防人よ自由であれ
「山ノ井、星防衛医科大学校の事頼んだぞ!」
「何だよ?やるなら最後までやれよ?」
「育ってきた後輩もいるしな。こう言うのは引き際が肝心だからな。」
「つよし?あんたらしくないじゃない?手柄は全て俺の物とか言ってる癖に。」
「後輩もいい加減俺のスピーチ飽きたところかなって思ったからでさ。」
「それがらしくないっての。」
「まぁそれは、山川の専権事項だしな。」
「この創立記念行事が終わればいよいよ医師国家試験モード全快になる訳だしな。」
「まぁ、そうだけど。安心して後輩に後身を委ねられるか見極める最後のチャンスかなって思って。」
「山川が思っている以上に後輩は成長しているよ?」
「分かってるよ。けどそれを最後まで見せて欲しいんだ。って事で生徒代表スピーチは山ノ井に任せた。」
「いきなり無茶ぶりすか?」
「たったの5分学生の前でスピーチするだけやで?」
「いよいよこれで防衛医科大学校学生らしい行事はラストか?」
「で、後身を委ねられるかの査定はどうだったのよ?」
「花丸も花丸、俺以上の逸材。」
「じゃあ心置きなく卒業出来るわね?」
「ああ。とても清々しい気持ちだな。と同時に少し寂しい気持ちでもある。」
「お疲れ、山川。」
「一兵が初めて俺を労ってくれた。」
「まだ終わってないけど、6年間いつも俺達を引っ張ってくれた。それでどれだけ救われたかは、計り知れないよ。」
「山川君のリーダーシップのお陰で私達をぐいぐい引っ張ってくれた。結果として幾度もの困難を乗り越えられたよ。」
「私に駄目出し食らってもしっかり修正する辺りは、流石だった。つよしは真のリーダーだよ。ブラボー。」
「皆のお陰で俺は救われた。忘れ物あるかもしれないけど、それは立派な後輩達に任せる。医師国家試験絶対合格して必ず、医官になって見せる。」
「つよし?あんたが駄目ならば私達全滅じゃない?」
「そうだよ。でも医師国家試験は、楽ではない。それより、お腹空いた。」
「ドテッ!完璧な生成AIとは違うわね。」
「昼飯時は川下一曹忙しいからな。夕飯の時にしよう。」
「おい?山川?飯食わねーの?」
「祝い膳になるの知らなかったの?」
「6年目にしてマジかよ?」
「創立記念行事の時は昼抜きが当たり前だったからな。」
「さ、祝い膳食べよ!」
「お、おう。」
「旨い。」
「だから6回目だっつうの。」
「で、後輩にバトン渡せそう?」
「あぁ、数回しか行かなかった生徒会室に全て置いてきた。」
「先輩達が残してきた防衛医科大学校学生の在り方と言うマニュアルに一文追加してきた。見たければ見ろよ。」
「防人よ、自由であれ。」
と、山川はそれらしい事しか思い浮かばなかったが、その一文が今年は追加された。




