6年次冬期休暇
なんやかんだで冬休みを迎えた防衛医科大学校学生であったが、流石に6年生はキャンパスに残り年明けの医師国家試験に向け帰省を控える動きが目立った。
「良いの?一兵君帰らなくて?」
「セツ菜の御義父さんに言われたんです。今はそれどころじゃないだろうって。」
「一兵ちゃんと勉強している?」
「セツ菜に心配されるほどサボっちゃいないさ。」
「山川?お前も見てくれてるよな?」
「ガキになってやりゃあ良いって問題でもないがな。量より質。」
「はぁ?つよし、あんたちょっと調子に乗ってない?」
「良子さん?山川はそれがいつものスタイルなんですよ。」
「日常は一兵君が一番見てるもんね。」
その頃食堂では…。
「え!料理長?川下一曹冬休みですか?」
「悪いねぇ。」
「え?料理長は冬休み無いんですか?」
「あるよ。交代制だけどな。」
「年末年始仕事とは大変ですね?」
「毎年の事だからな。それに独身だから仕事している方が良いんだよ。」
「え?今日はおせちですか?」
「細やかだがな。」
「いつも川下一曹がお世話になっているからな。」
「あーあ年末か。年が変われば運命の医師国家試験。そして防衛医科大学校を卒業か…。」
「なーに当たり前の事言ってんのよ?つよしってバカなの?」
「勉強も大事だけど息抜きも大事だよ?」
「そう。一兵の言う通りね。」
「誘惑の多い台詞だな?」
「まぁ、元旦位はな。」
「月の湯!しかないよね?」
「並木神社に初詣行こうぜ?」
「そんな神社あるの?」
「いや、知らんけど。」
「4人で行く最初で最後の初詣だね?」
「そうだね。」
「じゃあ明日正門前にAM0900集合でよろしく。」
「了解。初詣か。」
「一兵タバコ一本くれ。」
「いい加減自分で管理しろよ?」
「ぷはー、うんめー。」
「朝起きれるかな。」
「いつもの感覚で良いんじゃね?」
「プランは良子とセツ菜ちゃんに任せよ!」
翌朝…。
「おはよう。」
「おはよう。つよし寝ぼけているの?」
「寝ぼけていないけど?」
「へぇ。あるんだ神社。こんな近くにあるとは。」
「防衛医科大学校学生の間では医師国家試験を前に合格祈願すると必ず合格するって縁起の良いパワースポットらしいは。」
「知らなかった。」
4人の願いは只一つ。医師国家試験合格!こうして勉強漬けで迎えた勝負の2028年を迎えた。




