2年次春期定期訓練①
2年次の春期定期訓練は、陸上自衛隊習志野駐屯地での実弾射撃訓練及び空挺団実習である。
「89式小銃か20式小銃どちらかを選んでくれ。」
「え?自分達が選ぶんですか?」
「最新型の20式小銃の数が足りなくてな。すまんがどちらかを選んでくれ。」
「安全装置外せ!射撃体勢構え!照準ようし、テーッ!」
バンバンバババンバン。
「すげぇ。マジか。」
「驚いたか?」
「はい。でも国民と自分の身を守る為には、必要なものであり、正確な射撃能力が必須だと感じました。」
「防衛医科大学校学生よ、励め。」
「はい。」
「正確な射撃能力会得の為には、何をすれば身に付きますか?」
「集中と気合だよ。」
「気合ですか?」
「ああ、この時代に根性論だ。笑うだろ?まぁ、そう馬鹿にしたもんでもない。ヤりぁ分かる。」
習志野駐屯地は陸上自衛隊の中でも精鋭部隊がいる事で有名だ。一兵、山川、セツ菜、良子らは、実弾射撃訓練を行い、何とか射撃出来るまでに成長した。
「20式小銃なんて最新型の小銃じゃねーか?」
「89式小銃の方が古参兵器だけど威力半端ねーよ。」
「分かる。」
「怖かった。でも、S判定。」
「やるな、良子。俺はA判定だった。」
「お二人さん?」
「おう。一兵にセツ菜ちゃん?」
「良子さん、スナイパー目指せるんじゃね?」
「いやいや、大した事ないって。」
「とは言え、俺とセツ菜もS判定だったけどね。」
「A判定でも凄いって山川?」
「慰めになってないって。」
「絶対明日はSS判定貰ってやる‼」
「何それ?(笑)」
「馬鹿にすんなよ?マジであるんだって。今日教官に言われたんだよ。お前ら全然信じてないみたいだけど、SS評価を貰うとボーナスUPするらしいよ。」
「それガチの奴じゃん?」
「いや、だからガチなんだって。」
「明日は絶対SS判定とってやるよ!」
翌日、山川は20式小銃で見事にSS判定を貰った。
「本当はね。君もS判定だったんだけど、A判定つけたら奮起するかなと教官同士の話し合いで、君にA判定をつけたんだ。だが君は見事に化けた。毎年2年生の射撃成績首席の者にだけ与えられるSバッジだ。制服の腕にでも付けとくと、何かの助けになるかもな。」
「何だか怒りを通り越して何か笑えますね。ハッハッハッ。俺凄いな。」
「君が医官なのは勿体無い限りだよ。」
「え?勿体無いってどういう事ですか?」
「医官は前線には、出ないからな。後方でメスを握って貰うのがほとんどだからな。毎年一人は出るSS判定のスナイパーを勿体無く見送るしか出来ないからな。」
「なるほど、ま、これでボーナスUPって事なんで良しとしよう。」
「空挺訓練の方も楽しみだな。」
「はい。期待していてください。」
「おう。期待しているよ。」




