2年次夏期休暇
「一兵?夏休みどうする?パパが一兵を連れて来いってうるさいのよ。一週間だけ私の実家に来てくれない?大分おろそかにしちゃったから。」
「良いよ。」
「分かった。パパには上手く言っておく。」
「悪いな。」
「その前にうちの実家に数日来てくれない?」
「うん。全然大丈夫だよ。」
「って訳で、結婚を前提にお付き合いしてる金海セツ菜さんです。」
「おお!天下の金海グループの御息女とお話は一兵のポンコツから聞いております。」
「一兵さんはポンコツなんかではありません。」
「そう言って頂けると、育てた甲斐があります。」
「何も特筆すべき物は何もありませんが、ゆっくりして行って下さい。」
「ありがとうございます。」
「何!?今日はすき焼き?背伸びすんなって。」
「牛肉が3割引きだったのよ。セツ菜さんすき焼き好き?」
「はい。」
「大富豪の口には合わないかも知れないけど。」
「大丈夫だよ。母さん。自衛隊に好き嫌い言う人はいないよ。」
「父さんタバコ止めたんじゃないの?」
「値段も上がり健康にも気を使わなきゃならないのは、分かっているけどさ。一兵お前もやるか?」
「サンキュ。」
「酒も飲むか?もう21歳だろ?」
「ありがたいけど、セツ菜がまだ飲めないからやめとく。」
「とか言って、アチコチで酒かっくらってる大酒飲みじゃない。」
「何だよ。一兵お前も尾崎家の人間なんだな(笑)」
と、なんやかんやで尾崎の家に2泊3日して、そのまま、セツ菜の実家に直行した。
一方山川と良子は、二人で旅をしていた。九州~中国・四国~関西と旅を続け、二人の仲をダイヤモンドの如く固い物にしていた。
「一兵!こっちへ来い!」
「パパ、無理強いは良くないわよ?」
「良いよ、このくらい。」
「まぁ、飲め!」
「はい。」
「色々な人と飲んできたが、どんな人よりも一兵は酒が強い。こいつは出世するぞ。」
「パパ、一兵が調子づいちゃうぢゃない?」
「セツ菜は防衛医科大学校で頑張っているか?」
「はい!夏の定期訓練では、小隊長を務めていました。」
「凄いじゃないかセツ菜?」
「そんなのたまたまよ。」
「セツ菜は立派に防衛医科大学校学生を務めていますよ。」
「ほら、訓練で鍛え抜いた腕御父様に見せてやれよ。」
ガシっ!
「キャアっ!?」
「実の父が娘の腕を触るのは駄目か?」
「確かにもやしでは無くなったな。」
「毎日腕立てと腹筋100回はマストだから。これくらいわって言うかもやしは失礼じゃない?」
「成長したわねセツ菜?」
「ママ!?」
「2年前からは想像もつかないわね。」
「肉体だけじゃなく、勉強も頑張っていますよ?」
「ほう。」
「女子学生の中では常にトップ5にいる。って言ってもたった20人しか学年で女子学生は、いないんだけどね。」
「親友も出来たの。山川君と良子って言うんだけどね?その山川君って人がゴリラみたいに規格外なの!部隊実習では、常にトップで勉強も学年でトップ。良子は私の大親友で女子学生で常にトップ。その良子と山川君は何と幼馴染みでフィアンセ。とにかく二人にはいつも助けて貰っているわ。」
「防衛医科大学校に入って良かったな!」
「パパは大反対していた癖に?」
「でも、これからが大変なの。医師国家資格取得は難関なの。しっかり授業受けて頑張る。」
「一兵君、これからもセツ菜の事くれぐれも頼むよ。」
「はい!」
こうして2年次の夏休みはあっという間に終わった。




