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少年のフリをしていた私がいつの間にかマフィアのボスに愛されていたお話  作者: ぽーりー


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16/25

16 新たな場所で



公爵令嬢編、始まります☺️





リュウさんとの別れから数日後、レイさんが別荘を訪れた。

お母さんに話があったようで、先程からずっと二人で応接室にこもっている。

何を話してるんだろう?と気になりながらも夜ご飯の準備をしていると、レイさんに呼ばれた。


「アニス、ちょっと来てくれないか?」

「あ、はい」


どうしたんだろう改まって。

私が中に入ると、レイさんとお母さんがソファに並んで座っていた。

なんでそっち側に?と不思議に思いながら向かいのソファに座ると、レイさんが緊張した面持ちで口を開いた。


「アニス、驚かずにきいてほしいんだが・・・」

「はい」

「私たちは、来月結婚することにした」

「え??」


レイさんの隣でお母さんも恥ずかしそうに頷いた。


「そ、そうなんだ!おめでとう!」


いつの間に二人はそんなに進展してたんだろう??


「それで、私は王位継承権が戻ったから城に住まなくてはいけなくてね・・・。君たちにも王都に付いて来てほしいんだ」

「王都に??」

「あぁ。王都に屋敷を用意するから、二人にはまずそこに住んでもらいたい」

「え?僕も??」

「当たり前だろう?君は私の娘になるんだから」

「・・・え??」


私が驚いてお母さんの方を見ると、お母さんが眉を下げた。


「アニスごめんなさい。さっきレイさんにプロポーズされた時に、アニスが本当は女の子だということを彼に話したの」

「そ・・・そうだったんだ。レイさん、騙しててごめんなさい」

「いや、自分の身を守るために男の子として生きて来たんだろう?アニスこそ、これまで大変だったね」


レイさんは怒ることもなく私のことを気遣ってくれた。

なんて優しい人なんだろう。

こんな人がお母さんと結婚してくれるなら、お母さんはきっと幸せになれるだろうな。

レイさんとお母さんは身分差があっても愛し合って結婚出来るのに、何で私とリュウさんはダメだったのかな?

あ、ダメダメ!

今は二人のことを祝福しないと!


「本当に良かったね!二人が結婚してくれて嬉しいよ!」

「じゃあアニスも一緒に王都に来てくれるかい?」

「・・・本当に私も言っていいの?邪魔じゃない?」

「もう!アニス何言ってるの?怒るわよ!」

「ふふ。後で後悔しても知らないからね?二人きりになりたい時はちゃんと言ってね?」

「ははっ。アニス、そんな気は使わないでくれ」

「やだわ!アニスったら」


この日から10日後、私たちは別荘を発った。

ネイルデンから王都までは馬車で3日もかかるほど遠い。

きっともうリュウさんと会うことはないだろう。

これでよかったのかもしれない。

あの別荘に住んでいたら、またリュウさんが会いに来てくれるんじゃないかって期待してしまっていたかもしれないから。

私は遠ざかるネイルデンの街を眺めながら涙を堪えていた。







レイさんは、城から馬車で30分程の距離にある大きな屋敷を私たちのために用意してくれていた。


「一体何部屋あるの??家の中で迷っちゃいそう!」

「一階には広間にキッチン、応接室と客室が2部屋ある。2階にはシャワールーム付きの部屋が3部屋と、個室が3部屋あるから、アニスは好きな部屋を使いなさい」

「すごい!こんなお屋敷に住めるなんて夢みたい」

「ははっ。気に入ってくれたか?」

「うん!ありがとうレイさん」

「それだけじゃないんだ。アニスこちらにおいで」

「え?」


レイさんに連れられて2階の個室に行ってみると、そこには数十着のドレスと、バッグや靴などがぎっしりと収められていた。


「これ、どうしたの??」

「全部アニスのだよ。好みに合っていればいいんだが・・・」


レイさんは何でここまでしてくれるんだろう?

こないだまで赤の他人だったのに・・・。


「アニス、どうした?」

「うぅ・・・」

「アニス!?なぜ泣くんだ?気に入らなかったのか??」

「ち、違うの・・・嬉しくて」


私が涙を拭うと、レイさんが優しく抱きしめてくれた。


「泣くことないだろう?きっと全部アニスに似合うから、後で試してみてくれるかい?」

「うん・・・すごく楽しみ!」

「ははっ。泣くか笑うかどちらかにしなさい」


レイさんはもちろんお母さんにもたくさんのドレスや装飾品を用意してくれていた。

私は昔からお母さんは着飾ったらどんな貴族にも負けない!って思ってたから本当に嬉しかった。


リュウさんとの別れはすごく悲しかったけど、こうやって新しい場所に来られたことが、今の私にはいい気分転換になっていた。

ここで暮らしていたらいつかきっとリュウさんのことを忘れられるよね。

私は姿見の前で可愛いドレスを持って微笑んだ。



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