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少年のフリをしていた私がいつの間にかマフィアのボスに愛されていたお話  作者: ぽーりー


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2 初仕事



私は今日も北地区の大通りに商売道具を広げていた。

1、2、3、4000レギンか・・・。

今日はだいぶ稼げたと思ったけど、これじゃ10日で200万レギンを稼ぐだなんて無理だわ・・・。

私がしょぼくれた顔をしていると、通りを歩いていた兵士が声をかけてきた。


「おい、お前!またここでやってんのか?こないだ注意したばかりだろ?」


あ・・・何日か前にここで商売をするなって言ってきた人だわ・・・。


「近くの靴屋がお前がいると商売あがったりだって言ってるんだよ。商店を出す許可ももらってないんだろ?」


そう言って兵士のおじさんはめんどくさそうに頭を掻いた。


「でもここが一番人通りが多いし・・・」

「南地区へ行けばいいだろ?これからの時間は稼ぎ時じゃないのか?」


南地区はネイルデンの「夜の街」と言われていて、酒場や社交場が密集している繁華街があるらしい。

確かにそこに行けば人は多いだろうけど、お母さんに南地区には近づくなって言われてるし・・・。


「とりあえずここはダメだから、他に移れ。な?」


私は兵士に促されて荷物を鞄に詰め込んだ。

どうしよう・・・これからどこで仕事すればいいの?


家に帰ると、丁度お母さんが家を出ようとしているところだった。


「お母さん、どこに行くの?」

「夜勤の人が体調が悪いみたいだから、私が代わりに出ることになったのよ」

「え?」

「朝まで帰れないから、戸締りはちゃんとしてね?」

「わかった・・・お母さんも気をつけてね」

「えぇ。行ってくるわね」


お母さんは目も合わせずに家を出て行った。

夜勤の人が休みになったなんてきっと嘘よ。

借金を返すために仕事を増やしたんだわ・・・。

そんなことをしてたらお母さんが体を壊しちゃう。

やっぱり私がなんとかしないと・・・。

私は荷物をもう一度背負って家を出た。








初めて足を踏み入れた夜の街はとても賑やかだった。

酔っ払いの男たちや、夜の商売のお姉さんたちが通りに溢れていた。

ああやってお姉さんがお店に誘導しているのね・・・。

人の流れを見ながらお客を待っていると、私のことを哀れに思ったのか、綺麗なドレスを着たお姉さんが声をかけてきた。


「こんなに寒いのに靴磨き?大変ねぇ」

「いえ・・・」


お姉さんこそそんな格好をして寒そうだけど。


「あら?君可愛い顔をしてるじゃない。あなたなら他の仕事で稼げると思うわよ?」

「え・・・他って?」

「ボーイよボーイ。お店でお酒を運んだり、お客をテーブルに案内したりするの」

「それだけですか?」

「そうよ?それでも数時間で1万レギンは稼げるわよ?」

「え?1万レギンですか?」

「ふふ。興味が湧いた?」


そりゃ私の5日分くらいの稼ぎだもの・・・。


「試しに今からやってみる?」

「え?いいんですか?」

「いいわよ。店長には私から言ってあげる」

「は、はい」


私はお姉さんに腕を引っ張られて、綺麗なお店に連れて行かれた。

控室に通された私は荷物を床に置いて、用意されたシャツとズボンに着替えた。

しばらく待っていると、モジャモジャ頭の店長が私を呼びに来た。


「着替えたかー?おぉ、似合ってるな。じゃあすぐに働いてみるか?」

「はい!よろしくお願いします!」


私はバーテンダーの男性が作ったお酒をテーブル席に運ぶ、というホール担当の仕事を教わった。

思っていたよりも簡単な仕事ね。

これならやっていけそうだわ!

そう思っていると。


「君、可愛い顔してるね?ボーイなんかしてるのもったいないな。こっちの席に座りなよ」


テーブル席に座っていた金持ちそうな身なりの男性が私に話しかけてきた。

え・・・?

どうすればいいのかわからず私が固まっていると、男性の隣に座っていたお姉さんが彼の腕を引っ張った。


「もう!ミラン様!その子は今日入ったばかりの新人ですよ?いじめないであげてください!」

「そうなんだ・・・?僕はこの店によく来るから名前を覚えておいてね?」

「は、はい・・・よろしくお願いします」

「ははっ。可愛いな。君気に入ったよ」

「あ、ありがとうございます」


私が作り笑いを保ったままカウンターに戻ると、バーテンダーの男性が私の肩を叩いた。


「ミランさんには気をつけろよ?あの人男もいけるって噂だから」

「え・・・そうなんですか・・・?」


それからはなるべく彼と目を合わさないように気をつけながら働いた。

そして3時間ほど過ぎた頃、店長が私に声をかけてきた。


「君もういいよ?今日はお試しだからね。はいこれ、今日のお給料」

「あ、ありがとうございます」


私は手渡された茶封筒を胸ポケットに入れた。


「どう?君意外とボーイに向いてそうだけど、うちで働いてみる?」

「あの。ずっとは無理かもしれないんですけど、あと数日だけでも働かせてもらえませんか?」

「こっちは全然いいよ?今は人手が足りてないからね」

「ありがとうございます」

「じゃあいつでもいいからまたおいで」

「はい」


働く日にちも時間も自由そうだし、お母さんが夜勤の日だけでも働かせてもらおうかな。

お母さんから南地区は怖いところだって聞いてたけど、全然そんなことなかったわ。

私はいい仕事が見つかったな、と思いながら給料袋を覗いていた。



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