6年次体育祭②
「山川先輩助けて下さい。」
「どうした?星?こんな夜中に?」
「何ィ?各競技のエントリーメンバーがどうしても決まらない?」
「大体第1大隊長が夜22時以降に来るのはまずいんじゃねーか?」
「同じ敷地内なんだから良いじゃないですか?」
「星?お前そんなんじゃ第1大隊長やってけないぞ?」
「どうしても山川先輩の力が必要なんです。明日日課後御時間頂けませんか?」
「それは構わないけど、俺じゃなきゃ駄目なの?」
「はい。」
「30分だけだぞ?」
「ありがとうございます!夜分遅くにすみませんでした。」
「星の奴相当困ってたな。」
「ルール違反覚悟でこの第2大隊寮まで来るんだからな。起こしてすまん。」
「いや、山川のせいじゃねーよ。」
翌日…。
「先に3人で飯とシャワー済ませちゃってよ。」
「つよし?予定でもあるの?」
「まぁ、ちょっとな。」
「良子さん?山川の奴第1大隊長に呼ばれたんだよ。」
「その言い方だとかなり語弊があるけど?」
「実はな…。」
「それならそうと素直に言いなさいよ。」
「まぁ、そう言う訳だからよろしく。」
日課終了後…。
「迎えに来てくれたのか?」
「はい。体育祭実行委員会のメンバーも揃ってます。行きましょう‼」
「第2大隊長の山川つよし(6年)だ。早速だがちゃちゃっと決めよう。つーか何で俺?」
「防衛医科大学校の学生のトップオブトップで第1大隊長経験者の山川先輩の決めた事なら嫌でも従うしかないからです。」
「なるほど。星の言うことも聞かないなんて相当やんちゃだな。競技エントリー位で俺を呼ぶな?」
「これはもう体育祭実行委員会の総意ですから。」
「これ持ち帰って良い?」
「三日後までにお願いします。」
「騎馬戦は流石に貴様らが決めろよ?」
「はい。もう大方騎馬戦の方は大丈夫です。」
「ありがとうございます!」
「つよし?そんなの6年にもなってやる必要ある?」
「星第1大隊長の要望だ。序列的には逆らえない。突っぱねるのは簡単なんだけどな。余りにイージーな頼みだから引き受けてしまったよ。」
「それは今年が最後の体育祭だから?」
「まぁ、それは後付けの理由だがな。」
「名前も顔も知らない学生をランダムにエントリーさせるのは、決して難しい事じゃないからな。」
「最初は何も分からなかったけど、3年位からはコツが掴めて楽しくなったんだよね。後輩が盛り上げてくれる体育祭ってのも乙なもんだよね。」
「よーし!最後の体育祭満喫するぞ!」
「おー!」
「セツ菜ちゃん、そのノリで行こう!」
「うん。山川君、第2大隊の強さ見せつけてやろうね!」
「あいよ!」




