めば扉が・・・?」




「もぅ バカ!ネオールったら!!」



最初に喜んだのはテンだよと言いながら、

ネオールはテンの後ろに隠れました。

それを聞いて慌てたのはテンです、

羽をパタパタさせて、

違うとアグネスにアピールしたのでした。


挿絵(By みてみん)



そして簡単に呪文を解くことが出来ないと知った2人は、

手分けして探すことにしました。

文字の読めないネオールは、

ネット検索で呪文の言葉を探すことにしました。

アグネスとテンは洞窟内に刻まれた文字を解読して、

扉を開ける呪文の手がかりを探しました。

洞窟の壁には逃げ惑う人々様子が鮮明に描かれ、

石板には、

「やがて、姿を変え人々に天罰を下すであろう」

と書かれています。

けれど洞窟に刻まれた文字や壁画からは、

呪文の手がかりらしき物は見つかりませんでした。




「ネオール? どぅ?


開きそうな呪文が見つかりましたか?」




「はい! 2つほどヒットしました!」




「よかったわ ネオール!


それなら早く唱えてみましょうよ!」



ネオールは扉に向い自信タップリに、

高く指を差しながら大きな声で叫びました。


挿絵(By みてみん)



「ひらけーゴマ!?・・・シ~ン


もしや コマ?? ヘビかなぁ?? 


・・・シ~ン


ならば!チチン~プィプィ!?・・・シ~ン。


フィフィ? ポィポィ?? おかしいなぁ?・・・


アグネス姫!何故かダメみたいなのですが??」



そんな誰もが知っているおとぎ話の呪文で、

簡単にこの扉が開くはずはありませんでした。

その時、突然テンが扉に向かって体当たりを始めました。

2人には聞こえない声が、まるで扉の中からテンを呼んでいるかのようでした。

しかし大きな石の扉は、テンが体当たりしたぐらいではビクともしませんでした。




「そうだ! 湖の龍ならこの大きな石の扉を動かせるかもしれません!?」




「そうね・・・」



そう言いながらアグネスは電話で聞いた、

お父さんの話を思い出したのでした。




「でも確か龍は!?・・・


龍が湖を離れた時、


その不老の命も消えさり、


やがて息絶えるであろうと聞きました。


やっぱり、そんなことを頼んだら・・・


龍が死んでしまうわ・・・」




「アグナス姫! 


でもこの扉を開けるには龍の力が必要なんですよ!」



アグネスは悩みました。

人々を野菜嫌いにさせて、

地球から野菜を消滅させようとしている魔女のたくらみは、

なんとしても防がねばなりません。

それでもアグネスは龍の住む湖を旅立つ時に、

2人の姿が消えるまで手を振っていた、

龍の優しい姿を思い出すと、

かわいそうで涙が出てくるのでした。

沸き上がる涙をぬぐおうと指が頬にふれたとたん、

龍から授けられた指輪が水色に光始めました。

龍の指輪は優しい愛の涙にふれた時、

龍の力を与える指輪だったのです。

指輪から水色の光が大きな渦になって、

洞窟の石の扉に向って飛んでいきす。

光の渦は石の扉に吸込まれるように流れていきました。




「アグネス姫! 


見て下さい!!


光の渦の輪が扉の向こうまで繋がっています。


急いでこの中を通って行きましょう」



アグネスは指輪をテンに持たせ、

ネオールと水色の渦の中へと入って行きました。

渦の中はまるで、

水に包まれた道のようでした。

龍の光は、

硬い石も水に変える不思議な力を持っていたのです。

扉の中は広く回りは天高くまで石で囲まれています。

空には星が輝き、

石の上に横たわる人影を、

月明かりがぼんやりと照らしていました。




「石の上に、誰かいるようです?」




「えぇ私にも見えるわ・・・


行ってみましょう」



2人は用心しながら、

そっと石に近づいて行きました。

近づくにつれ苦しそうな咳き込む声が聞こえてきます。

ネオールは石に登り気づかれないように覗きました。

そこには今にも息が絶えそうな、

白髪の痩せたお爺さんが横たわっていました。

ネオールは石を降り、

小さな声でアグネスに言いました。




「アグネス姫! 


もしやお爺さんは大蛇に捕まったのではありませんか?」




「ひどいわ!・・


大蛇が来る前に助けてあげないと!


ネオール急いで!!」




「解りました!」



ネオールは石に登り、

お爺さんを背負い降りてきました。

アグネスは美味しい野菜から煎じた元気のでる秘薬を、

少しずつ咳き込むお爺さんに飲ませました。

やがてお爺さんの咳はおさまり、

青ざめた顔に赤みがさしてきました。

意識を取り戻したお爺さんは2人を見て驚きました。




「お2人は何処からきたのじゃな・・・?


