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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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3年次並木祭②

 わいみょん、スモップ、レモン、エグザルの順で、それぞれのヒット曲4曲をメドレーすると言う形で並木祭ライヴ2024は、始まった。

 「昨年程とはいかないけど、前売り券はソルドアウト。当日券はライヴ開始1時間前にソルドアウト。防衛医科大学校としては、3年連続のチケット完売。これは素晴らしい。」

 楽屋口では、ライヴに参加する全てのアーティストが到着しており、セツ菜や良子ら学生スタッフが応対にあたっていた。

 一方医学研究科及び看護学科の研究発表の展示会場も、既に前日に仕込んでいたパネル設置を終え、最終確認を行っていた。学生スタッフは警備担当時間を念入りに確認していた。基本的に二人一組なのだが、去年相棒だった吉永が彼女の早坂に取られていた為、運の良い奴にしか回って来ないエンプティ(警備担当時間なし)を願っていた。結局、一兵はエンプティを強運で引き当て、模擬店の補助に回る事になった。

 だが、模擬店には並木祭実行委員ではないノーマルな学生だけで運営出来ていた為、一兵は実行委員としての仕事を求めて、ライヴ会場に足を伸ばした。すると、ライヴ会場の体育館の中はどえらいことになっており、人の波を掻き分けて一兵は、山川の元に向かおうとした。近くにいた実行委員の話だとこの様な制御不能状態は30分余り前から続いているらしい。

 「人員整理に人割いてないのか?」

 「中心部の護衛はカッチと決まっているんですが、外回りはほっといて良いと山川中隊長が指示してまして。」

 「あのバカ。」

 「これじゃあ事故るぞ?おい、君トラメガとメガホン、それから手の空いてるスタッフを至急集めて!」

 「何をモタモタ…。まさかこの人波に飲まれた?」

 トラメガとメガホンを取りに行った学生スタッフが中々戻って来ない。一兵は腹をくくった。

 「はい、お楽しみ中の所申し訳ありません。チケットをお持ちでは無い方は模擬店方向に流れて下さい。はい。そこ。止まらないで。」

 これなら模擬店の集客も増えるし、一石二鳥である。すると、トラメガ二個を抱えてあの学生スタッフが戻って来た。

 「ナイスタイミング!中の事は中の人間に任せて、俺と貴様は滞留している客を模擬店方向に流すぞ。」

 「はい。止まらないで下さい。チケットをお持ちでは無い方は模擬店方向にお進みください。」

 「うるせーな。俺はわいみょんとエグザルを見に来たんだよ。」

 と、客の一人がそう言うと、そうだそうだの大合唱。だが一兵は冷静に、こう言った。

 「チケットはお持ちですか?」

 「あるかよ。そんなもん。」

 「ならば、こうするまでです。」

 と言って入り口の扉を封鎖した。チケットを持たない客を強制的に排除し始めた。チケットを持っていない野次馬の強制排除により、何とかライヴ会場の体育館を制御可能な状態にした。それを、ライヴ開始まで根気よく続けた。ライヴが開始されると、諦めた野次馬の多くがSNSにアップされた動画で並木祭ライヴ2024を視聴したため地獄の様な人流雪崩は回避された。

 「はぁ、はぁ。」

 息も絶え絶えに館内に入ると、エグザルがヒューヒュートレインをかましていた。アンコールではレモンが成功の架け橋を披露して、会場内は大盛況であった。と、安心したのも束の間。今度は楽屋口に出待ちする客を発見。直ぐ様排除した。

 「はい、アーティストは○○から出ますよ!」

 と、デマを言い楽屋口でのトラブルを回避させた。そんなこんなで、二時間のライヴを無事終えた。

 「山川ちょっと来い!」

 「何だよ?」

 「何で会場外に人を配置しなかった?」

 「すまん。」

 「来年からはしっかりやれよ。」

 「分かった。」

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