2年次並木祭①
今年もまた並木祭の季節がやって来た。言わずもがな、NDMC防衛医科大学校最大のイベントと言っても過言ではない。2年生からは20名の並木祭実行委員が選出され、昨年の経験者である一兵や山川ら8名も含まれていた。
「じゃあ、講演会担当、ライブ担当、学生模擬店担当、医学・看護研究展示担当、学生演奏会担当の5部門を中心に一人一部門を担当しよう!」
「よーし、ドラフトはしなくても大丈夫か?」
「各一部門を4人×5部門=20人で決まったかな?そしたら、各部門毎に先輩の所に行ってくれ。」
「はぁ…。今年は医学・看護研究展示か。外れ?引いてしまったぜ。」
「一兵?そんなに落ち込まないで?テンション上がんないのは分かるけど、他のセクションより楽だし、勉強になるよ?」
「そう言ってくれるセツ菜がいるだけでラッキーだと思わないとな。御指導の程よろしくお願いします。」
「うん。って、やる事はパネル設置と当日の警備日程の調整だけだよ?」
「吉永!?」
「尾崎?貴様が医学・看護研究展示の担当とは意外だな。つーか予想外。」
「誰?」
「あーあ。看護学科の同期で2年生の吉永だよ。」
「吉永君よろしく。」
「医学科にはこんなべっぴんさんもいるんだな?」
「で、彼女は金海セツ菜、俺の婚約者。」
「いいなぁ。看護学科なんか5人全員男子。そんなの無理無理。」
「じゃあ並木祭チャンスじゃん?」
「そうだよヨッシー?」
「それは良しとしても結婚すんの?」
「3年生になったらね。防衛医科大学校では学生結婚可だからね。」
「堅苦しいのは無しでガチ恋人探し手伝うよ?ヨッシー。」
「セツ菜さんは友好的なんだね?」
「そう?どうせ警備の時間なんて一人30分位でしょ?」
「俺達最強カップルが後押ししてやっからよ。」
「総合的に勘案して悪くない案だ。」
「つーか、セツ菜さんはあの金海財閥のご息女?」
「そうだよ?でもここではそれは関係無い。同じ防衛医科大学校学生だよ?」
「そうだよね。防衛医科大学校は金やコネでは入れる学校じゃないからね。」
その頃、山川は…。
「今年のライブ出演アーティストは、あっかんべー48とはにわ男子、それから去年に引き続きUTSを招待しようと考えている。」
「1、2年生は、はにわ男子を3年は、あっかんべー48を4年生がUTSを担当してくれ。」
「了解しました。お、良子?お前もライブ担当だったの?」
「そうだけど、何か問題でも?」
「いやない。一緒に頑張ろ‼」
「山川、これ前日と当日のスケジュールな?」
「田口先輩?並木祭実行委員だったんすか?」
「あーあ。ついでにライブ担当になった。」
「忙しそうですね?」
「人手が足りない。その分しわ寄せ来るぞ?」
「覚悟してます。」
「頼むぞ!山川。」
「うす!」
「そういやぁ、UTSのヒムさんがお嬢ちゃんに会いたいって言ってんだけど知らんか?」
「つよし?セツ菜の事じゃない?」
「ああ、そういやぁ、去年楽屋口担当してたもんな?」
「先輩?それは医学科2年生の金海セツ菜の事っすよ。」
「至急連れてきてくれ。楽屋口は彼女にやってもらおう。」
「でもセツ菜は今年は…。連れて来ます!」
「UTSの様なスーパースターが並木祭くんだりまでやって来てくれるんだ。気分損ねたら来年の後輩が困るんだぞ?」
「はい。しかし金海にも都合がありまして。今日の夕食の時に聞いてみます。」
「本当によろしく頼むぞ?」
「はい。」
「良いの?セツ菜の気持ち聞かずに安請け合いしちゃって?」
「まぁ、成るように成るよ。」