それにしても、ありがたい」



そう言うとお爺さんは2人の手を握り締めたのでした。

アグネスは工場から、

まだ美味しくない野菜が無くなった理由や、

龍の住む湖に行ったこと、

この地に探しにきた愛の土の話をしました。

そして愛の土が見つかったら、

洞窟から一緒に逃げましょうと言いました。

お爺さんは暫く目を閉じていましたが、

ゆっくり目を開けると2人に言いました。




「この洞窟に住みて、


あの日から2万年・・・ 


我が身も明日には天にのぼらねばならぬ運命なのじゃ


だが明日、


我が待ちわびた一瞬がやってくる!


我を封印した呪いは、


空を駆け天に登る間はとけるのじゃ!


2万年待ち続けた邪悪な人間どもへの復讐を、


明日こそ果たさねばならん!!」




「えっ!!・・・まさか!


お爺さんが 大蛇なんですか!?」



ビックリしたネオールが叫びました。

お爺さんは うなづくと大蛇に変身して見せました。

その昔、

大地は土から大地を守る大蛇を一番先に作りました。

そして人間を作る時、

大地は人々を正しく導くために大蛇に人の姿を与えたのです。

大蛇は人の姿に身を変えて、

人々を導き人々と共に暮らしていましたが、

邪悪な心が取り付いた人間達は、

大蛇が邪魔になり人の姿の時に毒をもり、

この洞窟に連れ去り封印したのでした。

それから2万年、

邪悪な人間どもに復讐をする日が来るのを、

大蛇は待っていたのでした。




「お爺さん お願いです・・・


私の話を聞いてください!


お爺さんの言う通り人間は過ちを犯しました、


欲望のために戦争をし領土を奪いあい、


そして大勢の純粋な人々の命までも犠牲にしました、


でも今は違います・・・


気づいたのです! 


人間とは何か、


そして平和がいかに大切なことなのかも!


だから復讐なんて、


もう必要ないんです!!」



涙をあふれさせながら、

アグネスは必死にお爺さんに頼みました。


挿絵(By みてみん)



お爺さんは眉を細め2人に言いました。




「今日となっては、


もはやどうすることもできんのじゃ


されど・・・


お前達の話が正しければ、


世界は大地の望む姿になったのであろう。


ならば聞くがよい!


この先お前達が我の代わりに邪悪な人々を消し去る決意があるならば、


我の力をみずから封印し、


お前達2人にたくすであろう。


ただし、


お前達のどちらか一人でも邪悪な心に染まるならば、


お前達の肉体を奪い、


大蛇となりて地上のすべての物を消し去るであろう!


確か?


アグネスとネオールと申したな


どうじゃ よいか!?」




「はい!! お爺さん誓います」



大蛇の復讐を止めることができたアグネスとネオールは、

ホッとして顔を見合わせました。

この誓いが、やがて数々の試練を乗越えるさせることになるとは、

若いアグネスとネオールには知るよしもありませんでした。




「我の身こそが・・・


大地から授かりし愛の土!


アグネスよ! 


お前には大地から預かりし、白い生命の土を授けよう


ネオールよ! 


お前には大地から預かりし、赤い大蛇の土を授けよう


今!時計の針が12時の音を鳴らす時、


我の霊が二つに別れ、お前達の力となるであろう


2人よ! まかせたぞ!!」



アグネスとネオールを信じた大蛇は、

天に昇ることをやめ、

残された力を2人に託したのでした。

そして12時の鐘の音と共に、

激しい砂嵐が巻き起こり、

砂嵐は大蛇の体を巻き込んで空高く舞い上がりました。

夜空の色が一瞬 白と赤に輝くと、

砂嵐と大蛇は消え去りました。

そして消えた大蛇の代わりに、

白と赤に輝くペンダントが残っていたのでした。

白いペンダントには白鳥と4つの星が刻まれています、

赤いペンダントには2匹の魚と2つの星が刻まれていました。

白鳥と4つの星には生命をつかさどる力がやどり、

そして、

2匹の魚と2つの星には大地と愛をつかさどる力があるのでした。




「テン! カッコイイだろう?


ホレ!ホレ!見たい? 特別だぞ~♪」


ネオールは赤いペンダントを胸に付け、

テンに見せびらかして喜んです。

アグネスは白いペンダントと水色の指輪を見つめながら、

使命の重さを感じて、

それどころではありませんでした。

そんなアグネスもネオールの笑顔を見ているうちに、

気持が少し楽になりました。

洞窟を出た2人はテンに乗り、

いよいよ魔女の住む北に向かって飛び立ちました。




「ネオール!?


私には大蛇や龍の気持ちが解かる気がするわ」




「そうですね、


僕も今 考えていたところです。


人々は大蛇や龍を恐れていましたが、


ほんとうは、人々が地球に恐れられていたのじゃないかと・・・」




「ネオール・・・私なんだか怖いわ」



ネオールはアグネスの手をそっと握りしめました。

そして大蛇や龍の思いを強く心に刻むのでした。


挿絵(By みてみん)



4話 「アグネスの誓い」(前編)


お楽しみに。


agnes





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