2年次並木祭②
「って訳でセツ菜の配置代えが決まった。」
「え?楽屋口ですか?」
「去年もやったし、楽勝っしょ?」
「はい…。」
「じゃあ医学・看護研究展示の方は3人で回してくれ。」
「良いのか、セツ菜?」
「ヨッシーには悪いけどヒムさんの御希望だし、断ったら折角の並木祭が台無しに成りかねないわ。」
「山川、分かった。医学・看護研究展示の方は3人で何とかするわ。」
「わりぃな。これ田口先輩の特命なんだわ。吉永、すまん。」
「良いの良いの。俺の事なんか気にすんなよ。」
「一兵!二人で並木祭満喫するぞ!」
「オー!」
と今年も波乱含みの調子となった防衛医科大学校最大の行事並木祭まであと3日となっていた。
ライブチームは担当アーティストの入り時間と導線の確認。それと体育館での会場設営に追われていた。
一方、セツ菜の抜けた医学・看護研究展示班は、粛々と全パネル設置を完了。並木祭当日は一人ずつ午前30分、午後10分ずつの展示警備日程が決まった。
「吉永?午前は1100から、午後はフリーで動けそうだぜ?」
「並木祭チャンス逃す訳にはいかないからな。」
「1日しかないってのが並木祭の醍醐味なんだよな。」
「2日以上ダラダラやらないのが防衛医科大学校らしくて、好きだわ。」
「昔は土日とやっていたらしいんだけど、いつの間にか10月の第3日曜日が定着したんだって。」
「防衛医科大学校は月曜~金曜の平日は放課後しか準備出来ないもんな。」
「使える時間と言えば後は土日位だもんな。」
「まぁ、準備する側の事情は来客には関係無いんだけどな。」
と、各チーム慌ただしく並木祭当日を迎えた。日程は、以下の通り。0900~各学年模擬店営業開始。1000~1200SPゲストによる並木祭ライブ。1300~講演会。1500~演奏会。0900~1400医学・看護研究展示。1600模擬店営業終了。1700完全撤収完了。
「お嬢ちゃん?会いたかったよ。」
「ようこそ。アンニョハセヨ。」
「UTSの皆さん、御忙しい中、防衛医科大学校に来て頂き誠にありがとうございます。」
「ヒムがうるさくてさ。」
「今日のパフォーマンス楽しみにしてます。」
「お嬢ちゃんの為に全力を尽くします。」
「今日の演目はTAKE UPとSOME AGAINとONE
FOR ALLの3曲でお願いします。」
「あと、アンコールに備えて2曲位ピックアップよろしく。」
「ヒム?今日はいつにも増して気合入っているな?」
「当たり前だろ?お嬢ちゃんの前でカッコ悪い所見せられねーからさ。」
「ねぇ?つよし?あっかんべー48とはにわ男子の尺もう少しどうにか伸ばせない?」
「嫌々、5曲ずつ歌えてもらえば充分だって。大入りのUTSもアンコール2曲入れてくれるらしいし。二時間ぱっつり満たせるだろ?」
「万が一の為の確認。」
「そんな事より、俺はUTSのリーダーヒム・リジョンがセツ菜ちゃんに接近し過ぎなのを警戒している。」
「そっちの方は私に任せてつよし!」
「OK頼んだ。はにわ男子入りまーす。」
ライブ担当班は既に盛り上がり始めていた。