月が綺麗ですね
お久しぶりです。
『月が綺麗ですね』
むかしむかし、あるところに一人の女と一人の男がいました。
女と男は二人で寄り添って数十年の時を共に過ごしました。しかし、女が娘から媼となり、腰が曲がって歩くようになってもなお、男の見目は変わりませんでした。そう。男は不老不死だったのです。
女がとうとう満足に起き上がれなくなってきた頃、女は布団の中から男のことを呼びました。
「ねぇあなた、生まれ変わりって信じますか。」
「いや……。」
男は歯切れ悪く言いどよみました。
そんな男を、女はまるで母親かのような瞳で見つめます。そして言いました。
「私…、知っているんですよ。あなたが、私に誰かを重ねてるってこと。」
「――っそ、それは。」
「いいんです。私はあなたの妻なんですから。――でも、次は私の番だっていいでしょう?」
女は、しわくちゃの顔をまるで娘のようにほころばせて、いたずらっ子のように言った。
「あなたの人生はまだまだ続くんですから。遠い先のある日で、私を探してくださいね。」
その日の夜、女は眠るように旅立った。満月がきれいな夜だった。
「そうは言ってもなあ。」
次のお前はどこにいるんだろうか。いつだって、お前のことを思って生きてきたのだ。
昨日死んだお前も、その前も、そのまた前だって。隣には、いつもお前がいた。
誰かではなくて、いつだって目にはお前しか映っていなかったのに。
嗚呼、次はどこなんだろうな。
いつの間にか、次の満月になっていた。いや、もう何回も見ている気もする。
ならもう。
「死んでもいいわ。」
ありがとうございました。
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では、どこかでお会いしましょう。




