3年次体育祭①
春期定期訓練を無事終え、新入学生との顔合わせが終わると、防衛医科大学校の2大ビッグイベントの1つである体育祭の季節がやって来た。今年も体育祭実行委員会が組織されるのだが、体育祭実行委員長は桜寮長である第一大隊長が、任命権を持っていた。
上山大隊長が任命したのは、アメフト部の先輩である丸道先輩であった。丸道先輩とは色々とあったが、今はもうノーマルな関係にあった山川であった。そして体育祭実行委員会副委員長には、看護学科4年生の流山先輩が務める事になった。
その他にサポートメンバーとして5、6年生から15人そして4年生から30人、3年生から30人、2年生から20人、1年生から5人の計100人の体育祭実行委員会が設立された。1年生の時から体育祭実行委員会の経験者である山川や、一兵、良子、セツ菜も率先してサポートメンバーになった。アメフト部の後輩や先輩達も体育祭実行委員会のサポートメンバーになっていた。
「吉永!」
「おお。一兵。」
「貴様も体育祭実行委員会に?」
「看護学科は、人が少ないからな。」
「早坂?」
「ああ、こいつは俺にくっついて来ただけや。」
「ばれちゃいました?」
「まだ付き合ってたのか?」
「意外だよな。」
「去年の並木祭から半年強か?」
「早坂?しっかり捕まえときな。」
「はい。金海先輩!」
「駄目だよヨッシー。女の子にそんな事言われちゃ。」
「金海先輩は相変わらず手厳しいですね?でも大丈夫ですよ。もう婚約したので。」
「え?そうなの?吉永水臭いぞ今頃?」
「二人の馴れ初めは打ち上げで聞くとして、今日は3000メートル走と、玉入れと、綱引きと、パン食い競争そしてメインイベントの騎馬戦の参加者リストのピックアップだ。」
「5、6年生の分はサポートメンバーによろしくお願いいたします。」
と、まぁそんな感じで、部活の時間を削り半月をかけて体育祭の工程表が出来た。
「そっか。看護学科の4年生はラストか?」
「ああ。ま、先輩達は何とも思っていないみたいだけど。」
「体育祭に思い入れ無いのかな?」
「セツ菜?それはないと思うよ?」
「まぁ、モチベーションは人それぞれだし、この体育祭は医学科と看護学科の交流が最大の目的だからな。男女合わせて480人の小規模な体育祭さ。」
「ま、運動会って年令じゃねーしな。」
「つーか、今年の工程表去年と大分違わねーか?」
「丸道委員長がこれで行くっていうんだから、それで良いんじゃね?別にNG競技をやる訳じゃないんだから。」
「パン食い競争があかんな。」
「予算で間に合う人数に絞るだろ。あと、応援合戦がデリートされているけど?」
「予行練習だるいしな。」
「俺はやりたかったなキレッキレのブレイキン。」
「応援合戦の時間削って出来た空き時間どないすんねん?」
「プログラムよく見て見ぃ。騎馬戦の回数が倍になっとるがな。体力的には問題無いだろうが、丸道委員長騎馬戦の時間を確保する為に、応援合戦をデリートしたのかも?」
「騎馬戦って何気に体力いるんだよな。そうまでして、伝統ある応援合戦をデリートしたのは凄いな。ある意味。」
「卒業生からはブーイングくらうかもだけど。」
「(笑)。」




