日也と星
日也は夜に、空を眺める癖がある。
それは夜のうちだけなんとなく、心静まるような気がするからであった。
「君は、どうしようもない奴さ」
日也へと、秋を詰め込んだように白い、友の星が話す。
「どうしようもなくとも、いいよ。自分は自分なんだから。僕はただ見てたいんだ。なのに、お前がいつも決まって邪魔をする」
日也がそう言い返すと、
「それは、確かにそうだ」
ケラケラと笑うようにチカチカと瞬いた。
会話も無く、月が少し動いた頃。
「私は、もうすぐで消えるらしい」
友の星は言った。
友の星曰く、星の寿命はお互いの繋がりだとかによって成されているらしく、他に星が近ければ影響を受け、長く長く燃え続けられるそうだ。
しかし、友の星の周りは暗闇一途である。不自然なほどに孤独であり、同時に、何もが近寄れぬような神々しさが代わりに友の星を覆っているようにも思えた。
脳裏まで凍てついた日也は不躾に言う。
「お前とは、やっていけそうにない。どこかへ行ってしまうなら、勝手にしてしまえ」
一瞬強く光った友の星は、
「言われなくとも、そうするつもりだ。では、さよなら。」
いつもより鈍い色をさせたまま、日也の眼前から一瞬にして消え失せた。
月が沈み、日が昇り、いつもの通り月が、夜空に黄色い穴をぽっかりと残したとき、いつものように友の星はそこにあった。日也はそこにいない。
友の星は月がいくら動こうと日也を待った。太陽の星を押す動きに逆らって、朝にも日也を望み続けた。
ようやく、友の星は知った。自分自身のあるわけを。なにより日也は友の星の眼前に、友の星は日也の眼前にあったことを。
友の星は、泣いた。再びの消滅が自身を襲うかもしれなくとも、ずっと泣き続けた。
「君は、どうしようもない奴さ」
その夜、空のどこかがチカチカと瞬いたらしい。




