それぞれの道
防衛医科大学校学生も2年次終了時までに陸海空いずれかの、道を決定しなければならなかった。一兵とセツ菜は海上志望、山川と良子は航空志望をそれぞれ提出した。結果は3日後に判明すると言う。
「希望通り行くと良いね?」
「まぁ、お互い夫婦な訳だし、そこは加味されだろう。」
「でも他の学生もどこに進むかは分からない訳だし…。」
「心配要らないって。俺達成績上位だし。」
「それって関係あるのかな?」
「そりゃあ関係無いとは言えないだろ?」
「何か緊張して眠れないね。」
「後3日だろ?直ぐだよ。直ぐ。」
「まぁ、定員の兼ね合いがあるから何とも確定的な事は言えないけどな。」
3日後…。
「えー。では進路先を発表する。金海一兵…海上。金海セツ菜…海上。山川つよし…航空。山川良子…航空。以下成績順に希望を決定した。」
「やっぱ成績順だったな。良かったな。」
「結果的に約6割が陸上要員になったみたいだよ。」
「吉永は陸上要員か?」
「ああ。良かったなお前らは勝ち組で。」
「勝ち組?」
「成績上位者は勝ち組だろ?」
「そりゃあ否定しないが、何か嫌な響きだな。」
「ま、頑張れよ。」
「おう。」
「山川組と金海組で卒業後は別々の道を歩む事になるな。」
「まぁ、想定内って言えば想定内だけどさ。」
「海上と航空じゃあえらい違いだぜ?」
「セツ菜は本当は陸上志望だったんだ。」
「そうなのセツ菜?」
「海の上は怖いからって。だから速攻で説得した。」
「てへ?説得されると、何か嫌な感じしなくなって来ちゃって。」
「必ずしも艦艇配置とは限らないし、海上自衛官でも相当数の人達は丘勤務いわゆる陸上勤務が多いからね。」
「その点航空は確実に丘勤務だからね。医官は有事の時しか飛ばないって言うし。」
「とは言え、夫婦で同じ部隊とは限らないよ?」
「同じ部隊に回されるのを望んでるのに?」
「夫婦で同じ部隊に回されないなんて、酷な職業だね。」
「本当そう思う。つーか何か腹立って来た。」
「私も‼自衛隊に働き方改革を迫れねば。」
「防衛医科大学校学生の分際でなに騒いでも、防衛省が特別視してくれる訳無いだろ?」
「それはご最も。自衛官のカップルは苦労するって話は、マジで聞いた事あったけど、あながち間違いではないかもね。」
「まぁ、先ずは医師国家資格を取らないと、卒業すら危ういぜ?」
「退学したら5000万円の違約金が…。ガクブル。」
「医師国家資格取得出来たらその話またしよう。」
「だね。」