6年次並木祭③
「キャストやってみようよ?」
「第2大隊長としては異義はない。」
「異義ないんかい?!」
「早速並木祭実行委員長の星に確認して来る。」
20分後…。
「はい!OK出ました‼」
「マジで?よっしゃあ!」
「でも、このシステムだと指名かぶる人出るんじゃない?」
「その時は指名順位で下位の学生のヘルプ出番だ。」
「そうか、良子さんやセツ菜は知らないのか?ホストもキャバクラも?」
「そう言うつよしはキャバクラとか行った事あるの?」
「あるよ。結婚する前に一兵と何度か。な、一兵?」
「ああ。そんな過去の事より早くヘルプのシステムを良子さんやセツ菜やホスト・キャバクラ経験無しの学生に知ってもらわなきゃ!」
「まぁ、簡単に言えばヘルプってのは代打・代走だ。指名した人の手が塞がっている時に客をただ待たせず場を濁し、本命を待つ。その事は本命キャストにも伝えられ、良いところで接客を切り上げヘルプと交代する。空きを作らないのがヘルプシステムの味噌だ。」
「で?店の名前は?」
「ああ、それなら良い案がある。クラブBOY(防医) 」
「一兵にしては気が利いてるネーミングだな。」
「だろ?」
「ドリンクは500円で飲み放題。+指名料金と明朗会計。一人60分の時間制限あり。これで客の回転率もホスト・キャバクラ並みに。55人いる男子学生下位の10名はboyとなってドリンクのセッティングや支払い確認、ホールの状況を把握して貰いたい。勿論、事前のセッティングは成績上位者も手伝う。いいな?」
「了解!」
「女子学生の方は良子とセツ菜ちゃん頼むよ?」
「はーい。」
「こんなことをするのは防衛医科大学校の歴史の中で初だと言う。って若井広大助教授39歳も言ってた。」
「ぶっとんでるな。まぁ、どのくらいの客が来店してくれるかは未知数だが、チャレンジする価値はある。」
「もしかしたら女子学生の方が指名多いかもよ?」
「そうなるとboyをもっと増やさなくちゃな。」
「そうだな。それに今回はSNSによる習知はしない事にした。」
「それは賢明な判断だ。」
「セツ菜?大丈夫だって。心配しなくても。3000円も出して俺と話したい女子なんてそうはいないから。」
「つよし…。」
「良子、大丈夫?」
「心中穏やかじゃないわね?」
「男子学生は俺に任せて、女子学生の方は頼むよ?」
「了解。」
こうして2027年度の並木祭6年生の模擬店クラブboy(防医)の準備は駆け足で行われ並木祭前日が終わった。




