馴れ初め
「セントビンセント女子大附属高校っていやぁ、超お嬢様学校じゃん。」
「一兵君だってあの天下の明王高校出身じゃない?」
「まぁ、この学校に来れる奴の学歴は相応なものがあるさ。ちなみに俺、一浪しているから一兵さん、ね?付き合うまで。」
「はぁ?何それ。」
「冗談だよ。そんな怒るなよ。」
「一兵君はそうやっていたいけな女子をからかうチャラ男なの?」
「チャラ男は心外だな。俺はただ、金海がボッチでやりづらそうにしているから、声をかけてやっただけなんだけど?」
「ほっといてよ。って言われてもまだ声をかけてアプローチするなんて、私の事好きなの?」
「そうかもな。金海が他の男と親しくしているのは何か嫌だな。」
「入隊早々なんだけど、私人生で一度も彼氏出来た事ないの。一兵君さえよければ、私の人生で初の彼氏になってもらっても良いけど?」
「何だよ、その不器用な告白。じゃあ宜しくなセツ菜。」
「うん。」
「風呂入ってくるわ。」
「私も。そうしよっかな。」
「あ!いた。一兵何処行ってたんだよ?」
「セツ菜、わりぃ。ちょっとした用事。また後でな。」
「うん。」
「もう風呂入ってしまったよ。飯先行くな。」
「山川?お前そんなに腹すいてんのかよ?」
「ああ。ペコペコなんだわ。」
「じゃあ、同室の山田辺りと行けば?」
「はぁ?秒で風呂入って来い。少しは待ってやるから。」
シャアアー、ザブン‼
「ああ、たまんねぇ。このお湯を準備してくれた人に感謝だな。つーか、年に2~3回は風呂当番か…。」
「15分待ったからおかず一品な。」
「いや、待ってねーじゃん。もう食い終わってるし。」
「待たせたな。」
「へぇー。そう言う事。」
「他の隊員には内緒ね?」
「素敵なキャンパスライフが送れそうだな?」
「山川は彼女いるの?」
「ああ、いるよ。同期で正木良子って女子。高校までずっと一緒の幼馴染み。もう付き合って10年以上経つかな。」
「ベテランだね。俺とセツ菜とは違って。」
「ところで、セツ菜ちゃんは、仲良い女子隊員いないの?」
「うん。いない。必要ない。一兵がいるし。」
「NDMC(防衛医科大学校)では学生結婚OKらしいよ?」
「まぁ、時期を見てだね。」
「うん。」
「ラブラブだな。羨ましいわ!ああ早く外出してぇ。」
「学内では買えないもの?」
「チャリンコとかドラッグストアとか!」
「チャリンコ必須だわ。この辺りはよく分かんねーけど。」
「まぁ、学内の売店で事が済むんだけどね。」
「学生手当てもあるし。」
「息抜き。ガス抜きに外出必要だろ?毎日2400まで勉強漬けだぜ?」
「まぁ、夏休みまで我慢だな。」
「どうして?」
「セツ菜、知らねぇのか?夏休み後の金曜夕1700~日曜夕2230までは外出届け無しで外出泊出来る様になるんだよ?」
「へぇー。」
「セツ菜?全く興味無さそうだけど?」
「外泊先無いんだもん。」
「実家とかあるだろ?」
「私、家出同然で防衛医科大学校に来たから…。」
「その先はまた明日聞くわ!やべ、話込んでたからもう日夕点呼30分前。じゃあセツ菜おやすみ!山川急ぐぞ!」
「おうよ!」