3年次並木祭④
「良子?一兵とセツ菜ちゃんは?」
「待ちきれず模擬店の方に向かったわよ。」
「星は?」
「さぁ?いなくなったわ。」
「じゃあ俺達も行くか?」
「うん。お腹すいたわ。」
「おい!一兵!」
「ん?うぉ、山川!?」
「拉麺すすってんじゃねーよ。」
「先に行って悪かったよ。」
「はい。山川君、珈琲どうぞ。」
「セツ菜ちゃん、ありがとう。」
「模擬店の売り上げも順調そうだな。」
「俺の手なんか借りるまでもねぇってよ。」
「良子?おでん買ってきて。これお金。」
「私のお任せ盛りで良いのね?」
「お任せで良いよ。」
「山川の学生DJも慣れたもんだな?」
「まぁな。楽な仕事よ。音響やライトの調節したり。エグザルみたいに動くアーティストには苦労するよ。」
「つよし?おでん10個買ってきたよ!」
「このボリュームで500円!?」
「全品50円か…。バザー価格だな。良子お前も食え。」
「旨いな。出汁がよく凍みてる。」
「なぁ、山川?それ食ったら一服どう?」
「ちょっと?二人とも禁煙しなさいよ?」
「酒飲む訳じゃないし、1本にしとくから。な?」
「ニコチン中毒にならないでよね?」
「俺達もう二十歳だぜ?」
「医官が肺がんとかマジで笑えないからね?」
「自分の責任で吸ってるんだし、良子の言う通りだから、それ以上の事は言わない。」
「ねぇセツ菜?拉麺食べに行かない?今タイムセールで、50円引きだって。」
「うん。食べよ!」
「なぁ、山川?お前最近疲れていないか?」
「そう見える?」
「うん。」
「学生DJって馬鹿にするかもしれないけど、相当はーどなんだぜ?課業はいつも通りだし。もう来年はやらない。他の奴に引き継がせる。」
「2年連続学生DJ本当にお疲れ様。」
フーッ。
「ありがとうな。相棒。」
「つーか、聞くところによると一兵も楽屋口前でスーパーファインセーブじゃん。」
「いや、あれは偶然で。」
「ま、結果オーライって奴か。」
「敵陣95ヤードからのインターセプトリターンタッチダウンだよ。」
「現役生活もあと1年だな?」
「寂しい限りだな。」
「そうだ。」
「どうした一兵?」
「山川先に戻ってて。野暮用を思い出した。」
「吉永?遅くなってすまん。ん?どうした?」
「看護研究展示のパネルが1枚パクられてよ。くるみと俺が見てた1330頃まではあったんだがな?」
「ま、防犯カメラついているし、大丈夫じゃね?」
「そっちの犯人探しも大事だけど、身内の犯人探しが先決じゃね?」
「竹内!貴様が警備についていれば避けられた事案だぞ?」
といびられているのは、早坂くるみの同期の竹内と言う看護学科の男子学生であった。
「お前のせいでな、大事な研究展示のパネルが1枚紛失したんだぞ?」
「すみません。」
「だが犯人は何の目的で、どうやってパネルを取り外したんだ?」
「確かに。全パネルビス止めしてあるから、インパクトドライバー等を用いないと外せない。」
「ここ見てみろ?根本から強引に持っていかれている。」
「しかし、犯人は何故この1枚だけを盗んだんだ?」
「この講師に恨みがあるとか?」
結局、研究展示担当の並木祭実行委員全員で探したが、見つからなかった。
「タイムアップっすね。」
「あとは警察に任せよう。」
器物損壊罪で警察の世話になる事になった。後日埼玉県警の捜査で白井と言う若者の犯行である事が判明し、その男の自宅から、当該パネルが見つかった。警備につかなかった竹内学生を学生手当て3ヶ月50%減俸の措置をとった。
「軽卒だったな竹内?」
「以後気を付けます。」
との事で事件は解決した。
「やべ?ライヴチームの打ち上げだったな。シャワーなんて浴びてる時間無いし、はぁ、もう2100か。宴もたけなわだよな…。」
「」