表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年のフリをしていた私がいつの間にかマフィアのボスに愛されていたお話  作者: ぽーりー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

21 誘拐



※強引なシーン(未遂)があります。苦手な方はご遠慮ください。





「ん・・・」


気が付くと、私は暗い建物の中で仰向けになっていた。

高い天井・・・ここはどこなの?

起き上がろうとすると、両手が紐のようなもので縛られていて。

何これ・・・。

力を込めてみても解けそうもなかった。

仕方なく肘を使って起き上がると、ここはどうやら古びた教会のようだった。

木製の長椅子が乱雑に置かれていて、割れたステンドグラスから月明かりが注いでいた。


「目が覚めたか」


え??

心臓がドクンッと跳ねた。

後ろを振り向くと、椅子に座った男が私を見下ろしていた。


「静かにしてれば手荒なことはしない。大人しくしてろ」


男は片手に持ったナイフをちらつかせながら微笑んだ。

この男が私を誘拐したの・・・?

私はこんな状況でも意外と冷静だった。

幼い頃から何度か危ない目には遭ってきたから。

変なおじさんに連れて行かれそうになったこともあった。


「でもまさか公爵令嬢を誘拐する仕事が入ってくるとは思わなかったな。物騒な世の中になったもんだ」


自分で誘拐しておいて何言ってるのよ!と思っていると、馬車のガラガラという音が聞こえて来て、教会の前で停止した。


「やっと来たか」


こいつの仲間?

すると、入口から二人の男が入って来た。


「待たせたな。こいつが途中で腹壊しやがってよ」

「おま、いちいち言うんじゃねぇ!」

「レディーの前ではしたないぞお前ら」


腹を壊したことを暴露された男は、私を見るなり駆け寄って来た。


「すげぇ。これが公爵令嬢ってやつか?べっぴんだなぁ」


男は嬉々とした顔で私の頬を撫で回した。


「このまますぐに連れてくのはもったいないと思わねぇか?」

「はあ?でも今日中にアシュファーレを出ろって言われてるんだろ?」

「ちょっとぐらい味見させてくれよ。それぐらい時間あるだろ?」


味見って?


「仕方ねーな。早く済ませろよ?俺たちは馬車で待ってっから」


二人は目の前の男を残して教会の外へと出ていった。

まさかこの男・・・。

私が床をずるずると後ずさると、男がニヤッと笑った。


「そう怖がるな。俺はいつも優しいって言われてっから」

「ふざけないで!」

「あはは!公爵令嬢のくせに活きがいいな!気に入った!」


男は私の両足を掴んで床の上を引きずった。


「きゃあ!!」


ドレスのスカートがめくれ上がって中に着ていたスリップと太ももが露わになった。


「やめて!!」


私が思いっきり男を蹴飛ばすと、ちょうど男の急所に命中して。


「ぐあぁ!」


男は悶え苦しみながら床に転がった。


「くそ・・・」


今のうちに逃げないと!

立ち上がって男の横を通り過ぎようとすると。


「きゃあ!」

ゴンッ


ドレスの裾を掴まれた私は、床に額を打ち付けてしまった。


「う・・・」


痛い・・・。

意識が朦朧とする中、私は床を這いつくばりながら出口へと向かった。

諦めちゃだめ。

家に帰るんだ。

すると突然教会の扉が開いて、外から黒い服の男たちが入って来た。

まさか仲間?

だめだ・・・もう助からない・・・。

そう思って床に顔を伏せた時、誰かがガバッと私を抱き起こした。


「アニス!!しっかりしろ!!」


え?

リュウさんの声?

私がうっすらと目を開けると、心配そうに私を見下ろすリュウさんが見えて。

本当にリュウさんなの・・・?

ホッとしたのか、そこで私の意識は途絶えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