2年次履修科目(必習)①
1年次後半から始まった専門課程は21の臓器別等の授業科目に分かれている。2年次履修科目は、基礎医学(解剖学・生理学・生化学・薬理学・病態病理学・免疫・微生物学・衛生学・公衆衛生学・国際感染症学・法医学・医用工学・分子生体制御学・防衛医学)をまず習得する。これ等の科目は医師国家資格取得の為には欠かせないメソッドである。これ等の科目は2年次を終える迄に習得を目指す。
「あー、もう。あれもこれも広く深くなんて出来ねぇよ。」
「一兵?一つ一つ確実にこなしてみな?」
「そうだな、ありがとう。山川。」
「こんなところでつまづいてたら、先に進めないぞ?」
「そうだな。俺達もうすぐ3年生になるんだもな。」
「青春なんてそんなもんじゃねーか?」
「6年なんてあっという間だよな。」
「でも分からない事はすぐ聞けるし、学習環境も申し分ない。金銭面でも無駄使いしなければ不安もない。これ以上望んだらバチが当たるぜ?」
「なぁ、一兵?腹へった。そろそろ飯行かない?」
「あ、もうそんな時間か?行くか。」
「良子とセツ菜ちゃんには連絡済み。」
「さっすが山川。抜け目が無い。」
「今日の夕食はハンバーグか。なぁ、良子?基礎医学の勉強進んでる?」
「うん。まぁね。テキストを中心に課業の予習・復習やっているから不安は無いかな。」
「セツ菜ちゃんは?」
「私は毎日消灯直前まで勉強してるけど、少し不安はあるかな。期末テストも近いし。」
「テスト来週だっけ?」
「うん。体力検定の翌日。」
「俺も不安だぜ。」
「一兵は相変わらず2200には寝てるもんな(笑)。」
「仕方無いだろ?眠いんだから。」
「そう言うつよしはやっぱトップしか狙ってないのね?」
「冬季定期訓練の借りがあるからな。ヤル気マックスだぜ。」
「気合充分だな、山川は。」
「去年の年間チャンピオンだしな。」
「まぁ、いつまで続くか分からんがな。」
「難易度爆上がりだもんな。」
「ハードルの上げ方がエグいよね防衛医科大学校は。」
「確かにエグいな。」
「ま、勉強も学生の仕事の一つだけどな。」
「それは言えてるな。良いドクターになるぞ!」
「おう!」
「でも俺、防衛医科大学校に入ってなきゃ医師になるの諦めてたかも。」
「一兵とは違って、明王高校の様なエリート私立高校から一浪して防衛医科大学校に入り、金海財閥の御曹司に成っちゃう様な恵まれた環境ではなかったんだ。だからこそテストで一番をとる事が俺のアイデンティティーなんだ。」
「そう言われれば、俺は恵まれた環境で育ったボンボンかもしれないな。」
「でも失う物が無いのは同じじゃない?」
「エリート街道のど真ん中を歩いてる一兵には道端に生えてる雑草の気持ちなんて分からねーよ。」
「何スネてんのよ?つよし?私達の間に序列なんか無いわ?」
「まだ2年だけど、医師国家資格を取得したら二等陸海空尉に自動昇進なんだぞ?」
「そんな事は防衛医科大学校学生なら誰でも知っている事じゃない?」
「山川?俺に劣等感じてるの?だったらそれは真逆だよ?山川の方が俺なんかより何倍も優秀だし努力もしてる。それに俺は皆より1年先輩なのに全然駄目駄目だよ?」
「一兵…。」
「防衛医科大学校の外を出たら皆エリートとして見られるんだから、内輪もめしている場合じゃないんじゃない?」
「確かにな。言われてみりゃ、井の中の蛙だったかもしれないな。」