2年次春期交流戦VS防衛大学校
体育祭の後は毎年行われている、アメフト部の定期交流戦対防衛大学校戦である。関東大学2部リーグの古豪防衛大学校アメフト部とNDMC(防衛医科大学校アメフト同好会ブラッサムズ)との定期戦は公式戦と同じ4Q制で、1Q10分のガチンコ勝負である。
「ハドル!行くぞ!1、2、3、GOブラッサムズ。」
第1Q、敵陣50ヤード付近でパスを山川がインターセプト。そのままリターンタッチダウン。トライフォーポイントのキックも成功し、ブラッサムズが7点を先制。その後はお互いに精度を欠き前半2Q終了。
後半は部長でワイドレシーバーの堂上先輩とクォーターバックの一兵とのパスラッシュが絶妙で、終始防衛大学校アメフト部を圧倒し、35-7で試合終了。久しぶりに防衛大学校戦で勝利をおさめた。
「尾崎!これで認証戦に向けて弾みがついたな。」
「よく自分のパスをとってくれた堂上先輩のお陰ですよ?」
「任せておけって言っただろ?」
「前半は出てなかったですよね?」
「コンディション不良や。」
「実はな?堂上先輩、昨日陸上自衛隊の幹部との懇親会で、しこたま酒飲んで二日酔いだったんだ。堪忍してくれ。」
「間に合わなかったら負けてたかもな(笑)。」
「でもこれで尾崎-堂上のホットラインが出来たな‼」
「尾崎!ナイスプレー。お疲れ様!」
「セツ菜‼じゃん!4タッチダウンアシスト。」
「よく分からないけど、凄かったわ。」
「つよしの先制リターンタッチダウンもナイスプレーだったわ。」
「良子?あくまで、ブラッサムズのエースは一兵なんだから、張り合っても仕方無いよ。」
「防衛大学校サイドも最初はなめてたみたいだけど、後半は本気出してたね。」
「俺達も医科歯科リーグで戦える証明になったんじゃないか?」
「とにかく、防衛大学校に勝てたのはデカイ。山ノ井や宇野ら1年生も、良い仕事してたし収穫のある勝利だったな?」
「だな。」
季節は初夏を迎えようとしていた。認証戦まであと半年。NDMCブラッサムズの挑戦はまだ始まったばかりであった。
「あーあ。来週から夏期定期訓練だよ?」
「確かに萎えるな。」
「水泳あるらしいよ?」
「俺カナヅチなんだよな…。」
「バシバシ鍛えられるから安心しな?」
「それなら良いんだけど。」
「つーか、去年も水泳なかったっけ?」
「あったかも。」
「ふざけてんの?」
「すまん、ふざけた。」
「勉強のほうも医大らしくなってきたしな。」
「まだ進学課程だぜ?」
「毎日夜遅くまで勉強しているのは、遅れをとるまいがてだぜ?」
「一兵みたいに日夕点呼直後から勉強出来たらな。」
「じゃあ一緒にやろうよ?」
「いや、駄目だ。お喋りしちゃうから。」
と、山川は愚痴をこぼした。