1年次春期定期訓練(基本教練)
「なぁに?実弾射撃訓練って?」
「あのなぁ、セツ菜?ここは防衛医科大学校だぞ?俺達は幹部医官になるんだ。銃の一つや二つ扱えないと部下に笑われるぞ?って聞いてねーし。」
「ピストルを撃つの?」
「いや、もっと大きな小銃を撃つんだ。」
「しょーじゅう?」
「まぁ、やってみれば分かるよ。」
「そもそも、セツ菜体力あるの?」
「あんまり自信はないかも。」
「まぁ、これから嫌でもつくよ。」
「小隊毎に集合!学生長は点呼し中隊長に報告。」
「おい、一兵?これから何やるの?」
「分からない。」
「おい、そこ!私語はつつしめ。」
「すみません!」
「これからフル装備で30㎞行軍を行う。20式小銃やはいのう等の陸上自衛隊のスタンダート装備で行う。急ぎ装着せよ!」
「うわ!本物だ。でも実弾は入ってないみたいだ。流石にフル装備だと30㎏はあるか。重っ!?」
「これはセツ菜にはキツいかもな。あ、でもそうでもなさそう。」
「1、2、1、2ほらほらそこ、遅れてるぞ?」
「すみません!」
(これは自衛隊あるある教練だけど想像以上にキツいな。話す気力もねぇ。)
「ほら、あと少しだぞ?頑張れ!」
「はい。こりゃあ体力つくは。時間通りに終えられる所が凄い。」
「はぁ、はぁ。」
「一兵?何バテてんだよ?」
「山川?」
「セツ菜ちゃんもちゃーんと時間内に走破したもんね。」
「うん。」
「からの部活って言う。」
「無我夢中で、途中の事は覚えていない。」
「一兵もまだまだだな。」
「金海の奴案外やるじゃん。30㎞行軍の後に涼しい顔してアメフト部に顔だしてさ。」
「でも、これは序の口。MAX100㎞行軍が待ってるからな。知ってる奴は知ってるだろうけど。」
「それ、TVで見た事あるかも!NDMCでも、慣れたらやるのだろうか?」
「丸道先輩?」
「どうした尾崎?」
「あのぉ?100㎞行軍てあるんですか?」
「いや、俺達2年はまだ経験してないけど?ってよりは、4年までは基礎教練に差はない訳だし、やるとしても陸上要員の5、6年なんじゃねーかな?推測だが。」
「なるほど。参考になります。」
「それにただ歩けば良いんじゃ無くて小隊(30人)クラスを一人で見られなくちゃならないんだ。30㎞行軍位でへばってちゃ部下に笑われるぞ?」
「そうですよね。」
「セツ菜って言ったか?尾崎の彼女?ああ新入りのマネージャー。」
「その情報は何処から?」
「金海が自分から。」
「何か問題でも?」
「あんな可愛い娘尾崎にはもったいねぇよ。」
「他の部員も知ってるだろう?」
「それはそうと、明日の防衛大学校との定期戦先発頼むな?」
「え?丸道先輩?アサイメント全然把握してませんよ?」
「ランとパスを駆使すれば何とかなる。まぁ、防衛大学校の方がうちより格上だから多分勝てないだろうけどな。」
「丸道先輩が出て下さいよ。伝統の一戦何ですよね?」
「毎年体育祭の前のこの時期に定期対抗戦のが防衛医科大学校アメフト部の創部以来の伝統なんだ。」
「勝ち負けよりも大事な何かがあるのですかね?」
「とりあえずガムシャラにやってくれたら先輩達も評価してくれるよ。」
何はともあれ春期定期訓練の基本教練は終了した。