2年次慰霊祭
任務中に殉職する自衛官は、あくまでも"事故死"として扱われ、決して"戦死"扱いはされない。防衛医科大学校の慰霊祭では、任務(勤務)中に殉職した御霊を慰霊している。
「ちょっと!つよし?起きなさい。」
「はい!」
「何だ!?」
「馬鹿つよし…。」
慰霊祭終了から1時間後…。
「反省文の提出で何とかなりそう。」
「普通寝る?本当信じられない。」
「こーいうセレモニー的なのはどうしても睡魔が(笑)」
「(笑)じゃねーよ。山川ダサ。」
「だから反省文だって。」
「小学生かよ?後輩に示しがつかん。」
「首席の名が廃るよ。」
「昨日寝れなかったの?」
「PM2400の消灯と共にいつも通り6時間は寝たんだけどな。」
「寝るの遅くない?」
「まぁ、そこは部屋の事情もあるからさ。」
「何よそれ?」
「個人部屋の女子には分かんねーよ。」
「御馳走様。」
「え?何よ、全然食べてないじゃん。珍しい。」
「さっさと反省文書いて今日は寝る。」
「大丈夫なの一兵君?」
「並木祭の疲れが出たのかも?」
「今ごろ?あれから1週間経ってんのよ?」
「山川は2年生のリーダーとして良くやったと思うよ?」
「そんなの関係ないわ。ああいう式典ではもっともっと緊張感を持って臨まないと。」
「本人も反省していると思うよ。」
「まぁ、最近は専門課程に入って勉強も難しくなってきたし、今までの様には行かないかもな。」
「それは1年生の終わり頃からじゃない?」
「確かに医大らしくなって来てはいるね。」
「2年生になったらもう課業学習のメインは、医学専門課程だもんな。」
「山川の奴は首席をキープしたいだけなんだよ。」
「別に防衛医科大学校を首席で卒業しようがしまいが、医師免許取れれば待遇に差はないってのに。」
「でも、クラスヘッド(首席)がつよしのモチベーションだから。」
「そんなの窮屈だね?」
「まぁ、俺達がどうこう言う問題じゃねーけど、慰霊祭で寝るのはいけないな。倫理的に。」
「私も御馳走様。」
「一兵?タバコ吸いにいかない?」
「え?あ、山川ももう二十歳越えたか。何吸うの?」
「マルボロのメンソール。一兵は?」
「俺は古き良きハイライトさ。」
「喫煙所の場所知りたいからさ。」
「なるほど。」
カチッ。
「フーッ。本当は疲労困憊じゃねーの?」
「いや、そうじゃない。弛んでたんだよ。良子の奴何か言ってた?」
「首席のモチベーション、とか言ってたよ。実際どうなの?」
「最近の授業のレベルはハードになっているのは間違い無い。正直付いてくので精一杯だよ。」
「SSの山川らしくない弱気発言じゃねーの。フーッ。」
「そう言う一兵はどうなのよ?」
「毎日新鮮で楽しいよ?」
「セツ菜ちゃんとは?」
「勿論、ラブラブだよ。」
「アメフトは楽しい?」
「お陰様で一兵の教えもあって楽しくやれてるよ。試合にも出られる様になったしな。」
「タバコも気分転換には良いでしょ?」
「あぁ、誘った甲斐があった。つーか喫煙所かなり僻地にあるんだな。そーいやぁもうすぐ認定戦じゃねーか。」
「あぁ、しっかり勝って同好会から部活に格上げだ。そしたら防衛医科大学校のグラウンドも人工芝に出来るかもな?」
「今は毎日泥んこだもんな。」
「ま、楽しいのは今だけだよ。」
「え?」
「5、6年生になってから後悔しても遅い。」
「確かにな。」




