2年次卒業式②
卒業コンパは御自由に。と言われても、クールに飲み合うのが防衛医科大学校学生の良い所である。その隣では、在校生がノーマルな昼食をとっていたからである。それに気を使えるのは流石である。
「良いな。先輩達。」
「皆、この席に居るって事は、国家資格取ったって事だよな。」
「じゃなきゃ卒業式出ないだろ?」
「国家資格取れなくて留年っていう最悪のパターンは避けたいよな。」
「防衛医科大学校のカリキュラムをしっかりこなしてれば、大丈夫だよ。」
「一兵?飯食ったら一服行こうぜ?そんでもって午後の課業だ!」
「やけに気合い入ってんな。」
卒業式の午後にも課業があるのは防衛医科大学校らしい。医師免許及び看護師資格を取得出来た卒業生は、二等陸海空尉となり、その後は総合臨床医として必要な知識及び技能を修得する為、初任実務研修を行い、その後は部隊等で約2年間勤務する事となる。その後は医学の専門分野に関する知識及び技能を練磨して、約2~4年間の専門研修が行われる。
「ねぇ?一兵?春休みどうする?」
「うーん。アメフトしたいかも。」
「じゃあどこも行かないの?パパが会いたがっていたよ。」
「え?マジかよ。それ早く言えよ!」
「2泊3日位でどう?」
「OK。パパに伝えておく。」
金海グループの御曹司となった一兵には、アメフトを楽しむよりも、御義父さんの顔色を伺うのが先決であった。
ピーンポーン。
「お、セツ菜と一兵君かな?」
「こんにちわ。御義父さん、御義母さん御無沙汰して申し訳ありません。これ、つまらないものですが。」
「セツ菜?一兵君にこんなきをつかわせるな。」
「御免なさい。セツ菜は悪くないんです。自分が勝手にやった事ですから。」
「そうか?いつもありがとうな。」
「さ、あがって。こんな所で立ち話は難だ。」
「勉強の方は?」
「順調です。」
「セツ菜は迷惑をかけておらんか?」
「はい。夫婦円満にやっております。」
「そうか。で将来的にはどうしたいんだ?」
「海上自衛隊の医官としてやっていきたいですが、10年先の事は分かりません。」
「パパ?あのね。防衛医科大学校から自衛官になった人は、任官してから9年未満経過せず退職すると、ペナルティと言うか5000万円お金返さなくちゃならないの。」
「そんな端した金ワシが出してやるぞ。」
「それは困ります。御義父さん。せめて10年やれば何のお咎めなく自衛隊を退官出来ますから。」
「それは金海グループの後継ぎになっても良いと言う事なのか?」
「尾崎の家に見切りをつけて、セツ菜さんの婿になった以上は、金海グループの事情も耳にしています。ですが、御義父さん、まず10年は長いですが、やらせて下さい。御義父さんが待てないと言うのは分かっていますが…。」
「ワシも良い歳だしな。ワシが生き残っていれば、一兵君にワシの全てを引き継いで貰うつもりだ。全ては一兵君次第だがね。」
「分かりました。しかと受け止めます。」
「一兵君、まぁ飲もう。」
「はい、ありがとうございます。」
「セツ菜、手伝って。」
「はーい。ママ少し痩せた?」
「セツ菜の方こそしまったんじゃない?」
「それは自衛隊で鍛えてますからね。」
「それは頼もしいわ。防衛医科大学校に進学させて良かった。」
「そうかそうか。勉強も訓練もセツ菜は逃げずに順調にやっているのか。」
「この春休みが終わったら3年生です。」
「そうか。まぁ、目の前の事に集中しなさい。良いね?」
「はい御義父さん。」




