1年次並木祭④
1730、医学研究科と看護学科の研究展示の片付けを終えた一兵と山川は、体育館にいる並木祭実行委員会の本隊と合流した。
「おお。尾崎、山川お疲れ。これから表彰式だからステージの片付けは、まだなんだ。」
表彰式とは、最優秀模擬店と優秀研究賞を発表するもの。いよいよ本当の並木祭のフィナーレである。今年の最優秀模擬店は、クロレラーメン味噌味を完売(50万円売り上げ)した第4学年第2班と、優秀研究賞は医学研究科の水戸ゼミの作用と副作用に関する報告であった。
そそくさと片付けを終えると、即座に並木祭実行委員会メンバーが集められて、教官(5、6年生)のおごりで、打ち上げが行われると言う事が伝えられた。1850までに学内の正門に集合せよとの事であった。
「時間ねーな。一兵、急ぐぞ!」
「おう。」
「セツ菜ちゃんに良子お疲れ。」
「お疲れ。あれ?一兵君は?」
「あいついつも長風呂だからさ、先に行かせた。」
「つよし?駄目じゃない。一兵君と一緒に来なくちゃ?」
「来た来た。噂をすればだな。」
「1845、5分前行動は海上自衛隊の基本だよ?」
「セツ菜、良子さんお疲れっす。」
「よーし、全員集まったか?近くの居酒屋で悪いけど、打ち上げやります!今日は土曜日なんで日夕点呼ありません。エンドレスで飲むぞ!」
「おう!」
結局、二次会のカラオケまでいたが、酒の飲めない二十歳未満の学生達がベロベロに酔った上級生の世話をした。
「こう言う体育会系のノリ苦手なんだよな。」
「俺も。」
「私も。」
「私は体育会系のノリ好きだけどな。」
「セツ菜ちゃんは御嬢様だからな。」
「そう言えば、ゲストのUTSのメンバーからは、お嬢ちゃんって言われてたわね?」
「凄いじゃん。」
「一兵はジェラシー感じないの?」
「悔しくないよ。だってからかってるだけだから。」
「悔しがってよ‼」
「どうしたセツ菜?落ち着け。」
「ずっと一兵に会いたかったんだから。」
「無理言うなよ。俺達は外仕事と医学研究科と看護学科の発表展示の外回りで体育館には一切近づけなかったんだから。」
「そうなの?山川君?」
「あぁ、1年生らしくどさ回りさ。」
「でもUTSがセツ菜の事気に入るなら、来年も来てくれるかもよ?」
「そうなの?」
「そうよ。セツ菜あの鬼マネージャー相手に一歩も引かなかったんだから。」
「へぇー。そうなんだ?やるじゃんセツ菜。」
「良子は何してたの?」
「無名のコーリング娘のアテンドよ。セツ菜よりよほど楽。」
「良子もやるじゃん?」
「コーリング娘か…。かなりマニアックだね?」
「ま、並木祭自体がマニアックだからね。」
「入隊するまでは分からなかったけど、もっと多くの人に並木祭の事士ってもらいたいね?」
「ま、これでまた訓練と勉学に集中出来るな。」
「あと5回もこの祭りがあると思うと、少し萎えるよ。」
「確かにな。」
「さ、先輩達起こして帰隊しよう。」
「おう。そうだな。行くか。」