2年次創立記念日
「1973年(昭和48年)か…。2023年今年で丁度創立60周年。防衛大学校に比べれは歴史はわりと浅いんだな。まぁ、防衛医科大学校は世間的にも認知度低いしな。」
今年は創立60周年と言う事もあり、首相や防衛大臣も来る様であり、いつもの年とは違う様であった。
「つよし?今回は寝ちゃ駄目だからね?」
「分かってるって。」
「今年は創立60周年だから…。あ、浜口防衛大臣と岸本総理だよ‼」
「大物中の大物じゃねーか。」
「おーお。マスコミも何社か来ている。」
「式典始まるわよ!」
「はぁ、早く終わんねーかな。」
「何言ってんのよ?首相挨拶よく聞いてなさい。」
「はーい。」
「それでは、内閣総理大臣岸本信夫様より御挨拶です。」
「えー。防衛医科大学校学生の諸君。日々の学業・訓練ご苦労である。医官たる幹部自衛官の育成を目指して60年。多くの先輩医官達が、現場できらびやかな活躍をして陸海空各自衛隊において、飛躍を遂げている。医学科は6年、看護学科は4年、この並木の学舎で勉学と幹部自衛官に成る為の訓練に汗水垂らしていることだろう。今日この日を迎えられたのは、偉大なる先輩方の努力によるものだ。その後輩として在籍している現役生の諸君は、偉大なる先輩達に負けぬ様努力に磨きをかけて頂きたい。本日は誠におめでとう。」
「へー。まともな事言うじゃん。」
「どうせ官僚のコピーアンドペーストだろ?」
「一兵?貴様は何を聞いていたんだ?」
「総理はカンペなしで本気で語ってたぜ?」
「政治家なんか信用できるか?」
「山川君?」
「セツ菜ちゃん?」
「一兵の親戚が政治家で、色々あったの。それで政治家嫌いになったの。」
「そんなの関係ない。岸本総理は信頼出来るよ。あの台詞は官僚のコピーアンドペーストなんかじゃない。心にグサって刺さったぜ?」
「分かってるって。自衛隊の最高司令官は内閣総理大臣だからな。俺達制服組は好きも嫌いもなく従わなきゃならんのよ。なんか胸くそ悪いけど。」
「山川君?一兵はトラウマなの。」
「つよし、一兵君の気持ちも察してあげよう?」
「山川、すまん。貴様に悪気はないって事。俺の政治家に対するインプレッションが悪すぎるだけだ。」
「そー言うのは思っていても制服着てる時は言ったら駄目だぞ?思想信条に関わらず、俺達自衛官は日本政府の指示に従わなくちゃ駄目なのよ。」
「自衛官なら当たり前の常識だな。」
「学生でもそこは徹底しろよ?」
「あぁ、もう新米じゃないしな。」
「いーね。若いの!充分議論尽くせ若人。」
「川下二曹?俺達真面目に考えてんすよ?」
「いくら考えてもシビリアン・コントロールや。ほんまに上目指すなら政治家を目指せ。自衛隊でキャリア積んで、政治家になるセレクトもあるよ?」
「川下二曹?俺達卒業して10年は自衛隊やめられないんですよ?」
「違約金5000万円は確かに簡単には払えないわな。」
「知ってるんすか?」
「ま、良いんじゃねぇか?10年も自衛隊に尽くしたら、シビリアン・コントロールとかどうでも良くなるかもよ?」
「先の事までは分かりませんよ…。」




