3年次並木祭⑤
「遅ぇーぞ。一兵?何してたんだ?」
「ワリィ。ちょっと研究展示の方でトラブルがあって。」
「そうか。まぁ時間まで気を付けてな。じゃあ俺おいとまさせてもらうわ。」
「え?何で?」
「上級生に誘われたみたい。」
「良子さんは行かなくて良いんですか?」
「私は断ったの。体育会系のノリ嫌いだから。」
「あれ?セツ菜は?」
「川下一曹の所。」
「良子さんも一緒にどうですか?」
「つよしもいないしそうしようかな。」
「セツ菜!」
「一兵に良子も。」
「一兵がいないから川下一曹の話をツマミにほろ酔い気分だった所。」
「何かあったのか一兵学生?パトカーが何台か来てたみたいだけど?」
「研究展示のパネルが1枚紛失したんすよ。ドリルで根本から強引に。」
「警備態勢に不備が?」
「ええ。」
「まぁ、埼玉県警の俊敏な捜査で犯人は捕まりましたし、当該警備担当学生も減給3ヶ月50%カットと重い処分に成りました。」
「防犯カメラが決定打か?」
「その様です。」
「え?そもそも一兵君はライヴチームじゃなかったの?」
「研究展示担当だけど、手が空いてたからボランティアで兼務してたんだ。」
「去年と同じ感じだね?」
「まぁ、浅く広くって感じだね。」
「そう言うプレイヤーも自衛隊には必要だな。」
「そうなんですか?」
「幹部自衛官にはそう言う資質も大事なんじゃねーの?」
「よく分からないっすけど、腹が減りました。川下一曹、ガツンと来る奴一杯お願いします。」
「牛ヒレのステーキ丼でも食うか?」
「はい。お願いします。」
「私も!」
「セツ菜?暴飲暴食は駄目よ?」
「私も食べたい。」
「二人前ね。」
「ライス大盛りでお願いします。」
「良子学生はいらない?」
「はい。大丈夫です。」
「了解。」
「あ!秘伝のソース!」
「もうバレたか(笑)。」
「何年生だと思ってんすか?」
「こっちの持ち玉はバレているか。」
「ステーキ丼は初見参ですよ?」
「余り物で悪いな。」
「いぇ。明日からの活力になります。」
「なります!」
「うちのセツ菜めっちゃ食うんすよ。本当にすみません。」
「毎日厳しい訓練しているもんな。分かるよ。」
「では頂きます。」
「うんまぃ。」
「しっかり噛めよ!」
「相変わらず食うの早いね。職業病か?」
「並木のモヤシ娘が今じゃ立派な大木だな。」
「金海ここだったか。」
「どうした吉永?」
「早坂まで?」
「研究展示の事件では看護学科が医学科に迷惑をかけた。」
「もういいって。それより二人腹へってんだろ?」
「川下一曹、牛ヒレステーキ丼二人前よろしくお願いします‼」
「あいよ!」
「ライス大盛りで。」
「ワリィな金海。」
「お前らに非はない。責任は医学科の学生手当て減給って形で型はついてる。まぁ、これ食って元気出せ。」




