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3年次春期定期訓練②

 米国海兵隊のリーン・カスキ中佐は、日本語を話せる珍しい士官であった。ちなみにカスキ中佐に日本語を教えたのは正田二佐だと言う。

 「中佐はどの程度日本語を話せますか?」

 「そうですね、日常会話程度でしょうか。」

 「米国海兵隊はこの硫黄島で、どんな任務を任されていますか?」

 「航空機を用いたタクティカルトレーニングを行っています。」

 「今すぐに戦えますか?」

 「はい。命令が出れば直ぐに派遣出来る様な訓練をしています。」

 「カスキ中佐は日本に行った事はありますか?」

 「はい。一度だけ沖縄のキャンプに行った事があります。」

 「日本本土に行った事はないんですね?」

 「はい。ありません。しかし届けを出せばいつでも日本本土に行く事は可能です。」

 「行けるのに行かないのは何故ですか?」

 「家族が米国にいるからです。届けを出して日本駐在となれば、日本から自由に米国に向かえません。しかし、硫黄島ならいつでも私の一存で定期的に米国本土に帰る事ができます。」

 「なるほど。そうした理由で日本本土には行かないのですね。」

 「いつかは家族と日本本土に家族と行ってみたいです。NDMCの学生は積極的に質問してくれるので嬉しいです。ではミーティングがありますので、私はこれで。」

 「はい。ありがとうございました。」

 「現役の米国海兵隊の士官と話せるなんて、こんな機会滅多にないぜ。なぁ、一兵?」

 「お、おう。」

 「どうしたい?ボーッとして。」

 「いや、もっと話したかったって思ってさ。」

 「こちらとら防衛医科大学校学生で、相手は米国海兵隊の士官だぜ?身の程を知れ。バーカ。」

 「馬鹿って事は無いだろう。」

 「さぁて、30日間の日程も終わりいよいよ、並木に戻る訳だが、やり残した事はねーか?」

 「無いよ。」

 「早く並木に帰りたい。」

 「セツ菜ちゃん?」

 「私もそろそろ帰りたいかな。」

 「良子?」

 「そう言う俺もそろそろ帰りたいってね。」

 「山川?貴様、中隊長のくせに。」

 「そう言う一兵だって戻りたいだろ?」

 「まぁな。でも小隊長として口にしてはいけないと思ってさ。」

 「一服して寝るか?」

 「俺先寝るわ。」

 「あ、そう。」

 翌日…。

 「防衛医科大学校3年生男子60名、女子20名異常ありません。」

 「うむ。忘れ物はないか?」

 「ありません。」

 「よし、3小隊に別れて乗船しろ。」

 「正田二佐!御世話になりました。」

 「うむ。達者でな。」

 「総員、帽振れ!」

 こうして、3年次春期定期訓練は終了した。

 「ただいまぁ!」

 「いやいや実家じゃないんだけど(笑)。」

 「気持ちは分からなくもないがな。」

 「この学舎での生活も3年目ともなると、マイホーム感あるのは分かる。」

 「硫黄島研修凄かったな。」

 「あぁ。戦争の悲惨さを思い知らされた1ヶ月だったな。」

 「あそこで頑張る自衛官にも感謝だな。」

 「あぁ。そうだな。それより川下一曹の飯を無性に食いたくなって来た。」

 「セツ菜ちゃんと良子にはLINE送っておいた。V。」

 「いただきまーす!」

 「やっぱ川下一曹のカレー最高っすね!」

 「そんなにストレスフルな訓練だったのか?物凄く疲れた顔してるけど大丈夫?」

 「精神的にメッチャハードな訓練でした。」

 「普通にご飯を食べられるこの幸せ!」

 「マジ染みますね。」

 「今年は並木の桜見られなかったね。」

 「花見?平和か!」

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