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1年次卒業式①

 2023年3月上旬、防衛医科大学校では防衛大学校よりも早く卒業式の日を迎えた。決してニュースになる様な政府要人は来ず、新型コロナウィルス感染症のせいもあり、たった80人の卒業式は簡素化された。在校生の式参列も見送られた。

 とは言え、一兵達1年生は直接6年生の先輩達との関わりはなかった為、あまり感動しなかったが、水竹元桜寮長が号泣していたので、卒業式っぽいなと、感じた。式の最後は恒例の所謂"帽子投げ"で6年間の学生生活に別れを告げた。

 医師国家資格取得者と看護師資格を得た者は全員が達成し、4月からは二等陸海空尉に任官し各幹部候補生学校で6週間の教育を受けた後、自衛隊中央病院での臨床研修が行われ、研修が終了次第部隊に配属となる。

 「お!卒業式終わったみたいだぜ?」

 「おい。一兵?どこ行くんだよ?」

 「他人のめでたいのあんまり興味ないんだ。」

 「ったく。しょーもねー野郎だな。」

 「セツ菜ちゃんもいるんだし、顔出せよ?」

 ガチャ。

「あ、扉閉めおった。一兵の奴後で説教だな。」

 「おめでとうございます!」

 「って、何で俺が写真係何だよ?」

 「男ならうじうじ言ってないで仕事仕事。」

 「良子、お前も?」

 「女子学生代表。」

 「一眼レフとか気合入ってんな?」

 「こっちも撮ってよ?」

 「はい。ポーズ!」

 パシャパシャ

 と、まぁひととおり回ったらいつの間にか昼飯の時間になっていた。

 「おい。一兵、ちょっと来い!」

 「何だよ山川?」

 「これらの写真見ても何も思わんか?」

 「ふーん。別に赤の他人じゃん?でも写真なら嫌いじゃないよ。」

 「クズの証明かと思ったが違ったか?」

 「全員国家資格取得は流石防衛医科大学校だな。」

 「あー。もうこんな時間。一兵、ワリィもう行くわ。」

 「せわしねーな写真係は。」

 「つよし?ゆっくりご飯食べたわね?口にミートソースついてるわよ?」

 「うわ、恥ずかしい‼」

 「ネガ提出したら終わりだから行くわよ?」

 「写真一兵君に見せる為に食堂行ったの?」

 「ああ、あいつにはセツ菜ちゃんとやり直す前に人として当たり前の感情が、欠落しているんだと思ってな。他人のめでたいのあんまり興味ない何て言ってる奴がまともな医官になれるかよ?」

 「それで、先輩達の写真見せたの?」

 「ああ、あいつにはセツ菜ちゃんと色々あってひねくれているだけだってのが分かったんだ。」

 「良子もそう思うだろ?」

 「つよしがそう思うなら、そうなんじゃないの?」

 「で、セツ菜ちゃんはどうしてる?」

 「意外と元気かも。」

 「へぇ。引きずらないタイプなんだ?一兵なんか引きずりまくりで、慰めてるこっちが滅入っちゃうよ。」

 「一兵とセツ菜ちゃんには夕食時にサプライズを仕掛けようと考えているの。」

 「良いね!サプライズ!」

 「ま、二人は元の鞘に戻るよ。心配してない。」

 「そうかもな。ったく。手を焼かせやがって。」

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