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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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山川良子の選択

 「私はつよしのパートナーだからつよしと一緒ならどこでも良いって、最初は考えていたけど、実際にやるのは私なんだし、航空自衛隊で良いか改めて考えたわ。勿論、どの選択肢を選んだとしても、楽な道はないわ。最終的な決めては女性でも活躍出来るかって事ね。陸上自衛隊や海上自衛隊に比べれば歴史の浅い航空自衛隊は、アメリカナイズされているから、女性に対して変な偏見もない。勿論、今時の自衛隊では女性の活躍無しには語れないけれど、伝統と言うしがらみが少ないのは航空自衛隊かなとは思う。」

 「へぇー。良子も自分の事を少しは考えてんじゃん。」

 「つよしみたいに、野心むき出しで出世しようと思っても所詮軍医。防衛大学校出身者には出世レースでは敵わない。乗ってるレールが違うじゃない。」

 「それは百も承知している。でも自衛隊の医療水準はかなり高い。だから陸海空関係無くどこ行っても自分を高められる実力をつけたいのが本音かな。でも第一志望はやっぱりつよしと一緒が良い。」

 「そこら辺はパートナーがいないよりは加味されるだろうし、何より成績が良いからな。多少のわがままは許してもらえるんじゃないか?」

 「私、10年間の縛りがなくなったら、米国に留学したい。」

 「え?今何て?」

 「自衛隊で10年間やったキャリアを軸にして、最高の外科医になりたい。」

 「良子、外科医になりたいの?」

 「うん。外科医一択。」

 「そう言う大事な事は相談無しかよ?」

 「こう言う大事な事はベラベラ喋るもんじゃないでしょ?つよしには分かって貰えないかもしれないけど。」

 「全然意味不明。」

 「毎日その場しのぎのつよしとは違うのよ。」

 「はぁ?クラスヘッドをつかまえて目先の事しか考えられない愚か者だと?」

 「そこまでは言ってないじゃない。」

 「俺は確かに目先の事しか考えられないけど、米国なんて行く気無いからな。行くなら良子一人で行けよ。」

 「ぬるま湯に浸かってるのも良いけど、ガチの医者になりたいからさ。つよしと離れても米国には行くつもり。」

 「まだ防衛医科大学校学生の身分で、自衛隊をぬるま湯呼ばわりするとは、随分なビッグマウスだな良子?」

 「10年の縛りって償還金5000万円の事か?」

 「そうよ。それ以外に何の縛りがあるのよ?」

 「つよしばり。」

 「はぁ?ギャグ言ってる場合?」

 「米国行くのは良いけどさ、夫婦ではいてくれよ?」

 「当たり前じゃない馬鹿つよし。」

 「この話はいつかしなくちゃって思っていたの。」

 「難しい道だぞ?」

 「防衛医科大学校出身者ってだけでかなりはく付いてると思うけど?」

 「日本は学歴社会だしね。何だかんだ言って。」

 「米国で通用する前に、自衛隊で通用しなきゃ自衛隊辞め損だぞ?」

 「そうね。折角苦労して入ったのに、もったいないわね。」

 「10年後はもう35歳よ?キャリア的には遅いくらいだわ。」

 「まぁ、それはそうだけど、日本にいてもやれる事はあるだろう?」

 「10年後どうなってるかは分からないけど、米国ヘ行くと言うマイルストーンはあるの。」

 「まぁ、今は航空自衛隊で頑張ろうって話な訳で。」

 「こう言う時こそ夫婦の力が試されるね。」

 とは言ってもすれ違うつよしと良子であった。

 「子供ができたらどうすんだよ?」

 「別につよしが面倒見れば良いじゃん。」

 「は?丸投げかよ?」

 「キャリアと育児どっちとるの?って言われたら、私はキャリアと答えるわ。私育児キライだし」

 「そうはっきり言われると返す言葉が無いよ。」

 「私は子供欲しいと言ったこだわりが無いの。つよしがどう思っているかは分からないけど。」

 「分かったよ。全部俺が責任持ってやるから。」

 「つよし、ソーローの癖に。」

 「そこは頑張るよ!」

 前途多難な山川良子の選択ではあったが、とりあえず航空要員になる事に迷いは無かった。

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