1年次並木祭②
「すげぇな。並木祭って、もっとこじんまりしたもんかと馬鹿にしてたけど、迫力あるし客足も好調だな。」
「一兵、しゃべってねぇでカウントしろよ。」
「何で俺達こんな役割なんだ?」
「まぁ、俺達1年生だし言われた事をやろうよ。」
「中ではあのUTSやコーリング娘がライヴしてるんだぜ?良いよな、セツ菜と良子さん。」
「楽屋担当だろ?」
「何だよ、この差は。男女差別じゃないか。」
「まぁ、野郎の接待よりは美女の方が良いのは分かるけどさ…。」
「一兵?ここ脱出しないか?」
「良いのかよ?誤魔化しはいくらでも出来るけどさ。」
「いや、欲に負けては自衛官なんて務まらないぜ?」
「チッ。」
「しかし、UTSを招待出来る並木祭実行委員会ってナニモノ何だ?」
一方NDMCの体育館横出演者控え室では…。
「あのぉ、そろそろ準備を…。」
「あんた何様?世界のUTSがわざわざスケジュールを空けて、こんな無名の大学の文化祭にタダ同然のギャラで、ライヴしてやろうってんだからもう少し気を使いなさいよ?」
「すみません。スタンバイ出来たら教えて下さい。」
「マネージャー?そんな言い方したらUTSの品位に関わるじゃないか?」
「すみません。」
「ゴメンね。"お嬢ちゃん"」
「お嬢…。はい。」
「開演5分前でーす。」
「さ、行こうか!1、2、3、GO UTS。」
「わぁー本物だ。」
「凄いぞ、山川。ツイッターで拡散しまくってるよ。」
「マジだ!良子とセツ菜ちゃん、しっかりやれたかな?」
「うわ、来場者一万人越えたよ。」
「UTSは30分だけの出演だから、まぁ一瞬だろ?」
「並木祭実行委員会のツイッターアカウントが停止されているぞ?」
「UTSのライヴ動画をアップしたらアクセスが集中してみたら、サーバーがダウンしたみたい。」
「UTS恐ろしいな。」
「ありがとうございました。以上でUTSさんの出番は終了でーす。」
「ねぇ、この防衛医科大学校って自衛隊の医者を育てる大学でしょ?UTS何て全然関係無いじゃん。」
「マネージャー?もうステージ終わったんですよ?帰りましょう?」
「ゴメンね。"お嬢ちゃん"。」
「あ、はい。」
「セツ菜、お見送り!」
「はい。今行きます。」
「ここからの導線だとファンとかち合う可能性があるから、車両まで最短距離で御案内して差し上げて。」
「了解しました!」
「良子はコーリング娘さんのアテンドよろしくお願いします。」
「はーい。」
「じゃあね。楽しかったよ?"お嬢ちゃん"。」
「はい。今回の出演でUTSさんのファンになりました。応援してます!」
「アンニョハセヨ。"お嬢ちゃん"バイバイ!」
「セツ菜さんでしたっけ?良かったわね。あなたかなりレアよ?そのルックスが気に入られたのかもね。」
「来年もよろしくお願いします。」
「もう少しギャラ上げてね。お陰様でUTSのツイッターは大バズリ。学園祭を舐めてたわ。他のSNSもバズっているわ。来年もよろしくね。」
「ありがとうございました。来年も並木祭をよろしくお願い致します。」




