5年次冬期休暇
「ねぇ?一兵早く!」
「そんな事言われてもこのケーキが…。」
冬休み期間に突入した一兵は、セツ菜の実家に帰省する事になった。そう、あの天下の大財閥金海財閥の総元締めのお義父様の元へ…。
「ただ…。」
「遅い。海上自衛官の5分前行動の精神はどうした?」
「色々とたて込んでおりまして…。」
「この期に及んで言い訳するとは見苦しい。時間も守れない様では金海財閥の後継者の地位も危ういぞ?」
「申し訳ありません。」
「まぁ、良い。顔が見れて良かった。」
「お義父様も御元気そうで何よりです。」
「義母さん?風呂沸いているか?」
「沸いてますよ。」
「一兵君先ずは一ップロ浴びてきなさい。」
「は、はい。」
「セツ菜はこっちに来なさい。」
「はい。」
「近況は義母さんから聞いている。成績が伸び悩んでいるそうだな?」
「はい。」
「まぁ、私が口うるさく言わなくても、セツ菜なら、やってくれる子だと信じているよ?」
「パパの期待に応えられる様に精進します。」
「お風呂御先にいただきました。」
「母さん、酒だ酒。」
「はい。はい。」
「へぇ、クラスヘッドの学生に模試で勝ったって?」
「2点差でしたけどね。」
「凄いじゃないか?そのままトップを維持出来ると義父さんの鼻が高いんだけどなぁ。」
「お義父さんの方は最近どうなんですか?」
「私はいつも通りだよ。部下の成長を見守っているよ。一兵君もなれば分かるよ。大財閥の総元締めの心持ちが。」
「卒業まで後1年3ヶ月。ここからが大事だな?」
「はい。」
「セツ菜にも言ったが、悩むならとことん悩め。活路は必ず何処かにある。その道を見つける事である。」
「はい。」
「うわ!凄い御馳走だ!」
「さ、食べて一兵君。セツ菜も。」
「お義母さんの料理、食べましょう!お義父さんも!冷める前に。」
「ありがとう、一兵君。さ、食べて。」
ムシャムシャ。「メッチャ旨いです。」
「パパも食べて?」
「私はお前達が食べてるのを肴にして酒を飲む。」
「はぁ?何それ?変なの。」
とまぁ、こんな感じであっという間に10日間が過ぎ新年(2027年)を迎えた。
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。」
「あ、一兵とセツ菜ちゃん帰省から戻ってきた。」
「ただいま。」
「え?山川と良子さんまた帰省しなかったの?」
「年末くらい帰るかって話になったんだけど、大した報告もないし、寮でのんびりしてた。まぁ、流石に川下一曹にも怒られたよ。」
「休み無く稼働していた食堂のお陰で食費も浮いたしな。感謝感謝。」
「良子は良かったの?それで?」
「帰省する時位でしょ?お金使うのって?12月はボーナスもあったし。帰省しても良いかなと思ったんだけどさ、まぁつよしが勉強してるから、私も頑張らなくちゃって思ってね?思惑は一致したの。」
「そう言うのは節約すべき所ではないと思うけど?」
「川下一曹降臨。」
「山川?俺達今真面目に話しているんだけどなぁ。」
「ふざけてないよ。川下一曹は俺達防衛医科大学校学生にとっては、生命線に等しい存在じゃないか?」
「かれこれもう少しで6年目か。あんなあか抜けた高校生面していた奴等が。子を持つ親の気持ちがよーく分かるよ。」
「へぇー。」




