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少年のフリをしていた私がいつの間にかマフィアのボスに愛されていたお話  作者: ぽーりー


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13 初デート



だいぶ暖かくなってきたな・・・。

玄関先にしゃがみ込んでぼんやり花壇を眺めていると、ガラガラという車輪の音が聞こえてきた。

レイさんかな?

門の方を見ると、遠くに黒塗りの馬車が見えて。

リュウさんだ!

私は嬉しくなって走り出した。

馬車の周りをぴょんぴょん跳ねて待っていると、今にも吹き出しそうなリュウさんが出てきた。


「ぶっ!子犬みたいな喜びようだな!飯はないぞ?」

「だってあれから来てくれなかったでしょ?!ずっと待ってたんだよ??」

「ははっ。寂しかったか?」

「うん」


私がぎゅっと抱きつくと、リュウさんが優しく頭を撫でてくれた。

犬でも猫でもなんでもいいよ。

リュウさんがこうやって可愛がってくれるなら。


「そうだ・・・。さっき通りかかった公園に店が出てたぞ?」

「今日はバザーの日だからね。朝お母さんと買い出しに行ってきたとこだよ」

「そうか・・・」

「どうしたの?」

「いや、ちょっと行ってみたかった」

「え?じゃあ今から行く?」

「お前はもう行ったんだろう?」

「いいよ!何回行っても楽しいから」

「そうか?」


20分くらい坂を下ったところにあるので、私たちは歩いて向かうことにした。

リュウさんとこうやって並んで歩いたのは初めてかもしれない。

というか男の人と歩くこと自体が初めてだ。

小さい頃は西地区の悪ガキたちと遊んでたけど、あれはカウントには入らないし。


「どうした?俺の横顔がそんなにかっこいいか?」

「ぶっ!自分で言うの??」

「さっきからずっと見てるだろう?」

「ふふ。確かにかっこいいけど、5年も経ったらもう慣れちゃったよ」

「はっ。贅沢な奴だな」


バザーにはお花の苗や野菜に果物、その場で食べられるご飯なども売られている。

お母さんと来ると、必要なものだけをササッと買って帰るから、ちゃんとバザーを楽しんだことはなかった。


「リュウさん!私あれが食べてみたかったんだ!行こ!」


リュウさんの腕を引っ張ってお店の前まで連れて行くと、リュウさんが眉間に皺を寄せた。


「甘そうだな・・・」

「そう?おいしそうでしょ?イチゴに飴がかかってるんだよ?」

「見ればわかる」

「ね、食べてみようよ」


と言って私がポケットから小銭を出すと、リュウさんに腕を掴まれた。


「俺が払う」

「え、いいよ」

「いいから仕舞え」

「う、うん」


リュウさんは甘そうって言いながらも結局自分のイチゴ飴も買った。

こうやって二人で飴を舐めながら歩いてると、なんだかリュウさんとデートしてるみたい。

北地区で貴族の人たちがデートをしてる姿をよく見かけてたけど、みんなこんな気持ちだったのかな?

嬉しいような、恥ずかしいような、くすぐったい気持ち。

リュウさんも同じ気持ちだったらいいな・・・。


それからバザーをひと通り見た私たちは、帰り道の坂を登っていた。

もうすぐ屋敷に着いちゃうのかと思うと悲しかった。

こんな時間がずっと続いたらいいのに・・・。


「リュウさんと毎日こうやって会えたらいいのにな」

「は?」

「え?」


私声に出しちゃってた??


「プロポーズか?」

「ち、違うよ!いや、会いたいのは本当だけど!」


何言ってるのよ私は!

これじゃ告白みたいじゃない!


「俺に毎日会いたいって?」


リュウさんは金色の瞳を細めながら私の顔を覗き込んで来た。


「そ、そうだよ?」

「ははっ。アニスは直球だな」

「だめ?」

「いや、そこが可愛い」


もう!

絶対リュウさん私で遊んでる!


「リュウさん本気にしてないでしょ」


私がリュウさんを睨みつけると、リュウさんがキョトンとした顔をした。


「私のこと相手にしてない」

「ははっ。そう見えるか?」

「いつまでも子供だって思ってるんでしょ!」

「そうでもない・・・」


リュウさんはそう言うと私の唇を指でなぞった。


「リュ、リュウさん?」

「もう子供じゃないんだろう?」

「え?」

「じゃあ子供じゃないって証明して見せろ」

「証明?」


リュウさんは私の顎を持って上を向かせると顔を近づけてきた。

な、なに・・・?


「口を開けろ」


そう言われて私が素直に従うと。

いい子だ、と言ってリュウさんが私の唇を食べた。


「んん!?」


そしてイチゴ飴を舐めるかのように私の舌を味わい出した。


「んんんん!」


私が驚いて顔を離そうとしてもリュウさんは離してくれなくて。

頭と腰に手を回したかと思うとさらに引き寄せられて。

私が失神しそうになった時、リュウさんはようやく顔を離してくれた。


「ぷはっ!」

「どうだ?これでもお前のことを子供だと思ってると思うか?」

「も、もう!死ぬかと思った!」

「ははっ。それはいい死に方だな」

「リュウさん!!」


やっぱりからかってるでしょ!って思ったけど、リュウさんが私のことを女として見てくれてるんだってわかって嬉しかった。

でもその後はリュウさんの顔をまともに見れなくなっちゃって・・・。

リュウさんは声を殺して笑っていた。



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