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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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1年次桜寮長交代

 今日は防衛医科大学校の男子寮である桜寮の寮長交代式の日である。桜寮は第一大隊(1年生~4年生)が生活している。第一大隊は四個中隊から成り一個中隊は二個小隊(一個小隊は30人)つまり、一個中隊は60人であり、第一大隊には240人の男子学生が居る事になる。

 桜寮長はその第一大隊(男子)の大隊長を兼任するのが通例である。水竹先輩が務めていたが、次期桜寮長兼第一大隊長は成績トップの土田先輩が成る事が全会一致で決まった。

 「土田、次の第一大隊長はお前だ。しっかりやってくれよ。」

 「はい。」

 「異議の無い者は土田新第一大隊長に敬礼!」

 「異議無しと認む。これにて、第一大隊長及び桜寮長交代式を終わる。以上、解散。」

 「あー、緊張した。」

 「何で一兵が緊張しなくちゃならんのだ?」

 「だってさ、3年後は俺達があの場にいるかもしれないんだぜ?」

 「そりゃそうだろ。こう言うのは年功序列じゃん?」

 「お、俺は成績一位で絶対断るからな。」

 「じゃあ、俺がやる。その頃には、良子と結婚してるだろうし、プライベートも1年位なら良子も構わないって言ってくれるだろう?それに成績一位だったのは俺だぞ?俺の次点だった一兵が何言っているんだよ?」

 「ヤル気の無い奴に第一大隊長や桜寮長は務まらんぞ?」

 「その成績が4年生まで続けばの話だがな。その時は山川が第一大隊長になるのは歓迎するよ。」

 「でも桜寮長も第一大隊長もやることメッチャ多そうだぜ?外出・外泊の許可確認。各種イベント関連では第一大隊長挨拶をしたり、第一大隊旗を持って行進したり。」

 「ばーか。そんなの勉強や訓練に比べれば、大した事無いだろ?」

 「山川もしかして出世狙い?」

 「まーな。防衛大学校の奴等が幅を利かせてるに、医官でもやれるんだぞって所を見せたいからな。それに水竹先輩から聞いたのは、苦労するだろうが頑張れば先は明るいって言ってたし。」

 「先は明るい?」

 「防衛医科大学校の学生は皆(看護学科は看護師資格)医師国家資格を取って二等陸海空尉スタートだろ?防衛大学校は4年で卒業して幹部候補生課程を経て三等陸海空尉になる。卒業は防衛医科大学校の方が2年長いけど、その2年の間に防衛大学校卒業者に先を越される。防衛医科大学校出身の将官なんて聞いた事無いぜ?」

 「自衛隊においては防衛大学校卒業者が幹部を独占してる。それが現実だし覆すのは難しい。」

 「防衛大学校の奴等の事はともかく、俺達防衛医科大学校学生は、医師免許を取るまでは自衛隊における身分は無いんだ。」

 「井の中の蛙大海を知らずってな。まぁ、背伸びせず頑張ろうぜ?」

 「一兵?お前には出世欲っちゅうもんは無いのか?」

 「俺達は普通の医者に成りたい訳じゃない。自衛隊の医師に成りたくて防衛医科大学校に来たんだ。」

 「確かに、かなり狭き門を突破して来たのは確かだ。防衛大学校よりも入学は困難とされている。」

 「東京大学医学部には入れなかったけどね。」

 「きっと御天道様が一兵を防衛医科大学校に入る様に仕向けたんだよ。」

 「だとしたらその神様はかなりの意地悪だね?」

 「何で?」

 「アメフトも訓練も望んだ状況にはならなかった。」

 「ワガママな奴だな?そう人生おいしい事ばっか続かねーよ。防衛医科大学校に来てなきゃ、セツ菜ちゃんや俺達には出会えていないぜ?」

 「確かに…。」

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