1年次履修科目(必修)
俺達は防衛医科大学校の学生だが、必修科目は高校時代のおさらいからだった。少なくとも1年生の秋頃までは。基礎を学ぶ事で医学へのマインドを育む…と言うのが防衛医科大学校の教育方針らしく、本格的な医学を学べるにはまだ少しの時間がかかりそうであった。
倫理学、心理学、哲学、史学、国語・国文学、社会学、政治学からなる人文分野。
法学、経済学、人文地理、教育講座(美術)、コミュニケーション技法からなる社会分野。
数理倫理学、統合ゼミ、情報技術、英語・英会話からなる統合分野。
ドイツ語、フランス語、中国語からなる外国語分野。
体育理論、体育実技からなる保健体育分野。
数学、物理学、化学、生物からなる基礎教育分野。
とまぁ、実に幅広い。
「一兵!大丈夫か?」
「ああ。色々勉強してたら頭クラクラしてきただけ。」
「流石は防衛医科大学校。名門明王高校の一浪生をクラクラさせるとは、恐れ入った。」
「山川は勉強しないの?」
「俺は一兵が寝てから勉強しているんだ。一兵の場合アベレージ2200頃には寝てるからな。そこから約2時間で消灯までエンジン全開って感じだな。」
「何かそれは悪いのかな?」
「一兵と勉強してもしゃべってばかりで勉強なんてそっちのけになってしまうからな。俺達の悪い癖。」
「気にすんな。2400消灯0630起床の生活スタイル確立しているから。どのみち日夕点呼が2050だろ?そこから一時間自由時間って感じで丁度良いんだよ。俺が本気で勉強したい時は学習室に行くよ。まぁ、いつも満室でしょうがないから、便所で教科書読んでた事もあるよ。」
「マジか?まぁ、俺には良子がいるから安心なんだけどね。」
「週末はいつも外泊だもんね?」
「遊んでる訳じゃ無いんだぜ?良子と勉強しているんだ。分からない所教えあってんだ。」
「そう言う一兵こそ、アメフトばっかしてないで、ちょっとはセツ菜ちゃんにかまってやれよ?あんな可愛い娘泣かせたら許さねーぞ?」
「俺とセツ菜には鉄壁の絆があるから、大丈夫。心配には及ばねーよ。」
「今のうちだけだぞ?」
「何が?」
「アメフトやってられるのは。」
「どうせ4年生までってのは分かっているよ。けど好きなんだ。」
「セツ菜ちゃんとアメフトどっちとる?」
「どっちも取る。」
「馬鹿に効く薬は防衛医科大学校にもないか。」
「ま、こんな所でつまづいて医師国家試験合格なんざ夢のまた夢だからな。」
「それは言えてる。」
「部屋替えとかあるのかな?」
「中学生じゃねーんだ。必要無いだろ?」
「あったとしても、生活のリズム変わらないよ?」
「そんな事より、2年生に成るんだぜ?後輩が出来るんだぞ?」
「山川こそ中学生みてーじゃねーか?」
「俺に言わせればアメフト同好会に何人入ってくれるかなって思う位で、後は屁とも思わないけどね。」
「一兵は気楽で良いよな?このアメフト馬鹿!」




