6年次体育祭④
「良子!」
「何?」
「騎馬戦の大将騎任せたぜ?」
「一兵下から指示出し頼んだぜ!」
「了解!」
「セツ菜ちゃんも副将騎頼むよ!」
「うん。」
と、戦いに出られない山川つよし第2大隊長は6年生チームを励ました。結果的に5年生チームとの一騎討ちになったが、惜しくも破れて騎馬戦は2位に終わった。
「第3位…2年生チーム!」
「第2位…5年生チーム!」
「第1位…6年生チーム!」
終わり良ければ全て良し。一兵達は体育祭で最後にして初の総合優勝を手にした。表彰式では山川つよし第2大隊長に代わり、山川良子が6年生を代表して表彰式に参加した。
「一兵!お疲れ様。」
「おう。お疲れ様。」
「俺体育祭の打ち上げ出るから風呂と飯、良子とセツ菜ちゃんと行ってくれ。」
「了解。」
「星第1大隊長!お疲れ様でした。」
「いやぁ。山川つよし第2大隊長にしてやられましたよ。」
「何の事?」
「とぼけないで下さいよ?エントリーシートの事ですよ?」
「別に小細工はしてないけど?大体頼んできたのは貴様ではないか?」
「俺達が第1大隊にいた頃は第2大隊の先輩に頼むような下世話な事はしなかったけどな。」
「ハッピーエンドで良かったっすね。」
「バカ言え。たまたま偶然だ。」
「ま、とりあえず一杯やろうよ。」
「はい。」
「結果的に俺達6年が優勝したが、それは6年生全員が、最高学年のプライドを持ち、戦った結果だ。勘違いするな。」
「本来ならNG行為ナンだぞ?」
「はい。すみません。自分の事で精一杯で。」
「まぁ、気持ちは良く分かる。俺もそうだった。でも副長や書記もいるんだし、俺に頼む前に相談する相手はいただろ?」
「そうですね。」
「まぁ、困りに困ったら俺の所に来い。じゃあそれが言いたかっただけだから、オイトマするわ。」
「ありがとうございました。山川先輩!」
「星?お前山川先輩と何かあったの?」
「いやぁ、大した事じゃないんだ。ほら飲め飲め。」
「良子!セツ菜ちゃん…一兵は?」
「見てないけど?」
「俺シャワー浴びて来るわ。」
「了解。」
「山川!」
「一兵!」
「要件は済んだか?」
「あぁ、まぁな。」
「一服しようぜ?」
「ぷはー。うんま。」
「完全なるニコチン中毒だな。」
「今日はタバコ吸う暇無かったからな。」
「打ち上げ参加して来れば良かったのに?」
「老兵は若い人の邪魔になるだろ?」
「まぁ、確かに。」
「現役の第1大隊長を第2大隊長が公開処刑するなんて、真似はしたくなかったからよ。」
「こっそり?」
「御灸は据えてやった。良く言えばエールかな。それ以上の事は言わずとも分かっているはずさ。」
「第2大隊長が打ち上げにいても浮くだけだしな。俺自身窮屈でな。」
「一兵!じゃあ俺飯食って来るわ。」
「おう。」
「って感じなんですよ。川下一曹。」
「学生間のイザコザに俺が口出すのは、筋違いかもしれないが山川学生は先輩としての模範を示したのは間違いないな。」
「ですよね。」




