6年次並木祭②
「ねぇ一兵?今日の夜20時に食堂で何があるの?」
「まぁ、楽しみにしておいてよ。」
「つよし?グループライン見た?」
「ああ、何だろうな。無視するのはNGっぽいな。」
そして次の日の日課後夜19時55分…。
「あ、良子と山川君来たわよ?一兵!」
「待ってたぜ!」
「で?何の用?」
「川下一曹の提案で並木祭が終わるまでは休戦協定を結ばないかって話。二人さえ良ければ?」
「はぁ、何を言い出すかと思えば。」
「川下一曹?俺達喧嘩してる訳じゃ無いんですよ?お互いの合意の上で、部隊に配属されてもロスを感じない様にと思ってやってる事なんですよ?」
「つーか、それ今必要なの?」
「一緒にいられるのは"今"だけなんだぞ?1年生の時からの竹馬の友同士が夫婦になり、楽しい事も辛い事も4人で共有してきた。だから見守っているスタッフとしては、4人でハッピーに卒業して貰いたいんだ。分かっているよ。給務員のやるべき事じゃない事位。でも、今のお前らは全然良い顔してない。辛かったよ、こっちも。飯食う時位笑ってて欲しいよ。」
「川下一曹…。」
「はっはっは!俺達何やってんすかね?部隊に行く訓練の為に仲良し4人組を解散しました。でも分かりました。卒業までの残りの期間俺達元に戻ります。」
「俺も賛成。」
「私達も賛成。」
「次のステージに行った時に対処すれば良いの。部隊に行く前からの準備なんて必要無し。」
「その笑顔だよ。それが見たかった。」
「川下一曹、ありがとうございます。」
「お礼なら、一兵学生にしなよ。毎晩愚痴を言ってはスゲェうざかったけど、またこれで健全な学生生活が送れるな?卒業まであと半年!しっかり思い出作って悔いの無いようにするんだぞ?」
「はい。ありがとうございます!」
「一兵の術中にはまったぜ。」
「一兵君悩んでたんだ?」
「一兵ありがとう!」
「また4人で月の湯行こうぜ!」
山川は一兵が言い出しっぺでやった事だと喉まで出かかったが、それはあえて言わなかった。
「これで並木祭楽しくやれそうだね?」
「ああ…。」
「一兵!起きろ!起床時間。さっさと着替えて日朝点呼だ!」
「じゃあさっきのは夢?でも、山川がいつもと同じ感じに戻っている。夢じゃないな、多分。」
「で?ったく、こちらは貴様らが仲直りするの待ってたんだぜ?」
「え?そんな感じ?」
「ああ、すまなかった。最高の茶店作り上げようぜ!」
「その案ちょっと待った!」
「え?一兵、今更?」
「男子学生が接客するホスト系の茶店てのはどう?勿論、並木祭実行委員会の許可は得てるよ。」
「何ィ?」
「酒類の提供はないし、ただ防衛医科大学校6生男子学生が、お客さんの横で世間話をするだけだからさ。」
「ちなみに指名制な。」
「マジで?」
「それじゃあそんな反応になるわな。ではこれを見て?」
「ス、スゲェ。学力テストの順位で指名料金が変わっている!」
「一位の山川つよしで2000円以下段々指名料金が下がっていくシステムか…。」
「面白いシステムかとは思うけど、もう少し議論は必要じゃないか?」
「あーあ。これはあくまで叩き台。面白い案をどんどん出してくれ!」
「女子学生はどうなのよ?」
「キャバクラとホストの合体的な?」
「いい加減にして。そんなの絶対反対だから。」
「そりゃあ怒るよ。一兵、もう少し議論しようぜ?」
「勿論。」




