5年次卒業式②
「上山先輩、卒業おめでとうございます!」
「おう。山川達か…。次は貴様等の番だぞ?頑張れよ!」
「ありがとうございます。さぁ、皆行こう。卒業生代表は忙しいんだ。ねぇ先輩?」
「あぁ、すまんな。時は限られている。」
「来年は山川!金海!貴様等の番だ!」
「そう思うと切なくなります。」
ちなみに来客は防衛大臣を始め政府関係者が約500人、卒業生家族が200人、在校生が400人と、1000人近くの人間に挨拶をせねばならず、卒業生特にクラスヘッド(首席卒業生)には人気が集中する。
「来年は山川がこの数をこなすわけだ。」
「まぁ、こう言うの嫌いじゃないから。」
「あ、どうもありがとうございます。って言ってりゃあ良いんだよ。一種アイドルの握手会みていなもんだな。」
「それより腹空いたな。」
「何ィ?挨拶をしたい先輩が見当たらない?卒業生は100人にも満たないだろ。見つかるって!絶対に。」
「あ、いたいた!くるみちゃん卒業おめでとう!」
「ありがとうございます!金海先輩!」
「なんだ、早坂か…。看護師資格取得出来たか?」
「はい。何とか。」
「吉永が待っているぞ?元気か?」
「はい。吉永先輩も先月やっと、幹部候補生学校から帰ってきて、次はいよいよ私の番です。」
「そっか。じゃあ頑張ってね!」
「早坂頑張れよ!」
「ありがとうございます。一兵先輩も頑張って下さいね!」
「あれ?山川は?」
「食堂じゃない?腹空いたな?とか言ってたから。」
「今生の別れより食欲を優先させるとは?」
「あ、いたいた!つーかまだ食堂開いてねーじゃん。駄目じゃん?ちゃんと挨拶をしなきゃ。」
「まぁ、卒業生も忙しいじゃん?」
「苦しい言い訳。」
「今日は食堂開場がPM1200が15分も遅れるなんて聞いて無かったよ。」
「食堂で卒業記念パーティーが行われるからじゃない?」
「そうだったのか!?」
「もう一生会えない人もいるかもしれないのに。」
「一兵、お前に言われなくてもそんな事分かっているわい。俺の挨拶は送辞にすべて込めたつもりだ。あれ以上のエールは思い浮かばない。」
「ありがとうございます!位の軽い挨拶は要らないって?馬鹿じゃない?一番世話になった学年の先輩じゃない?」
「一番世話をした学年じゃないかと俺は言いたい。それに挨拶ならとうに済ませてるし。」
「お、開いたぞ。川下一曹遅いっすよ!」
「すまんすまん。今日は卒業記念パーティーの仕込みで人数とられてな。新しい防衛大臣の発案で防衛医科大学校卒業生は近くのホテルを借りきって卒業を祝うそうだ。文句なら防衛大臣に頼むよ。」
「来年は是非食堂でお願いしたいですね。」
「防衛大臣が変わらなきゃ来年もホテル祝いなんじゃね?」
「本日のランチメニューはカツカレーだ。」
「おほっ。うまそうだ!」
「いただきます!」
「うわ!結構辛いっすね。」
「大人の味だろ?」




