3年次創立記念日
2024年11月第61回目の創立記念行事が例年通り盛大に執り行われた。そう言うめでたい時の夕食は必ず赤飯が出る。
「今年ももう終わるね。」
「あーあ。来月にはボーナスが出て冬休みだ。」
「山川良いよな。」
「何が?」
「その楽天的な所。」
「一兵君、それをつよしから取ったら預金残高0円の通帳と同じよ?」
「良子それ本気で言っている?」
「半分本気。」
「良子さんは山川のその楽天的な所に惹かれたんだよ。」
「私もそう思う。」
「セツ菜ちゃんまで!?クラスヘッドの俺を楽天的と言う3文字で片付ける有り様。」
「別にそれが悪いとは一言も言って無いでしょ?もっとプラスにとらえてよ。」
「何か一人で逆ギレしてたっつーうパターン?」
「それより今日は創立記念日でめでたい日なんだぞ?」
「そんな強く言わなくても山川君なら分かるよね?」
「こんな事位で、喧嘩してるつもりは全くねーけど?」
「つよし?勘違いは良くないわよ?」
「俺、シャワー浴びて来る。1800食堂集合で。」
「はーい。」
「うん。」
「了解。」
「一兵はさ、俺にジェラシー感じてるの?」
「その件に関しては、けりついてたんじゃねーの?」
「なーんかモヤモヤするんだよな。引っ掛かる節があるっつーか。」
「腹空いているからモヤモヤするだけじゃねーの?」
「そうかもな。」
「山川はさ、前から思ってだけど、自意識過剰なんじゃない?ってもう居ねぇし…。」
「まだ1755ですけど?」
「海上自衛隊では5分前行動がマストだろ?」
「まぁ、そうだけどよ。」
「セツ菜ちゃんと良子早く来ないかな?」
「山川?何でそんなに腹空いているの?」
「今日は赤飯じゃねーか?人間何もしてなくても腹はすくのよ。」
「確かに今日は課業って言っても、創立記念行事式典に参加してただけで、何もしてないに等しいけどさ。」
「間に合った‼つよしって本当に女子のお風呂事情分かってないよね?」
「そこは一兵君が気遣いしなきゃ。」
「この長髪をドライヤーで乾かすのに何分かかると思う?」
「まきで15分。」
「分かっているんじゃない。だったらそれを考慮しなさいよ?」
「そいつは俺の腹時計次第だな。それによるとあと5分だってさ。」
「つよし怒るよ?」
「山川君私も流石に怒るよ?」
「じゃあ飯食ってからゆったり風呂入れば良いじゃん?」
「つよし?私達女子学生はね、入浴は20分以内で済ますと言う掟があるの!」
「それなら良子もセツ菜ちゃんもショートヘアーにすれば?ドライヤーに時間とられなくて済むし。」
「丸刈りの男子の様にはいかないのよ。」
「もういいわ。こんな不毛な議論。一兵君、セツ菜行こう。」
「おい、ちょ待てよ!」
「まぁ、良いか。川下一曹こんばんわ‼」
「ランチタイムでも顔合わせたろ?」
「は、そうでしたね。今夜のメニューは何ですか?」
「ビーフストロガノフと赤飯だ。」
「うまそうっすね。」
「って言うか、お前ら何かあったの?」
「え?何がです?」
「防衛医科大学校の誇る仲良し4人組がバラバラに飯食うなんて珍しいな?喧嘩してるの?」
「まぁ、そんなところです。ほとぼりが覚めるまでは孤食でしょう。」
「向こうの3人は楽しそうだけどな?」
「そう言う事言わないで下さいよ。」
「その内元サヤに戻るよ。心配するな。」
「ですかね?」
「ま、赤飯でも食って精をつけろ!」
「はい。」
「ねー?一兵良いの?山川君の事。」
「流石に今日はエゴイズムが過ぎたよ。数日ほっとこう。」
「そうね。お灸をすえなくちゃね。」
「向こうから(つよしの方)わびいれるのを待ちましょう。」




